この度、嘉数真理子医師が、国際小児がん学会(SIOP)より、小児がん患者とその家族の治療とケアのために活動し、若い医療者を指導したとして、小児腫瘍学に多大な貢献をした女性リーダーの1人に選出されました。
国際小児がん学会と小児腫瘍女性リーダーについて
国際小児がん学会(SIOP)は、小児がんの患者の治療と研究を推進するため、1969年11月6日、パリのギュスターヴ・ルシー研究所の専門家グループによって設立されました。
この団体は、小児がんおよび思春期・若年成人のがんに特化した唯一の国際的な学会で、3000人以上の医療者や研究者などが在籍し、小児がんに対して多方面から知識を深めています。
現在では、臨床研究と同様に、基礎研究の推進、医療専門家、発展途上国の小児がんケアの改善のための教育および知識や情報の発信へと活動の幅を広げています。
SIOP 小児腫瘍学における女性リーダー(WLPO)ネットワークは、公開イベント、ロールモデル、交流の機会を通じて、小児腫瘍学における女性のリーダーシップと、国際保健における女性専門家の仲間意識を高め、小児腫瘍学における、次世代の有能な女性専門家の育成に貢献することを目的として活動しています。
様々なオンライン、対面活動を通じて、このネットワークでは、学会の女性会員間の絆を強化し、メンバーが互いに支え合い、小児腫瘍学における女性のリーダーシップをさらに世界に広げていきます。
嘉数真理子医師の選出理由
嘉数真理子医師は19年の医療経験を持つ日本の小児血液腫瘍専門医です。
主にカンボジアやラオス、ミャンマーなど、低中所得国(LMICs)における小児がんの生存率を向上させることに専念しています。カンボジアにある「ジャパンハートこども医療センター」の設立においても尽力されました。2018年には同病院の小児科部長を務め、同病院における小児がんの生存率を30%から50%へ向上させることに寄与されています。
さらに、嘉数医師は、次世代の医療専門家の育成にも注力されています。クメール・ルージュ政権による大規模な残虐行為でカンボジア国内の医療従事者の大部分が失踪し、医療制度が崩壊し、深刻な医療従事者不足に陥りました。持続可能な医療制度を確立するため、人材育成が重要でした。そこで嘉数医師は地域における能力開発の最重要性を認識し、カンボジアでは30人以上の医療専門家の育成をされています。
沖縄の方言である『なんくるないさ』をモットーとして活動されている嘉数医師。
嘉数医師は、「なんくるないさ」を、正しいことをすれば、あとから良い結果がついてくる、と解釈し、例え困難があっても受容し、挑戦し続け、後悔しないよう選択をすることを大切にされています。
日本と大きく異なる環境に勇気を持ち飛び込み、小児がん医療を提供するために現地の医療文化の違いを受け入れ、改善に努めながらも現地の医療従事者を尊重し、成功例を積み重ねている点も、評価をいただきました。
嘉数医師に関する本レポートはこちら(英文)[PDF]:
https://siop-online.org/wp-content/uploads/2024/04/WLPO_Almanac-2024-9.pdf/
(認定)特定非営利活動法人ジャパンハート
「医療の届かないところに医療を届ける」2004年に設立された日本発祥の国際医療NGO。海外では、ミャンマー・カンボジア・ラオスにおいて無償で子どもの診療・手術を実施し、その数は年間約3万4千件、累計30万件を超えます。日本国内では離島・へき地への医療者派遣、災害被災地への緊急救援事業や小児がんの子どもとその家族の外出を医療者がサポートする活動にも取り組んでいます。
https://www.japanheart.org/
本件に関するお問い合わせ先
特定非営利活動法人ジャパンハート
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