嘉数 真理子(かかず まりこ)
ジャパンハートこども医療センター小児科部長
出身地 沖縄県
趣味 読書、旅行、食べ飲み歩き
活動地 カンボジア
専門科(経験科) 小児科、小児血液腫瘍科
卒業年度 2004年卒業、医師15年目
ジャパンハートでの活動開始
2017年9月末
嘉数先生、活動地での業務内容・役割を教えてください。
私は、ジャパンハートこども医療センターの小児科部長として、小児がんを含む入院患者さんの治療を行っています。外来診療や小児一般の入院患者(肺炎、喘息など)はカンボジア人の若手医師と一緒に診て指導しています。
ジャパンハートで活動を始めた理由を教えてください。
研修医の頃に先輩だった神白麻衣子先生がジャパンハートの活動に参加しながら病院で働いているのを見て、興味を持ちました。小児がんを治したいという気持ちで専門分野に進みましたが、先進国では8割が適切な治療で治る一方、途上国で治る患者は2割以下というギャップに衝撃を受け、なんとかしたいと思っていました。海外での活動を考えてジャパンハートカンボジアの巡回診療に参加した際に、小児がんの治療もできる小児病院を創ると聞き、専門分野の小児科、小児血液腫瘍科の知識と技術を活かせるのではないかと思い、参加しました。
小児がんを治したいという気持ちで専門分野に進みたいと考えたきっかけ、エピソードなどありましたら教えてください。
中学の頃、父親が脳腫瘍のため亡くなったのがきっかけで、医師を志しました。医学部の病院実習で脳腫瘍の子の受け持ちになり、1年近く関わり仲良くしていたのですが、徐々に病気が進行して卒業間近に亡くなってしまいました。予後の悪いタイプの脳腫瘍だと分かっていたのですが、子どもが「がん」で亡くなることがとても悔しく、子どもの「がん」を治す専門医になりたいと思いました。
日本と活動地での医療はどこが違いますか? 違わないところは?
気候も医療環境も全く異なります。医療機器も医療資材も限られているので、大事に使うようになりました。電気、水、通信などのインフラがある程度整っていれば、限られた環境の中でもきちんとした医療を届けることは可能だと感じます。 カンボジアの乳幼児死亡率は日本の10倍以上で、亡くなる赤ちゃんが多いこと、交通ルールがまだ整備されていないため交通事故で亡くなるケースも多く、やるせない気持ちになることもあります。 違わないところは子どものかわいらしさと親御さんの想いですね。病気になることは辛いことですが、適切に診断・治療することで一緒に病気を乗り越えて、その事に自信を持って生きてもらえればと思っています。
現地で医療をする楽しみはなんですか?
子どもたちがとてもかわいいこと! 親御さんも成人の患者さんもとてもフレンドリーです。
また、陽気なカンボジア人スタッフと一緒に働いて、彼らが成長していく様子を見ることができるのも楽しいです。
活動地での忘れられないエピソードがあれば教えてください。
この1年半で小児がんだけでも6人の子どもたちを見送ってきました。一人ひとりが忘れられないのですが、肝芽腫(子どもに多い肝臓のがん)で亡くなった子の親御さんが「この子をしっかり見てくれて本当にありがとう」とスタッフに感謝して帰って行ったのが印象的でした。どうしても救えない命があるのですが、病気の治療だけでなく、その子と家族を丁寧にケアすることで、心が救われるのだと感じました。
帰国後のキャリアや見通しはどう考えていますか?
せっかく海外に出たので、今後も海外を拠点に医療活動を続けたいです。 今は完全にボランティアなのですが、どのように稼ぎつつ活動を続けていくかが課題ですね。日本国内でキャリアを積み、人脈も作って海外に出たので、いつでも地元に戻って稼ぐことができると思ってます。そういう意味ではあまり心配していないですね。
海外というのはカンボジア以外での活動も視野に入れているのですか?気になっている国などありましたら理由も併せて教えてください。
まずはカンボジアの活動を軌道に乗せ、現地のスタッフを育てて引き継ぐまでは続けたいと思っています。他にも自分の専門分野が活かせて、ご飯が美味しい国ならいいですね。
これから国際医療を目指したい、目指そうと考えている医師に一言お願いいたします。
ジャパンハートに限らず、国際医療に興味があればまずは直接足を運んで自分の目で見て体験してみてはどうでしょうか? 思い切って一歩を踏み出せば、全然違う世界が見えてきてとても面白いですよ!
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