ジャパンハートのカンボジアでの活動は、2016年に自分たちが運営する病院を開設するまで、カンボジア国内各地をまわって医療の届かないところに医療を届けていました。この活動は現在も注力していますが、当時のスタッフやボランティアの環境は今以上にハードなものでした。今回は、そんな時代から参加し、帰国した今でも日本の勤務先の仲間を連れてジャパンハートの海外現場で活動を続けている北川先生のインタビューをご紹介します。
~医師・北川祐資interview~
ジャパンハートでの活動内容について
2014年に1年間、カンボジアで診療活動を行っていました。現在のジャパンハートこども医療センター(JHCMC)の前身・AAMCが建設される前であり、カンボジア各地にある現地の中核病院の手術室をお借りして手術活動を行い、現地の先生方と一緒に手術を中心とした診療を行っていました。同時に、日本の方々の協力を得て現地で奨学金生として医学や看護学を勉強している学生たちと一緒に共同生活を送り、医療現場での指導を行っていました。
ジャパンハートの海外活動に参加しようと思った理由は?
学生時代に旅行でカンボジアを訪れた際、病院見学の機会がありました。炎天下の中で診療を待つ子どもとその家族や、砂埃にまみれながら診療を行う医療スタッフの姿に、日本と異なる社会で医療を行ってみたいと感じるようになり、医師となった後に参加することを決めていました。
途上国の現場での経験が、今の国内での医療現場で活かされていると思う/思ったことは?
カンボジアでは術後のリハビリは家族が手伝い、食事は家族が準備していました。常に患者は家族と一緒にあり、退院後の生活を想像させてくれるものでした。日本においても、病院を離れた時の患者さんや家族の生活を想像しながら診療にあたることで、エビデンスに基づきながらも患者さんに合わせた診療ができると感じています。
海外に行った前と後で変わった、ご自身の考えや課題意識があればお聞かせください。
カンボジアでは内服薬の処方袋から手術に用いる滅菌物の取り扱いまで全て自分たちで準備を行っていました。日本で私が日々当たり前のように行っている一つ一つの行動が、多くの人の支えのもとに成り立っているということを意識して診療を行うようになりました。
今回のACジャパン広告キャンペーンのテーマは”つながっている”です。ご自身にとって、医療において途上国と日本とで”つながっている”と思うものはありますか?
私は帰国してからも、海外での医療活動に興味を持っている勤務先の仲間を連れてジャパンハートで手術活動を継続させていただいています。そこには、日本とカンボジアという異なる社会であっても、医療者が患者を助けたいという思いに違いはないということ、雑音を排した環境で自分が医療者を目指したシンプルな気持ちともう一度向きあってほしいという思いがあります。途上国の医療を通して自分自身と向き合うことで、日本で私たちが提供する医療と繋がっていると感じています。
▼7月1日より新たなACジャパン支援キャンペーンがスタート
ナレーションに江口洋介氏 ―東南アジアでの活動と日本の医療の「つながり」を描く―
https://www.japanheart.org/topics/press-release/240701_acjapan_newad_japanheart.html