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【9/1防災の日】 被災しながらも支援者として活動する、 能登の医師が考える「今後の災害への防災」 9/14-15 能登町で初の「おしゃべり喫茶」も開催決定

up 2024.08.31

日本発祥の国際医療NGOである(認定)特定非営利活動法人ジャパンハート(東京都台東区 理事長:吉岡春菜 以下ジャパンハート)は、9月1日の「防災の日」に伴う防災啓発として、能登半島地震において被災者でありながら地元医療者として共に当団体の支援活動に取り組む瀬島照弘医師への取材コメントを公開いたします。
また、9月14日と15日には、ジャパンハートが能登半島地震に対する中長期支援として取り組んでいる「おしゃべり喫茶」を能登町で初めて開催します。

本企画は、仮設住宅で暮らす住民同士が交流機会を失い孤立してしまうケースが増加していることを受け、「おしゃべり喫茶」と題して仮設住宅の入居者を中心に地域住民の方が自由に話せる場として開催しています。発災後から景色が変わらない現状や孤立しやすい環境もあり、災害関連死が危ぶまれています。そんな中、本企画は精神面でもリフレッシュする機会にすると同時に、災害関連死につながる可能性のある孤立や健康状況など、多種多様なリスクの早期発見を目指します。

なお、ジャパンハートの令和6年能登半島地震支援においては、4月20日までに、輪島市、珠洲市、能登町、七尾市の計8カ所の避難所・診療所に看護師常駐支援を行ったほか、輪島市門前地区では医師・看護師による15カ所以上の避難所巡回診療を実施。フェーズが変わり多くの医療支援チームが2月末には撤収していくなか、4月20日まで医療を越えて安心を届けるため地域に寄り添う支援を継続しました。

この度、ジャパンハートが福祉避難所で活動を共にした能登町にある小木クリニック院長の瀬島照弘医師に、令和6年能登半島地震を受け自らも被災者でありながら地域の医療者として避難所支援などにあたられた経験から、「今後の災害において取り組むべき防災について」コメントをいただきました。

 

コメント:小木クリニック 院長 瀬島照弘医師
私は令和6年能登半島地震における被災者であり、医療従事者として支援活動にあたった支援者であると同時に支援を求める救援者、そして受援者でもあります。私は1月1日に小木中学校避難所に救護所を設け、医療支援活動を開始しました。今回の災害は、医療救護活動の時間軸に沿ったフェーズで想定される状況と現実が乖離していました。例えば、発災後3カ月程度経過すると「通常診療がほぼ回復している」と言われていますが、実際は8カ月経つ今でも元の状態に戻ったとは到底言えない状況です。

今後起こり得る災害に向け、災害支援に入られる方にお伝えしたいのが「勾配」(※1)という考え方です。勾配とは「立場の違い」「思想・感情、色」「情報の差」などから支援者間でのトラブルが発生する、また実際の被災状況によって被災者間で順列をつけてしまい、例えば要介護者に対して差別的な態度をとってしまうといったものです。こういった勾配は情報共有や連携によって防ぐことができるのではないかと考えています。特に、マンパワーが不足する災害支援現場では多職種連携が重要です。災害弱者をいかに守ることができるか、それは支援者間での連携強化で補っていけると考えています。こういった状況下で、支援者として大切なのは自身が「よそ者」であるという自覚を強く持つことです。この「よそ者」というのは決して否定的な意味ではありません。「よそ者」だからこそ安心して苦悩を語ることができる場合もあります。これこそが被災した人々との緊張に満ちた「あいだ」を和らげる鍵だと思います。

災害関連死を1人でも減らせるように私も能登の地で活動を続けていきたいと思います。皆さんも防災の日を機に改めて能登の今を知っていただき、平時からの備えを行っていただけたらと思います。そして支援者の方には、長期的で継続した被災者との伴走支援をぜひお願いしたいです。ジャパンハートにも、中長期的に伴走いただけるような支援を引き続きお願いしたいと思っています。

※1:今尾 真弓(2016).質的心理学フォーラム Vol. 8特集論文 『災害支援の困難を超えること―被災地でのスクールカウンセリング活動を通して―』

お問い合わせ先

特定非営利活動法人ジャパンハート PR事務局
広報担当:松本・上村
電話:03-6240-1564
メール:publicity@japanheart.org
現地取材をご希望の方も上記までご連絡ください

ジャパンハートの国際緊急救援(iER)

ジャパンハートの国際緊急救援iER(International Emergency Relief)では、国内外で発生した大規模災害に対応し、緊急医療支援を実施しています。
■2011年3月~2014年3月 東日本大震災緊急支援
■2016年4月 熊本地震緊急救援
■2020年4月~2022年9月 新型コロナウイルス感染症緊急救援
■2021年8月 令和3年8月豪雨災害緊急支援
■2022年9月 台風14、15号緊急支援台風
■2023年7月 豪雨で被害甚大な福岡県久留米市へ医療チームを派遣し、人的・物的支援実施

今後も現場の支援ニーズを見極めながら、救援活動を継続的に実施していく予定です。
国際緊急救援(iER)
活動を支援する

活動メンバーによる現場レポート

2024.04.26 令和6年能登半島地震への緊急救援 活動報告
2024.04.03 【令和6年能登半島地震】「避難所の巡回診療」
2024.03.27 【令和6年能登半島地震】「被災地の今」
2024.03.06【令和6年能登半島地震】「看護師として、医療ニーズに応える以外の私がすべきこと」
2024.02.20【令和6年能登半島地震】避難所における感染対策の難しさ
2024.02.06【令和6年能登半島地震】「日常生活を取り戻すために」
2024.02.05【令和6年能登半島地震】石川県のために、少しでも自分にできることを届ける
2024.02.04【令和6年能登半島地震】「能登の人たちのために、今の私にできる精一杯のことをしたい」
2024.01.30【令和6年能登半島地震】『寄り添い つないでいくこと』
2024.01.30【令和6年能登半島地震】臨床検査技師の私に何ができるか
2024.01.26【令和6年能登半島地震】『行動を起こした者だけが世の中を変えられる』
2024.01.23【令和6年能登半島地震】「いつか恩返しをしたい。今がその時だ」~阪神・淡路大震災での恩を返したい~
2024.01.22【令和6年能登半島地震】「医療の届かないところに医療を届ける」
2024.01.21【令和6年能登半島地震】 誰でも被災する可能性はあるということ
2024.01.20 【令和6年能登半島地震】「支えるようとする心」の大切さ
2024.01.17 【令和6年能登半島地震】 みんなで支え合いながら私たちも一緒に 〜寄り添うこと、支援のあり方~
2024.01.16 【令和6年能登半島地震】 輪島高校での活動がNHKに取り上げられました
2024.01.15 【令和6年能登半島地震】 鵜川小学校で活動開始 4避難所に拡大
2024.01.14 【令和6年能登半島地震】 アクセス困難な沿岸部の避難所を視察
2024.01.13 【令和6年能登半島地震】 “1人になるのが怖い” 求められる「心の支援」
2024.01.12 【令和6年能登半島地震】 輪島市・能登町の計3避難所に看護師派遣 医師も診療活動開始
2024.01.07 【令和6年能登半島地震】ジャパンハート医療チーム第二陣到着 石川県能登町の松波中学校避難所で医療支援を継続中
2024.01.05 【令和6年能登半島地震】ジャパンハート医療チーム第一陣 富山での物資支援を経て、石川県能登町にある避難所へ
2024.01.02 【令和6年能登半島地震】国際医療NGOジャパンハート、人的・物的緊急支援を開始。

◆ホームページ、SNSでも随時情報を発信予定
ジャパンハートホームページ: https://www.japanheart.org/
X(旧Twitter):https://twitter.com/japanhearttokyo
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