宇宙や素粒子の中高生探究活動をサポートされている加速キッチン合同会社の田中先生が日本からDream Trainにお越しくださり、2日間にわたるワークショップを開催してくださいました。
田中先生は加速キッチンで代表を務めるだけでなく、大学で物理学研究をされている研究者でもあります。
今回は物理に対して苦手意識を持っているDream Trainの子どもたちの好奇心を刺激し、楽しく学べるユニークな授業を展開してくださいました。
宇宙の始まりから物理学へ
「宇宙はいつできたか知ってる?」
田中先生の授業は、いきなり壮大な質問からスタートしました。
この問いに、小学4年生の女の子が「地球ができたとき!」と回答してくれましたが、正解はなんと138億年前。
田中先生は、先生自身が授業に参加する子どもたちと同じ年の頃に、「どうしてそんな遠い昔のことがわかるのだろう?」と疑問を抱き、物理学の世界にのめり込んでいったそうです。
ワークショップ①:「音のスペクトルから声の不思議を探そう」
10月22日に実施されたクラスは、小学生20名を対象に行われた「音がなぜ聞こえるのか」をテーマにしたワークショップでした。
まずは音の基本的な要素(高さ・大きさ・音色など)について、どのように空気を伝わって私たちに届くのか、その仕組みを丁寧に説明してくださいました。
続いて、田中先生が作成したウェブアプリを使い、子どもたちの声を波形にしてiPadで視覚的に観察し、様々な音を分析しました。
例えば、物を叩く音、子どもたちの声、日本語やミャンマー語の母音などです。
子どもたちもげんきいっぱいに「あー!あー!」とタブレットのマイクめがけて、大きな声で叫んでは波形の違いを確認していました。
特に興味深かったのは、ミャンマー語の二種類の「イ」の音でした。日本人には判別が非常に難しい音ですが、スペクトルを通してその違いを解明していくと、それぞれ特徴があることがわかりました。
この発見は、普段何気なく発音している子どもたちにとっても、新たな体験となりました。
田中先生から「私たち人間の脳は、音の形の微妙な違いをしっかりと認識できるほど賢いんだ」と教えていただいたのも、とても印象的でした!
ワークショップ②:「リバーシAIをつくろう」
10月23日は、中学生20名を対象に「リバーシAIをつくろう」というワークショップが開催されました。
ミャンマーではリバーシにあまり馴染みがなく、今回参加した子どもたちはだれもルールを知りませんでした。
まずは、Dream Trainの子どもたちにルールを教え、友達同士で楽しむことから始めました。
次に、田中先生と一人の男の子が対戦。初めてリバーシをする子どもに対して、田中先生は2014年に世界ランキング100位に入ったリバーシの達人です。
周囲の子どもたちは「どっちが勝っているの?」と興味津々で試合を見守ります。
序盤は拮抗していたものの、最終的にボードは田中先生の色で埋め尽くされ、子どもたちからは驚きの声が上がりました。
対戦後、子どもたちはなぜ負けたのかを考察。
「角を取ったから勝てた」という意見が出た後、田中先生のアドバイスから「相手の打てる場所を計画的に減らす」という新たな戦略が見えてきました。
その後、子どもたちは田中先生が開発したリバーシAIと対戦し、自分なりの戦術を練りながら試行錯誤を重ねました。
最後には、自分でAIの動きを調整することにも挑戦し、どこに優先的に打つべきか、どれくらいの数を返すかなどの戦略を数値化し、AIを強化していきました。
このプロセスは、単に強いAIを作るだけでなく、プログラミングや論理的思考の基礎を学ぶ機会にもなりました。
子どもたちは、曖昧な指示ではコンピューターが正しく動かないこと、自分の考えをどう正確に論理的に伝えるかが重要であることを実感したようです!
新たな科学の扉を開く
今回のワークショップを通じて、子どもたちは普段は目に見えない不思議な世界に触れることができました。
田中先生が投げかけた問いや、新しい視点を得られた体験は、子どもたちの中に科学や物理への興味が芽生えるきっかけになったかもしれません。
こうした学びの場を通じて、Dream Trainの子どもたちが新たな世界に向かって羽ばたいていく姿を楽しみにしています。
田中先生、ありがとうございました!
子どもたちの日々の様子をアップしています。ぜひご覧ください!
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