ミャンマーの公教育には音楽がありません。ピアニカやリコーダーに触れる機会もなければ、楽譜の意味を知ることもなく、モーツァルトやベートーヴェンが誰かを教わることもなく、吹奏楽やオーケストラも一般的ではありません。そんな状況に一石を投じ、子どもたちに音楽を学ぶ喜びを感じてほしいと、今月からリコーダー教室を始めました。
Dream Trainでは、STEAM(Science, Technology, Engineering, Art, Mathematics)教育に注力しています。ScienceやTechnology, Engineeringの部分では、オンライン理科教室やプログラミング教育を始めていますが、残る”A”のピースをどうするか…。そう考えていたところ、願ってもないチャンスが訪れました。
お話をくださったのは、子どもの里親であり、以前Dream Trainで音楽指導をしてくださっていた支援者の方です。子どもたちがミャンマー語で音楽の基礎を学べるようにと、ミャンマー語でのリコーダー解説動画を特別に作ってくださったのです。
Dream Trainのニーズと、支援者の方のご厚意が一致し、早速始めることにしました。Dream Train音楽教室のスタートです。
希望者を募ると、28人の子どもたちが集まりました。ご寄付いただいたソプラノリコーダーを出し、ミャンマー語での丁寧な解説がついた動画を見ながら構えては、息を入れていきます。
ほのぼのとした音と同時にこぼれる、子どもたちのはにかんだ笑顔。自分の息が音になった瞬間に舞い降りる新鮮な感覚が、子どもたちを包んでいました。
そんな淡い喜びの後は、今日の課題へ。「シ」の音を学びます。動画に示された指番号に沿って、慣れない手つきに戸惑いながらも、今日の音にたどり着きます。
すんなり音の出せる子もいれば、息を込めすぎて音のコントロールに悩む子や、右手と左手が逆になっている子もいたり…。そのたどたどしさも含めて、実に初々しい時間でした。
一通り音が出せるようになったら、譜例に従っての練習です。模範演奏を聞いた後にやってみますが、やはりつまずきます。楽譜から情報を得て、それを表現するという意識がないため、一定のテンポで演奏することや、四分音符と八分音符の吹き分けがうまくできません。この点は、これからの伸びしろであろうと思います。
STEAMの”A”は、ドイツ語では「アー」と読みます。西洋音楽では、音はイタリア語の「ドレミ」か、ドイツ語の「ABC(アー・ベー・ツェー)」で表現されるのが一般的です(ドイツ語音名とドレミは対応しており、A=ラ、C=ドになります)。そして、A(アー)の音は、オーケストラの舞台上で、演奏直前のチューニングの音として使われます。その意味では、これから始まる壮大な音楽絵巻の最初の音とも言えるのです。
“A”から始まるDream Trainの音楽。さて、次はどんな音が出るのでしょうか。
そのトキメキに期待しながら、子どもたちと一緒に、素敵な音楽を探したいと思っています。
子どもたちの日々の様子をアップしています。ぜひご覧ください!
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