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【防災の日インタビュー】能登の医師が考える「今後の災害への防災」

up 2024.09.01

本日9/1は関東大震災から101年、そして防災の日です。
先日の南海トラフ地震の臨時情報「巨大地震注意」の呼びかけや、地震の頻発により全国で防災へ意識がかなり高まっているのではないかと思います。
そんな中、皆様と改めて今年の1月1日に発生した令和6年能登半島地震から今後の防災について考えていきたいと思います。
今回は、ジャパンハートが福祉避難所で活動を共にした能登町にある小木クリニック院長の瀬島照弘医師に、令和6年能登半島地震を受け自らも被災者でありながら地域の医療者として避難所支援などにあたられた経験から、「今後の災害において取り組むべき防災について」お聞きしました。

~能登の医師が考える「今後の災害への防災」~

令和6年能登半島地震の特徴を教えてください。

 私は令和6年能登半島地震における被災者であり、医療従事者として支援活動にあたった支援者であると同時に支援を求める救援者、そして受援者でもあります。私は1月1日に小木中学校避難所に救護所を設け、医療支援活動を開始しました。
今回の災害は、医療救護活動の時間軸に沿ったフェーズで想定される状況と現実が乖離していました。例えば、発災後3カ月程度経過すると「通常診療がほぼ回復している」と言われていますが、実際は8カ月経つ今でもある地域では6つある医院の内、5つはいまだ臨時休業中です。
回復、つまり元の状態に戻った、とは到底言えない状況が続いています。

支援者の観点ではどのような備えが必要でしょうか?

 今後起こり得る災害に向け、災害支援に入られる方にお伝えしたいのが「勾配」という考え方です。勾配とは「立場の違い」「思想・感情、色」「情報の差」などから支援者間でのトラブルが発生する、また実際の被災状況によって被災者間で順列をつけてしまい、例えば要介護者に対して差別的な態度をとってしまうといったものです。こういった勾配は情報共有や連携によって防ぐことができるのではないかと私は考えています。特に、マンパワーが不足する災害支援現場では多職種連携が重要です。災害弱者をいかに守ることができるか、それは支援者間での連携強化で補っていけると考えています。
 こういった状況下で、支援者として大切なのは自身が「よそ者」であるという自覚を強く持つことです。この「よそ者」というのは決して否定的な意味ではありません。「よそ者」だからこそ安心して苦悩を語ることができる場合もあります。これこそが被災した人々との緊張に満ちた「あいだ」を和らげる鍵だと思います。

今後のご活動について教えてください

 いつでもどこでも誰でも安全に質の高い医療にアクセスする権利が基本的人権として平等に保障されています。ただし、その権利を脅かすのが災害というものです。
そんな中で医療従事者として、かかりつけ医として、かかりつけの患者さんたちや地域の皆さんの人権をいかに守っていくか、というのが私の役割だと思っています。
 災害関連死を1人でも減らせるように能登の地で活動を続けていきたいと思います。皆さんも防災の日を機に改めて能登の今を知っていただき、平時からの備えを行っていただけたらと思います。
そして支援者の方には、長期的で継続した被災者との伴走支援をぜひお願いしたいです。ジャパンハートにも、中長期的に伴走いただけるような支援を引き続きお願いしたいと思っています。

先生からお話を聞き、印象に残ったのが
「奥能登にも毎日必死に生きている人がいる、それをどうか忘れないでほしいです。そこで誰かが動いていて、誰かが何かを変えようとしているということを知ってほしいです。まだまだ私にもできることがあると思っています。ただその頑張りには皆さんのご協力が必要です。」
そう語る先生の表情でした。
能登に寄り添い続ける医療者としての心からの言葉に強く胸をうたれました。
引き続きジャパンハートとしても「おしゃべり喫茶」含め、中長期的に支援を継続できればと考えております。

◆ホームページ、SNSでも随時情報を発信予定
ジャパンハートホームページ:https://www.japanheart.org/
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