自身が口唇口蓋裂を持って生まれ、口腔外科医となり、ミャンマーで口唇口蓋裂総合治療プロジェクトに奔走した岸医師。「海外支援や医療協力という言葉はおこがましく、自分自身が常に学ばせてもらっている」と語る、彼女の想いをご紹介します。
~口腔外科医・岸直子interview~
ジャパンハートでの活動内容について
初めてジャパンハートに関わったのは2013年7月に参加した短期ボランティアでした。2015年〜2016年長期医師ボランティアとして参加し、2019年からは口唇口蓋裂総合治療プロジェクトを立ち上げ、現在は大学病院に勤務しながら活動継続中です。
ジャパンハートの海外活動に参加しようと思った理由は?
かねてより途上国で口唇口蓋裂の治療を行いたいと思い調べたところ、吉岡秀人先生がミャンマーで口唇裂の手術をしていることを知り、活動に参加したのがきっかけです。現地を訪れ直接吉岡先生とお話ししたところ「うちにおいでよ」と気さくに声をかけていただき、現在まで活動を続けさせてもらっています。
途上国の現場での経験が、今の国内での医療現場で活かされていると思う/思ったことは?
“考える力”や“応用力”が身についたことでしょうか。ミャンマーには医療物資が十分ない、停電が頻発するなど多くの問題があります。だからといって医療活動を止めるわけにはいけません。“ないからできない”ではなく“ないのであればどうする”を考えるようになりました。日本でちょっとやそっとのことでも動じなくなりました。
海外に行った前と後で変わった、ご自身の考えや課題意識があればお聞かせください。
海外支援や医療協力という言葉はおこがましく、自分自身が常に学ばせてもらっているということ。現地におじゃまして、医療をさせていただいているということを常に身にしみて感じます。そして物事はそう簡単には進まず、壁は立ちはだかり、改めて自分は非力で無力だなと痛感する日々です。しかしそれでもなんとかできないだろうかと日々自問自答しています。
今回のACジャパン広告キャンペーンのテーマは”つながっている”です。ご自身にとって、医療において途上国と日本とで”つながっている”と思うものはありますか?
そもそも別々に考えることがもう違ってきているのかもしれません。人種、性別、文化、宗教、それぞれ違いはありますが、同じ地球上に生きている人間であり、私たちに人類には生まれ持って備わっている「助け合う」という思考があります。私たちが途上国で活動することで現地の患者さんが助かる場合もありますし、そこで得た経験をもとに日本の医療で還元され活かされ、間接的ではありますが日本の患者さんが助かります。そういった観点から見ると全て「つながっている」のかもしれませんね。
▼7月1日より新たなACジャパン支援キャンペーンがスタート
ナレーションに江口洋介氏 ―東南アジアでの活動と日本の医療の「つながり」を描く―
https://www.japanheart.org/topics/press-release/240701_acjapan_newad_japanheart.html