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「なぜ、途上国で命を救うことが日本の未来を救うのか?」森徳郎×嘉数真理子×水野智子

up 2024.11.15

9月29日、開発途上国での医療活動が、一見別物と思われる「日本の医療の未来」とどのようにつながっているのかを、開発途上国と日本双方の医療現場を経験した3名の医師たちが、それぞれの想いを語りながら共に考えていくトークイベントを開催いたしました。
ジャパンハートの海外現場での長年の活動を経て帰国後は病院長として日本の医療を支える森医師、勤務医として働いたのちに2017年よりカンボジアでボランティアドクターとしての立場を貫き活動を続ける嘉数医師、約10年の間に3度長期ボランティアとしてカンボジアで活動を行う水野医師、それぞれの立場や視点でトークを繰り広げられました。

はじめに、ACジャパン支援キャンペーンにおいて責任者をつとめた髙橋茉莉子より、ACジャパン支援キャンペーンによるジャパンハートの新CMに込められたメッセージ、そしてジャパンハートの概要の紹介。その後、「なぜ途上国で命を救うことが日本の未来を救うのか」をテーマに森徳郎医師、嘉数真理子医師、水野智子医師のトークセッションを実施しました。

現地に実際に行く大切さ

トークセッション冒頭では、ジャパンハートの活動に参加した動機について、3名の医師が振り返りました。

森医師
「へき地や離島を支援する病院グループにいて、東日本大震災による津波の被害を受けた女川で支援をしていた時、偶然ジャパンハートのミャンマーから帰国していた看護師さんに会い、そこでジャパンハートの活動を初めて知りました。その時キャリアに悩んでいたのもありジャパンハートの活動を知ったことをきっかけに、自分には想像もできないような世界に踏み出していきたいという欲求が湧き、カンボジアでボランティアをし現地ならではの課題に直面しました。」

嘉数医師
「元々沖縄で小児科医をしていました。父親をがんで亡くしたことをきっかけに小児のがんに携わりたいという思いが芽生え、研修をし専門医となりました。沖縄と本土との格差もあまり感じなくなった反面、このまま沖縄でやっていくか海外へ行くか悩みました。ですが、海外で日本では8割助かる小児がんは途上国では2割も助からないという話を聞き、そのギャップを埋めたい、助からないっていう事態を少なくしたいという思いから海外で活動をする決意をしました。」

水野医師
「学生時代にバックパッカーという形でアジアを中心に訪ねる機会がありました。その時は今よりも先進国とのギャップが大きい時代で、日本で受けていた教育が当たり前ではないと気が付かされました。小さいけれど朝から晩まで働く、さらには衛生環境が悪いという状況を目の当たりにし、学生時代から小児を専門にそのような地域で何かしらのサポートはしたいと考えていました。また、ネットを通じて知ったジャパンハートの『医療が届かないところに医療を届ける』という理念やスタッフの情熱に共感し、短期、長期のボランティアをするようになりました。」

つながっている

 トークセッション中盤では、今回のACジャパン支援キャンペーンのCMに通ずる開発途上国での経験がどのように日本に「つながっている」のか、に関して経験を踏まえたトークを展開。

水野医師は、1点目に開発途上国では薬や輸血が手に入りにくいが日本では当たり前に使うことができる医療リソースの大事さ、2点目に検診や予防接種による早期発見面の日本の医療のベースのすばらしさを挙げました。さらに開発途上国での活動を通して得た価値観の変化に関しては「異なる出身国で異なるバックグラウンドを持つ方々と一緒に働いた経験は大きいです。度々理解してもらえないところなどもありますが、相手に対してのリスペクトの大切さを気づくきっかけにもなりました。」と語りました。

水野医師からでた”リスペクトが大事”という点について共感を示し、最近では日本と海外を行き来している嘉数医師は「カンボジアなどの資源も限られ、治療も思うようにできない状況と日本での病院とは違った在宅医療ならではの限られた状況というのはどこか似ているところがあります。日本での医療活動は海外での医療活動から学ぶ部分がある、そういう意味では「つながっている」と感じます。」と自身の経験を踏まえコメント。


地域に密着した医療活動をされている森医師は日本国内と海外とでフィールドは違えどやりたいことや、やらなければならないことはジャパンハートと変わらない部分があるので今後も「つながっている」ということを意識していきたいと強調しました。

挑戦

最後に、登壇した3名の医師より将来のビジョンをお聞きしました。

森医師は、「ジャパンハートではできないことや別のアプローチでできることを通して医療を届け、後押しできるような存在になりたい。」と吉岡との話を振り返りながらコメント。

嘉数医師は、「来年10月に開院予定のアジア小児医療センターの立ち上げをサポートし、現地のスタッフのトレーニング強化に努めていきたいです。また2年後には地元である沖縄に戻り、子どもの貧困という面に焦点を当てた活動をしていきたいです。」と未来について思いをはせました。


水野医師は、「今まで通り、ジャパンハートでの長期医療ボランティアと日本での集中治療室での医療活動を繰り返していきたいです。ただそう思う中で、カンボジアでの活動を通して信頼を形成することができたので教育面や安全性の向上、そういったところを今後サポートしていきたいと考えています。また、急性期の医療を超えたその先にという緩和ケアや在宅医療面のサポートもしてみたいと考えています。」と今後の展望を語りました。

<ジャパンハートアジア小児医療センターとは>
ジャパンハートが、自前の病院の2拠点目として2025年10月、カンボジア首都プノンペン近郊に開院する200床規模の総合小児医療センター。「アジアの開発途上国と先進国の生存率格差(サバイバルギャップ)をゼロにする」をゴールに掲げ、アジアの新たな高度医療拠点を目指す。特に、高度医療・高額費用が必要となるため国際医療支援が行き届かず生存率格差の著しい小児がんの無償治療、そして持続可能な医療のための現地医療人材の育成強化に注力する。
場所は2026年開設予定の国際空港建設地に近いタクマウ市に位置し、同国で2016年より運営している「ジャパンハートこども医療センター」に対しキャパシティ/アクセス両面を改善することで、より多くの貧困層の子どもたちを救う。
開設総費用は10億円を超え、国内外で賛同する人々からの寄付を募り、「支援者と共につくる病院」としてプロジェクトを進行中。

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【アーカイブ動画】『「なぜ、途上国で命を救うことが日本の未来を救うのか?」森徳郎×嘉数真理子×水野智子』

■本件に関する取材のお問い合わせ
特定非営利活動法人ジャパンハート
広報担当:松本・上村
電話:03-6240-1564
メール:publicity@japanheart.org

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