活動レポート

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「ミャンマーで生きるということ」

up 2019.05.13

ミャンマーで生きることと日本で生きること、そこにはどんな違いがあると思いますか?

私がこのミャンマーで感じること、それは「豊かさ」です。
ミャンマーの人々の笑顔や温かさ、患者さんやワッチェ慈善病院で働くスタッフ、ワッチェ村の人々との関わりの中でとても心地良い豊かさを感じています。
その一方で、経済的に苦しい思いをしている人々がいるのもまた事実です。
どうにかジャパンハートの病院に辿り着くことができれば、医療を受けることが出来ます。
しかし、きっと私たちには想像できないほどたくさんの人が、医療を受けたくても医療が届かないまま人生を終えることがあるのだろう、と感じています。

そんなミャンマーでの活動を、研修生の目線でお伝えしたいと思います。
国際長期看護研修51期生の私たちは、半年のミャンマー研修期間の内、気付いたら残された時間はあと3ヶ月となっていました。
この研修にかける想いはそれぞれ違います。
そして、この3ヶ月見てきたこと、感じてきたこと、いま想っていること…もそれぞれ違います。
今私たちがいるこのワッチェ慈善病院での活動をお伝えするとともに、今ここでそれぞれが感じていること・考えていることを少しだけお話させてください。

まずは、クエッセイ(ミャンマー語で手術室)のことや、そこで感じることについて土屋からお伝えします。

4月後半のミッション(手術活動)は全6日間、合計120件の手術を行いました。1日20件近くの手術を行い、朝方までかかることもありました。体力的には決して楽ではない環境ではありますが、患者さんが笑顔で退院していく姿を見ると、この患者さんの人生に少しでも関わることが出来たことに胸が熱くなり、これからの明るい未来を願わずにはいられません。

看護師 海外研修 医療活動

ここワッチェ慈善病院は、日本のような設備がすべて整っているわけではありません。
それは、ジャパンハートがミャンマーの文化や現地との調和を大切にしているためでもあります。
ミャンマーの医療とはどういうものなのか、どんな環境なのか覚悟をしてきたつもりでいましたが、その違いに戸惑うばかりの毎日です。

手術室での活動を通して大切にしたいと感じたのは、「気づかい」と「思いやり」
「気づかい」は、その場の状況に応じて周囲や相手のことを考えて行動すること。
手術の流れを先読みして機械を準備したり、困っていそうなスタッフの手助けをすること等です。
一方、「思いやり」は、相手の心情に心を配って行動すること。
初めて手術を受ける患者の不安や恐怖に寄り添い、拙いながらも言葉を交わして、不安を和らげるように努めること等です。

看護師 海外研修 医療活動

このどちらも大切ではありますが、まずは「気づく」こと。
「心」を持ってその場の状況を観ていれば、足りない何かや次に必要なことに気づく。気づくことが出来れば、あとはただ行動するだけ。

しかし自分には、患者さんのことを想っていれば、周りの状況をちゃんと観ていれば出来るこの当たり前の事が、とても難しく感じます。悩みながらではありますが、一つ一つ経験を積み重ね、気づかいや思いやりの心を持ち、患者さんやその家族、現地で働いているスタッフに心遣いのできる人間になれるよう、成長したいと思います。

次に、ワード(ミャンマー語で病棟)のこと、そこで感じたことを吉田からお伝えします。

ミッション中のワードでは、入院・手術出し・手術迎えを同時進行で行います。ミッション2日目からは、手術後の患者の処置もそこに加わります。Nsステーションは人でごった返し、場所の取り合い状態になります。
ワードとクエッセイの大きな違いは、患者さんと言葉を交わす量です。
入院時に問診をするのですが、言葉の壁をはじめとした大きな課題が山積みです。
「はい、いいえ」で答えてもらえるのならいいのですが、やはりそう簡単にはいかず…
そうすると一緒に来ている家族や、もうすでに問診を終えた患者さんが、私の言葉を理解して、通訳してくれます。とてもありがたいです。(私には全く同じ発音に聞こえるのですが…)

ワードといえば、術後管理です!
日本のように医師から細かく指示は出ません。自分たちですべてを判断するのです。例えば医師に声をかけ、追加検査をしてもらうなども考えます。
モニターはなく、物品も限られている状況で、患者さんの何を看て、何を評価するのか。五感を使った看護を試されているのだと感じます。
そんななか、やはりご家族が力を貸してくれます。患者さんのそばで一晩中、患者さんの汗を拭き、ライムの香りで癒そうとするその姿は、ナイチンゲールが唱えた、まさに母のような看護師像のようにも感じます。

看護師 海外研修 医療活動

そして何より、連携が大切だと感じます。ミャンマー人スタッフは、私たち日本人の言葉が足りない部分、その患者さんの生活している背景などを考え、知識を補ってくれます。
そしてミャンマーの看護教育システム上、解剖生理などの知識が彼女たちはどうしても不足しています。そこを一緒に補いながら、学びを深めていけるように一緒に患者さんを看ています。

ワッチェ慈善病院はそんな、優しさにあふれた、温かい病院です。

最後に、このミャンマーという地は、そこに暮らす人々をはじめ、魅力に溢れているところです。
ここで活動が出来るというだけでも、かなり価値のあることだと思っています。
しかし、研修の目的は「経験」だけではありません。研修として私たちに残されている時間はあとわずかです。
3人それぞれが、人生修養の場としてここにいる意味を、考え続けていきます。

看護師 海外研修 医療活動

看護師 海外研修 医療活動

国際看護長期研修 51期生 土屋和志、野田実里、吉田真弓

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