現在ジャパンハートは、ミャンマー社会福祉・救済復興省からの要請に基づき、視覚障害者の更なる経済的自立と社会参画を目指す為「Steering Committee for blind massage system development」(以下、「委員会」、2018年1月22日に設置)に立ち上げ段階から参画し、視覚障害者全般の政策立案を支援しています。
日本では、視覚障害者の雇用機会を守る十分な政策があるのですが、ミャンマーにはそのような政策は存在しません。
視覚障害者の雇用機会を増やすには、職業訓練などに加えて、政策的な取り組みも必要と考えられています。
2018年10月26日から29日にかけて、その取組の一環として、ウィン・ミャッ・エー社会福祉・救済復興大臣及び同省担当官合計3名を日本に招へいし、日本における視覚障害者雇用の政策を学ぶとともに、視覚障害者政策を議論する場を設けました。
今回、NPO法人として、ミャンマーの大臣を招聘することは初の試みになります。
今回、その訪日レポートとして、以下記載します。
①日本ミャンマー友好議員連盟
逢沢一郎衆議院議員(日本ミャンマー友好議員連盟会長)、山本幸三衆議院議員(日本ミャンマー友好議員連盟幹事)をはじめ、多くの国会議員に歓迎ランチを開催することができました。
②加藤自由民主党総務会長
加藤自由民主党総務会長(元厚生労働大臣)への表敬訪問を行いました。
③筑波大学附属盲学校
日本の視覚障害者教育、特に医療マッサージにおける実際の教育現場や卒業後の進路を学びました。
ミャンマー人からの留学生も2名おり、その懇親会も行いました。
④厚生労働大臣との面会
根元厚生労働大臣への表明訪問を行ったほか、関係部署からの日本における障害者雇用、特に視覚障害者医療マッサージ関連法案の取り組みを報告いただきました。
⑤JAL サンライト社の訪問
JALサンライト社では多くの障害者が活躍しています。障害者が実際の企業で働く現場を見学し、日本においてどのような制度によって障害者が社会で活躍することができているのかを教えていただきました。
⑥日本にいるミャンマー人留学生との面会
全国よりミャンマー人の留学生を集め、大臣より現在のミャンマー政府の取り組みや現在のミャンマーが抱える問題についての質疑応答を行いました。
⑦視覚障害者法律専門家の講義
筑波大学緒方昭広教授にお越しいただき、視覚障害者を守るための「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」について講義いただきました。
⑧ジャパンハートとの公式なMTG
今回の訪問のメインの1つとなるところです。ジャパンハートが行っている「Steering Committee for blind massage system development」を通して、国の障害者を守る政策、法律をどのように作っていくのかということに関して、具体的な意見交換を行いました。
⑨点字図書館訪問
視覚障害者の文献へのアクセス方法について、日本の状況を学びました。
⑩視覚障害者のマッサージ体験
日本の視覚障害者の医療マッサージ有資格者からのマッサージを受けました。
また、在日本ミャンマー大使もこの訪問において常に同行いただくなど、在日本ミャンマー大使館にも今回の訪日においてご協力いただくことができました。そして、多くの企業の方に今回の見学を受け入れていただきましたこと、心より感謝しております。
ミャンマーの大臣に、日本の社会福祉政策について十分に知っていただき、ミャンマーでの政策づくりに向けた大きな一歩になったと思っています。
NGOが国の大臣を招へいすることは非常に珍しいことですが、社会福祉の政策を作るうえで、日本の話を議論する以上に、実際にその場で状況を見ることは、ミャンマーにおいても日本と同様の政策を作っていく推進力が変わってくると思います。
今のミャンマーは国を発展させるいろいろな政策作りを行っています。今回の訪日そしてジャパンハートの政策立案委員会がその一助になっていけるよう、引き続き頑張ってまいります。
ジャパンハートヤンゴン事務所 百瀬雄太
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