今年の3月下旬、ミャンマーで初の新型コロナ陽性者が発見されて以降、国内では様々な行動規制が敷かれています。
映画館やマッサージ店への休業命令、州や管区を超える移動の制限、夜間外出禁止令などの措置がとられており、これに違反すれば厳しい罰則が適用され、現実に逮捕者も出ています。
この背景には、国内の感染拡大が一挙に拡大したという事態があります。8月下旬以降、ラカイン州を発端とした市中感染が他の地域にも広まり、ヤンゴンを中心に日々1,000人以上の陽性確認者と、20-30人の死亡者が出始めました。それまでは、累計の陽性確認者が360人、死亡者が6人に留まっていたにもかかわらずです。
この状況を重く見たミャンマー政府は徐々に規制を強化し、9月の下旬には、大規模な自宅待機令を発出し、医療職などの一部の職種を除いて、在宅勤務とするよう命じました。それから2ヶ月以上が経ちますが、好転の目立った兆しは見えません。
この困難によって、多くの人々が生活の変化を迫られていますが、ミャンマーの中で畏敬の対象となる僧侶たちも例外ではありません。
人々の信仰の象徴であるパゴダ(仏塔)が閉鎖となり、あらゆる宗教行事が、取り止めあるいは縮減となり、毎朝托鉢で家々を周る修行僧の姿も見えなくなりました。加えて、各種行動規制による経済の停滞により、普段なら集まるはずの寄付も減少するなど、厳しい現実に直面しています。
ジャパンハートは、ヤンゴンにある2つの僧院(僧侶が身寄りのない子どもを引き取り、共同生活をしながら読み書きや仏門修行を施す施設)に対し、衛生教育指導や皮膚疾患の治療といった支援をしてきました。
また、駐在されていた日本の方々も、ご厚意でバスタオルや石鹸などの日用品をご寄付くださっていました。しかし現在は、移動に関する規制で医療スタッフを自由に派遣することができないことと、多くの日本の方々が帰国されたことにより、従来と同じような支援が叶わずにいます。
衛生指導と物資寄付は、支援の両輪を成すものです。知識があったとしても、必要な物資がなければ十分な衛生管理はできず、一方、ものが潤沢にあったとしても、その使い方を知らなければ、あるいは間違っていたら、健康を保つことはできません。
幸い、これまで実施してきた衛生指導により、僧侶も子どもたちも基本的な知識を身につけてくれています。そこでジャパンハートでは、ヤンゴン在住のスタッフによる物資寄付と、医療スタッフによる電話フォローという形で支援を続けています。
今までの取り組みの蓄積により、もどかしい状況下においても、支援を継続することができています。
感染拡大の防止を前提に、ジャパンハートはこれからも、苦しむ誰かに手を差し伸べるべく活動していきます。
ミャンマー事業部 早坂
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