先日、Newドクターカーでの2回目のモバイル(出張)診療をして参りました。
行き先は、ヤンゴンよりさらに車で3時間ほど南下した所にあるボーガレーという村。
私たちが住むワッチェからは、車でなんと14時間!!!!
朝5時。ミャンマー人7人、日本人3人と沢山の医療資材を積み込んだドクターカーは、ワッチェを出発しました。
見慣れた景色から、徐々に建物はまばらに…。景色も手付かずの草原へと変わっていき、舗装途中のガタガタ道をボーガレーへ向けて進んでいきます。
ボーガレーに近づくにつれ、景色はさらに変わり、豊かに木が生い茂り、その中に家があり、家の前には小さな小川が流れ、農作業に明け暮れる農民の姿がありました。
素朴で働き者のミャンマー人と、それを取り囲む豊かな自然。瑞々しい窓の外の風景から目が離せませんでした。
ボーガレーに到着したのは夜の7時でした。
翌朝、6時に起きてお寺の敷地内にある診療所をお借りして診療の準備をはじめました。
しかし、診察用のベッドを確認すると、足が蟻に食われてボロボロになっていて使えない!
さらに診察用のパーテーションとなるものが何もない!など次々問題が起きましたが、現地スタッフの力も借りながら、宿舎から代替となるベッドを運んできたり、急遽即席のカーテンを設置して何とか診察の準備が完了。
外を見ると、診察開始前にも関わらず我々を待つ患者さんが列をなしていました。
お寺の敷地内にも川が流れており、船に乗ってやってくる人もいて驚きました。
ボーガレーのモバイル診療に来ていた患者さんで特に多く見られたのは「皮膚疾患」と「腸炎」でした。
住人たちは一帯に流れる川の水で水浴びをしているのですが、川の水が格段に汚い…
研修生とミャンマー人スタッフが近場を調査したところ、いろいろな事がわかってきました。
同じ水を使って水浴びをしているのに、お寺の僧侶の皮膚は比較的綺麗で、目立った湿疹なども見られなかったのです。
彼らは川で一日2回水浴びをした後、必ず最後はきれいな水で体を流しているとのことでした。
何よりも驚いたのは、飲み水。
小さなお坊さんや近隣住民が何やら蓮池で水くみをしている。その水を何に使うのか聞いたところ「飲み水です」と、ペットボトルを大事そうに抱えている。
そうだよなあ。そりゃあお腹も壊すし、寄生虫にも脅かされる。せめて、きちんと煮沸してから飲んでくれていればいいのだけれど…。
普段病院の中にいては目にすることのなかった、患者さんの生活現場を目の当たりにして、今一度、自分が発展途上国にいる事を自覚させられました。
診察と一次的な薬を処方することでよしとするのではなく、その土地の健康上の問題点を見つけ、それに沿った健康・生活指導を行うべく、また必ずやボーガレーに伺いたいと思います。
2日間で288名の患者さんを診察し、11名がワッチェ慈善病院で行われる手術ミッションにて手術予定になりました。
お金がなくて、手術を受けられなかった患者さんに、医療を届けることができる。
14時間かけてここまで来てよかったなあと思いました。
ミャンマー アドバンスドナース 工藤清佳