活動レポート

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【ミャンマー】国難下でも維持ではなく、前進する。

up 2025.01.07

まもなくクーデター発生から4年が経ちます。

ミャンマーの国内情勢は引き続き不安定で、国民の生活は徐々に厳しくなっています。頻発する停電にクーデター前から比べると3−4倍にも上る物価高騰、国内紛争の悪化、そして徴兵制を逃れる若者たちの海外への流出に加え、9月にはジャパンハートが地方医療支援として活動している地域を含め広範囲に渡る大規模な水害にも見舞われました。

ミャンマーは、今もなお苦難な状況に立たされ続けています。

ワッチェ慈善病院周辺の状況はというと、一見すると以前と変わらない穏やかな光景が広がっているように見えます。

しかし実際には、18時を過ぎると車やバイクの行き来や人影もすっかりとなくなり、時に響き渡る銃声や爆発音に住民たちは息を潜め怯えながら、いつでも避難できる準備を整えて生活しています。少し前までは離れた場所でのことだと思っていた紛争が、身近に迫って来ているのです。

それでも病院には、治療を求めて患者さんたちがやって来ます。上半期には3,416名の外来診察と共に、432件の手術を実施しました。周辺の治安状況が良くないにも関わらず、コロナ以前とほぼ変わらないペースで患者さんが治療を求めて来ていることからも、ミャンマー国内の医療体制がいかに厳しい状況にあるかが分かります。

小さな体にも関わらずお腹だけがパンパンに膨れ上がったピョーくん(4歳)もその一人。ヒルシュスプルング病という腸を動かす神経細胞が生まれつき欠損している病気をもつピョーくんは、ガスや便を上手く出すことができません。小さい頃にお父さんが亡くなり、農業の手伝いをしながら女手一つでピョーくんを育てるお母さんは、「小学校に上がるまでに、何とかこのお腹を治してやりたい」と、道中の治安が悪いにも関わらずピョーくんを連れて命がけで母子二人で来院しました。

【ミャンマー】国難下でも維持ではなく、前進する。

まずはガスと便で膨らんだお腹をへこますために人工肛門を造る手術をし、ピョー君のお腹はぺたんこに。無事に手術が終わってすやすやと眠るピョー君を、ホッとした表情で見守るお母さんの姿が印象的でした。

【ミャンマー】国難下でも維持ではなく、前進する。

8月には病院近くの都市の治安状況の悪化に伴い、現地の日本大使館より日本人に対しワッチェから避難するよう勧告が出されました。吉岡秀人はじめジャパンハートに対し、直々に声もかかりました。

しかし、治安が安定しないなかでも、何とか治療を受けたいと最後の希望をかけて患者さんたちが私たちの元へやって来ます。そして現地スタッフたちも、この状況下でも現場に留まり医療を提供し続けています。

医療活動を止めるわけにはいきません。

医療支援のニーズが高まっている今だからこそ、可能な限りの活動継続を目指すと共に、新たにヤンゴンでの医療活動開始に向けても準備を進めています。

ミャンマー プロジェクトディレクター・看護師 河野朋子

▼ミャンマー プロジェクトの詳細はこちらから
ミャンマー

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