日本語クラスの授業内容と子どもたちの様子を第一期:3月から5月まで(ミャンマー夏休み期間)と第二期:6月から11月までの全2回に分けて報告いたします。
第1回目の今回は「Basicひらがなクラス」「Basic会話クラス」「Elementary会話クラス」です。
私は日本語教師養成講座を修了後、1年半、フィリピンのNGOで初級(N5)クラスを担当していました。
養育施設Dream Trainでは、ミャンマー人のニラ先生が文法を中心に授業されているため、ここでは、外国人(日本の英語授業の外国人のような)として、会話中心の授業を担当しています。
*日本語能力試験N1〜N5:日本語能力試験(JLPT)は、日本語を母語としない人の日本語力を測る試験で、N1からN5までの5つのレベルがあります。N1が最も難しく、N5が一番簡単です。
1)Basicひらがなクラス
第一期:Grade 2~9(20~32名)・1.5時間×週2日
第二期:Garde3~9(11~18名)・1時間×週2日
①覚える ②書く ③読む ④「簡単な会話」①「あいうえお」の歌をリズムに乗せて歌うと、直ぐに覚えてしまいました。
②なぞり書きから始めましたが、「めとぬ」「れとわ」などの似た字も多く難しいので、時間がかかります。
③あ行、か行の順に、5文字ずつ、語彙の絵カードを使って練習しています。
④初めは教科書「いろどり」を使いましたが、日本に住んでいない、また小学生があまり使わない例文も多いため、子どもたちが普段ミャンマーで話している会話を中心に練習しています。
初めて日本語を勉強するクラスです。
人数が多いので1対1の読み書きや会話に十分な時間をとれません。
かつ、日本語を覚えたいというモチベーションも人それぞれですので、途中で止めてしまう子もいます。
特に小学校の低学年は飽きやすいので、毎回、色々なアクティビティーを実施したり、途中にYou Tubeを見たりしています。
ひらがなに関しては、スピードを競うゲームが一番盛り上がります。
第一期はチーム別に分かれ、ローマ字の横に、ひらがなの切り抜きを貼っていき、正解数とタイムを競うゲームが一番盛り上りました。
第二期は絵カードを見てひらがなを書く練習をした後、絵カードを見せ、語彙を言って、「ひらがなシート」から正解を指差したり、正解の語彙カードを取るカルタをしたりしています。
絵カードを見せ、正解のひらがなを何枚とれるかは、割と盛り上がります。
週2日のクラスなので、翌週にはひらがなを忘れがちですが、なぞり書きと絵カードを見てひらがなを書く練習を繰り返すと、みんなキレイなひらがなを書けるようになりました。
また、絵カードの練習で、語彙数も増えていきました。
会話に関して、ミャンマーの挨拶はこんにちは」より「ご飯を食べた」という感じなので、
朝ご飯を食べた?
美味しかった?
何を食べた?
と、徐々にできる会話数を増やしています。
またその都度、動詞、形容詞の時制の活用を図で示し、理解しやすいようにしています。
ひらがなを書けるようになったり、語彙が増えたり、できる会話数が増えると、どんどん楽しくなっていきます。
2)Basic会話クラス
第一期:Grade 6~11(14名)・1.5時間×週2日
第二期:Garde7~10(6~8名)・2時間×週1日
テキスト:「日本語、これだけ」(トピックシラバス)
①簡単な会話 ②基礎文法 ③語彙トピック:お腹が空きました、私の一日、町の情報、旅行しました、お金があったら、好きがいっぱいなど
① トピックについて、簡単な会話をします。まずゼスチャーを交えて、ゆっくりと話した後、みんなで会話します。
② 各トピックの提示文法を、Q&Aの会話形式を表で提示し、授業の後、配布しました。
③ テキストの語彙の発話練習をして、覚えていきました。
第一期は2~4人のグループに分かれ、各トピックについて、文型ごとに会話練習をしました。
人数が多かったのですが、日本語能力試験N4・N5(基礎レベル)の合格者が数名いましたので、そのメンバーを中心に、グループ会話は楽しく進みました。
第二期はN5を勉強し始めたばかりの子どもたちが多く、且つ第一期に比べ人数も少ないため、グループに分かれずみんなで会話するようにしています。
授業の初めにまず板書し、時制を表す語彙と、動詞、形容詞、形容動詞の時制の活用(普通形)を練習しています。
昨日、今日、明日。先週、今週、来週。先月・・・。
今日、学校に、行きます、昨日、行きました、今日、行きません、昨日、行きませんでした。
動詞・普通形なら、「辞書形・た形・ない形・なかった」、丁寧形「ます・ました・ません・ませんでした」
「形容詞なら「い・かった・くない・くなかった」を、リズムに乗せて歌うようにしています。
やはり、リズムに乗せて歌うと、考えなくても活用が口から出てきやすくなります。
また、5W1Hも板書し、熟語に対する助詞を、質問形式で覚えるようにしています。
行きました→いつ、行きましたか、どこに、行きましたか、だれと、行きましたか、何で、行きましたか、など。
第二期は週一回の授業なので、エビングハウスの忘却曲線を参考に、3週間に渡って反復復習をしています。
初めは語彙や時制が出てこなかったりしますが、ゆっくりと繰り返すことによって、みんな徐々に、上手く、早く言えるようになり、日本語を話せる実感が、楽しみを増加させているように感じられます。
3)Elementary会話クラス
第二期:Garde 9~10(5名)・1.5時間or1時間×週2日
テキスト:「日本語、これだけ・2」(トピックシラバス)
①初中級の会話 ②基礎文法 ③語彙トピック:旅行、休みの日、理想の人、楽しかった事、おもしろ自慢など。
① トピックについて、簡単な会話をします。まずゼスチャーを交えて、ゆっくりと話した後、みんなで会話します。
② 動詞、形容詞、形容動詞の時制(普通形)の練習し、5W1Hの板書を使って、複文を解説。
③ テキストの語彙の発話練習をして、覚えていきました。
Basic会話クラスの参加者がステップアップして、本クラスに参加してくれています。
N5からN4レベルへ内容が進みますが、夏休みにBasic会話クラスでかなり話せるようになったこと、また、ニラ先生の文法授業を受講していることから、かなり上達し、積極的な会話ができるようなりました。
このクラスでも、動詞、形容詞、形容動詞の時制を板書し、解らない時に頭を整理できるようにしています。
また複文は、5W1Hの板書を使い、短文に分けて、複文になる過程を解説しています。
このクラスになると、話せる日本語が増えていくことが、とても楽しいようです。
次回は、「聴解・読解クラス(N4・N5)」「漢字クラス(N4・N5)」「漢字クラス(N3)」「上級クラス(N2)」の様子をお届けいたします。
日本語教師・長期ボランティア 岩崎
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