「ミンガラーバー!」。(ミャンマー語で「こんにちは」!)。
栄養管理部の溝口です。
ジャパンハートでは、ミャンマーのヤンゴンに「Dream Train(ドリームトレイン)」という養育施設を設けて、エイズ等の病気で親を亡くした子どもなどを支援しています。
一昨年から年に1度、カンボジアからオンラインで子どもたちに「食育」の指導をしてきましたが、今年はついに直接現地で実施することができました。
今回は、その時の様子について詳しくお伝えします!
大盛り上がりの食育クイズ
指導は3つのグループに分けて実施しました。
小学生向けには、「好き嫌いなく食べよう」。
中学生向けには、「世界の栄養問題について考えよう」。
高校生以上向けには、「健康的な食生活を実践しよう」。
元気いっぱいの小学生
内容は渡航前に現地の担当者から課題やニーズを確認したり、子ども達の体格データを参考にしたりして決めました。
小学生には、〇×クイズで「元気に生活するために必要な食習慣」について学んでもらい、中学生にはゲームを通じ、「栄養過剰と栄養不足が同時に生じる『栄養不良の二重負荷』」について学んでもらうことを目標にしました。
そして、高校生以上はドリームトレインの卒業が近づいているため、自分自身で健康管理ができるよう体格評価の方法や栄養バランスを考慮した食事の摂り方について学んでもらえるように内容を考えました。
そして迎えた本番。小さい子どもたちは元気いっぱいで質問すると前のめりに答えてくれますが、大きくなるにつれて、反応が控え目になっていきました。
これは日本の子どもたちも同じですね。
だんだんと挨拶が静かになっていくので、「ちゃんと参加してもらえるかな?」と不安になりましたが、ゲームやワークシートを用いて参加型にしたことが功を奏したようです。
静かなのは序盤だけで、どのグループもとっても盛り上がりました。
子どもたちの理解力も高く、後で担当者を通じて感想を聞いたところ、まさに私が伝えたかったポイントを理解してくれていて、安心しました。
中学生向けに行ったゲームの結果発表
限られた予算で栄養改善 手づくりシートの導入
食育の後は「給食改善」のミーティングです。
ドリームトレインでは、子どもたちに毎日3食の食事を提供しています。
専従の栄養士はいませんが、過去にいただいた支援のおかげもあり栄養には気を配っています。
2名のミャンマー人スタッフが調理を担当し、1食あたり赤・黄・緑色の3色食品群を必ず揃え、1日に1回は果物も添える、といった施策が実施されていました。
そこで、次のステップとして私がアドバイスしたのは、次の2点です。
「子ども達の必要栄養素量に基づいた量の調整」と「不足しやすい栄養素の補完」。
量の調整に関しては、子ども達に必要な量が調理されて提供されるよう、発注量計算シートと配膳目安量シートを作成しその活用方法を伝えました。
さっそく次の週にはそれを活用して配膳を始め、子どもたちがちゃんと全部食べているか、チェックしてくれているそうです。
子ども達がごはんを食べられているか確認
どう摂る、カルシウム!? 現地スタッフと協議
次は不足しやすい栄養素の補完についてです。
特に鉄とカルシウムを補えるよう、スタッフと一緒にミャンマー文化に合う食材や調理法について検討していきました。
なかでも印象的だったのは、カルシウムについての話し合いです。
カルシウムは、日本でも必要量に達するのが難しい栄養素です。
日本の給食で毎日出てくるように、牛乳はカルシウムを摂るのに手っ取り早い食材なのですが、予算的に購入できません。
そこで私が提案したのが、魚の骨を揚げてつくる「骨せんべい」です。
現地のスタッフも「市場から魚の骨をサービスでもらえることがある」とか、「ミャンマーのスパイスをつけて食べられるかも!」と案外乗り気で、さっそく試作することになりました。
低予算かつ栄養バランスアップにつながる、良いおやつができそうです。
給食改善ミーティング
食育、給食改善に続き、看護師ボランティアと一緒に身体測定の結果から栄養不良が疑われる子どもたちの個別相談も実施しました。
実質2日間という短い滞在でしたが、子どもの元気さに癒され、ボランティア・スタッフの意欲の高さに圧倒され、感激の日々でした。
ミャンマーのドリームトレインに少しでも力を添えられたことを光栄に思います。
同じジャパンハートの一員として、今後もミャンマーに関わり、子ども達の栄養を支えていければと考えています。
溝口 喜子 栄養管理部部長 / 栄養士
2022年6月からカンボジアで栄養士として勤務している溝口です。
大学卒業後は民間企業に就職しましたが、そこから管理栄養士養成校(大学)に入りました。
給食提供・栄養教育を通じて多くの方の心と体の健康を支えられるようがんばります!。
子どもたちの日々の様子をアップしています。ぜひご覧ください!
Dream Trainインスタグラム
https://www.instagram.com/dreamtrain_yangon/?hl=ja
Dream Train You-Tubeチャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=PCVE0fBt5Ew&t=9s
▼プロジェクトの詳細はこちらから
Dream Train 子どもたちの夢や未来を育む養育施設