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三菱商事株式会社様から海外プロジェクトへのご寄付と、日本オフィスでのボランティア活動を実施いただきました。

up 2020.04.05

2019年度に三菱商事株式会社様にご支援をいただいたミャンマーでの2つのプロジェクトと、日本国内で実施いただいた社内ボランティア活動についてご紹介します。

マンダレー管区包括的医療支援プロジェクト

「マンダレー管区包括的医療支援プロジェクト」とは、ミャンマーのマンダレー管区(ジャパンハートのワッチェ慈善病院も位置する地域)にて、医療へのアクセスが難しく、病に苦しむ子どもを見つけ、治療することを目的としたプロジェクトです。同時に、日本人医療者とミャンマー人医療者が共同で医療行為を実施することにより、若いミャンマー人医療者を育成するという狙いもあります。

医療にアクセスできない子どもを見つけ出して治療する

このプロジェクトは、「出張診療」と「手術活動」の二段階で実施されました。
まず、マンダレー管区内の4地区に出向き、出張診療(外来診療)を行いました。4地区で、合計676人の患者さんが外来を訪れてくれました。そのなかで、子どもの患者さんは158人。診察の結果、手術が必要と判断された子どもたちは49人おり、別日程にその全員に対してワッチェ慈善病院での手術を実施しました。この数は、活動開始当初に見込んだ30人を上回っていました。

疾患も多岐に渡り、日本人医療者とミャンマー人医療者が都度議論しながら治療にあたったことで、現地人医療者のトレーニングという意味でも、非常に有意義な活動となりました。

三菱商事株式会社様から海外プロジェクトへのご寄付と、日本オフィスでのボランティア活動を実施いただきました。 三菱商事株式会社様から海外プロジェクトへのご寄付と、日本オフィスでのボランティア活動を実施いただきました。

本プロジェクトを実施していく中で、いまだ医療が届いていない地域や人々が、ミャンマーでは多くあると痛感しました。1度は医療機関を受診したものの経済的な理由で治療を続けることができず諦めてしまった人々や、近隣に治療可能な医療機関がなく治療自体を受けられない人々、様々な理由から適切な治療を受けられていない人々が今も大勢います。
今後も引き続き、ミャンマーの患者さんたちに、医療を届けていく決意を新たにしました。

養育施設Dream Train 食育プロジェクト

ヤンゴン市内にある、ジャパンハートの養育施設「Dream Train(ドリームトレイン)」にて、子どもたちに食育プロジェクトを実施しました。
プロジェクトの柱は、「栄養改善」と「食の学習」の2本立てです。現行の食事内容を一新し、栄養バランスに配慮したメニューを考案して提供するのと同時に、食育の観点から、座学と体験学習を両輪とした学習機会を設け、子どもたちに食についての重層的な知識を習得させるというものです。

栄養バランスの重要性と食の楽しみを知る機会に

「栄養改善」では、日本の農林水産省が作成した「食事バランスガイド」に基づいて、朝食に果物、昼食に野菜を中心とした主菜を追加しメニューを増やしました。
栄養改善開始以前は、食事バランスガイドで“望ましい”とされる量の50%以下であった主菜・副菜・果物の量が、献立の増加により、約85%にまで向上しました。
同時に、おかずが増えたことで食事の楽しみが増し、白米の消費量も大幅に増加。一部の子どもたちは、夜間の間食が減り、規則正しい食生活が送れるようにもなりました。

三菱商事株式会社様から海外プロジェクトへのご寄付と、日本オフィスでのボランティア活動を実施いただきました。 三菱商事株式会社様から海外プロジェクトへのご寄付と、日本オフィスでのボランティア活動を実施いただきました。

食を通した健康維持の方法を学び一生ものの知識に

「食の学習」では、座学による「選食(栄養学)」「食の安全(食中毒、生活習慣病の予防)」「食の社会課題(フードロス)」「食文化」の授業に加え、農作業や養鶏体験、調理実習といった体験学習を行いました。
ミャンマーでは、食にまつわる包括的な知識習得の機会は多くありません。今回の学習により、食の観点から自らの健康を維持する方法を学ぶことができたことは、非常に有用であると振り返ることができます。

三菱商事株式会社様から海外プロジェクトへのご寄付と、日本オフィスでのボランティア活動を実施いただきました。 三菱商事株式会社様から海外プロジェクトへのご寄付と、日本オフィスでのボランティア活動を実施いただきました。

農作業では、賃貸した農地を使用し、7品目(ローゼル・ひょうたん・とうがらし・豆・オクラ・空芯菜・大根・パクチー)を栽培し、ローゼル・ひょうたんの2品目を、それぞれ5回ずつ収穫することができました。
養鶏場を訪問して行われた養鶏体験においても、衛生環境維持の設備や、常に新鮮な水と餌を供給する仕組みを目の当たりにしたことで、食材の安全がいかにして守られているかを学ぶことができました。

三菱商事株式会社様から海外プロジェクトへのご寄付と、日本オフィスでのボランティア活動を実施いただきました。 三菱商事株式会社様から海外プロジェクトへのご寄付と、日本オフィスでのボランティア活動を実施いただきました。

体験学習は食育を越えたアイデンティティ教育に

座学と農作業を統合したものが、調理実習です。
Dream Trainでは、5つの民族(ビルマ族・カチン族・シャン族・ラフー族・アカ族)出身の子どもたちが生活を共にしており、調理実習では、それぞれの民族出身者と日本人スタッフが郷土料理を調理し、施設の子ども・スタッフ全員に振る舞いました。先んじて行われた食文化のグループワークと合わせ、食を通じて、食文化の豊穣さに直に触れることができた瞬間でした。
また、少数民族の子どもたちにとっては、自らの民族の文化を他者に紹介する貴重な場ともなりました。

三菱商事株式会社様から海外プロジェクトへのご寄付と、日本オフィスでのボランティア活動を実施いただきました。 三菱商事株式会社様から海外プロジェクトへのご寄付と、日本オフィスでのボランティア活動を実施いただきました。

子どもたちのDream Train入所理由の多くは、貧困を原因としています。そのため、乳幼児期から低栄養であったと思われる子どもたちもおり、特に感染症の流行する雨季や進級進学試験前には体調不良者が増加・重症化することが課題となっていました。
今年度、栄養改善を行うのと同時に、食に関連する重層的な学習機会を得たことで、食を通して健康を守る方法を学ぶことができました。これらは、彼ら彼女らにとって、生涯にわたって役立つ知識になります。
また、体験学習として行った農業・養鶏・調理の3つは、食育の枠を越え、自らのルーツを改めて学び、他者と共有をする「アイデンティティ教育」でもありました。
様々な民族の子どもたちが共に暮らすDream Trainで、互いの文化を尊重し合う経験を積み重ねていくことは、多様化を増す社会で活躍するための、有益な基礎トレーニングになり得るものと信じています。

日本国内でのボランティア活動

日本国内においても、多大なるご協力をいただきました。
2019年12月、三菱商事様の本社にて講演会を実施させていただき、当日お集まりいただいた40人の皆さまに、ジャパンハート森徳郎医師(ワッチェ慈善病院担当者)から医療現場の実状と、処置や手術で使用するガーゼが不足する現状についてお話しいたしました。
それを受け、2020年の1月に行われた、昼休みのボランティアプログラム「海外医療現場で使用するガーゼ作り」を実施いただき、2日間で47名もの方々によるガーゼ折りが行われました。ロールに巻かれたガーゼを裁断し、それを一つひとつ手折りしていく地道な作業です。これらは、現地の医療現場で使用され、ジャパンハートの医療活動を支えてくれます。

三菱商事株式会社様から海外プロジェクトへのご寄付と、日本オフィスでのボランティア活動を実施いただきました。 三菱商事株式会社様から海外プロジェクトへのご寄付と、日本オフィスでのボランティア活動を実施いただきました。

この度、三菱商事様のご高配により、多角的な支援活動を展開することが叶いました。
今回のご支援があったからこそ助けられた患者さん、実現できた学びの場の重要性に思いを及ぼす時、極めて大きな意義を持つプロジェクトであったと振り返ることができます。
これからも、ジャパンハートを支えてくださる皆さまのお心遣いを誠実に引き受け、目の前の現実を少しでもよくするために、最善を尽くしていく所存です。

ミャンマー事業責任者 早坂恭一

関連ページ

三菱商事株式会社様からミャンマー マンダレー管区小児医療支援プロジェクトにご支援いただきました。
https://www.japanheart.org/reports/reports-myanmar/191223.html

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