押谷 知明(おしたに ともあき)

ジャパンハート 医師 ボランティア

押谷 知明(おしたに ともあき)

長期ボランティア医師

出身地 兵庫県
趣味 旅行、ラグビー
活動地 カンボジア
専門科(経験科) 小児科
卒業年度 2010年

ジャパンハートでの活動開始
2018年4月

※押谷先生は、2018年4月~11月の期間、ジャパンハートこども医療センターにて長期ボランティア医師として活動していました。帰国後は、赤ちゃんからご老人まで診れる地域に密着した医師を目指し、もう一度成人内科を研修中です。国内でジャパンハートの活動を学会発表、全国各地で講演・講義などを通じて主に医師への認知度向上を目的とした活動をしております。

押谷先生が活動地での業務内容・役割を教えてください。

小児診療全般・小児がん診療・小児を含めた術中麻酔管理などをメインにしながら、若手カンボジア人医師との協働と、小児科指導を行っていました。また、僕が現地に入った頃はジャパンハートこども医療センターが開院する直前だったので、立ち上げプロジェクトにも参加していました。

ジャパンハートで活動を始めた理由を教えてください。

海外医療協力に興味があり、大学6回生の時、ジャパンハートのスタディーツアー(ミャンマー)に参加しました。その際に団体の理念や創設者である吉岡秀人先生の考え方に共感する部分が多くあり、キャリアのどこかで参加しようと決意していました。

日本と活動地での医療はどこが違いますか? 違わないところは?

当たり前ですが、医療を行う側の環境(医療設備や薬剤の選択など)は日本に比べて制約が大きいですし、患者とその家族の社会背景も僕たち日本人とは異なる部分が多いです。また、患者側の経済的制約が常にあるので、最先端の医療知識をそのまま当てはめるのではなく、最終的にどの選択肢が目の前の患者さんとその家族にとって最も幸せになる方法なのかを総合的に考える機会が多いところです。
変わらないところは、人間としての本質ですかね……。みんな自分の家族を愛し、大切な人の幸せを願っているところは当たり前ですが、共通しています。

ジャパンハート 医師 ボランティア

現地で医療をする楽しみはなんですか?

人それぞれあると思いますが、一つは単純に目の前で困っている人の手助けを、頭をフルに使ってできるということです。僕の場合は、それを国際医療協力でやってみたいという思いがあり、そこにはまったということだと思います。あとは、もともと東南アジアの人々の人懐っこさが好きで、一緒に生活すること、仕事することが楽しかったですね。

活動地での忘れられないエピソードがあれば教えてください。

難しいですね……。忘れられないことは多々あります。患者さんを看取った時のことでしょうか。それぞれの患者さんとその家族に、それぞれの最期の迎え方がありました。 一人は実際うちの病院にきた時点でかなり予後が厳しい子だったのですが、入院が1カ月ほど経過した頃でした。病棟でショック状態になって、もう治療の施しようがなくなりました。いよいよ、亡くなるかもしれないという時に、家族は「家に連れて帰る」という選択をしました。カンボジアでは、亡くなる時は家に連れて帰るという風習なんですね。もうこうなると家族に寄り添い、気持ちに寄り添うしかないと僕は思っていたので、全身全霊をそこに傾けていました。すると同じ病棟の別の患者やその家族が一人、また一人と部屋に入ってきて、お母さん、お父さんの肩を触ったり、少しばかりのお金を置いたりして出て行くんです。あの時の光景は忘れられません。僕とは文化や育ってきた環境が全く異なる中で、どのように最期の時を迎えるのが患者と家族にとってベストなのか、本気で悩んだのを覚えています。

ジャパンハート 医師 ボランティア

帰国後のキャリアや見通しはどう考えていましたか?

とても悩みました。日本では小児循環器を専門に診療していたので、日本の最先端の病院で医療技術を学び、習得してカンボジアの次なるプロジェクトをつなげようかという思いもありました。実際にカンボジアで診療していて、日本なら助かる心疾患の子どもや、治療されていなかったために重症化して手の施しようがない状態になった成人患者にも出会っていましたので……。 一方で、以前から、地域と患者そしてその家族に深く密着して寄り添った医療をしたいという思いも持っていました。

最終的には、今後はカンボジアで得た経験と刺激を糧に、僕の地元である神戸で、地域と共に重症な疾患を抱える子どもとその家族に寄り添えるような医療を、子供から大人まで、そして医療者も含めみんなの心が満たされるように創っていくチャレンジをしていこうと思っています。
しかし、今後も何らかの形でジャパンハートやカンボジアにも継続して関わらせていただきたいと思っています。

これから海外医療を目指そう、目指したいと考えている医師へ一言お願いします。

僕もそうでしたが、おそらく皆さん、「いつ参加しようか」「自分にどんな役立つ能力があるだろうか」と悩まれている方が多いと思います。そういったことは、実は、現場を見てみないと分からない事が多いです。僕も活動に参加して、実際に必要だったことは想定外のものがほとんどでした。「そういった状況にうまく適応して臨機応変に動くこと」が、実は最も求められる事だったりします。

世界の動きもジャパンハートの活動内容も僕らが想像しているより、はるかに速いスピードで変化しています。
「いつか、こんな能力が自分に備われば」「もう少し経ってから……」と考えていると確実に乗り遅れます。
とにかく、想いがあるのであれば「今」一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?
幸いジャパンハートというプラットフォームを利用することで短期から参加できます。
これからは、より多くの想いある医療者が国際医療協力に携わり、お互いにとってwin-winの関係が広がればいいなと思います。

ジャパンハート 医師 ボランティア
インタビュー 一覧に戻る

私たちは一緒に活動する仲間を募集しています!
「すべての人が、生まれてきて良かった」と思える世界を作りたい。ジャパンハートの活動に興味があり一緒に働いてみたい!という方、国際医療に関心のある方、NPOの仕事にご興味のある方など、まずは採用説明会にお気軽にご参加ください。

スタッフ募集・説明会のご案内
PAGE TOP