日本では新年度が始まりました。春風に桜が踊るこの時期は、気分を一新するのにぴったりの季節です。
ミャンマーでは学年末試験が終わり、4月からは夏休みに入ります。
6月の新学期まで学校はなく、この間に子どもたちはさまざまなアクティビティに挑戦します。
昨年度、ジャパンハート部(*)のメンバーで、中学校で理科を教える先生からお話をいただいて始まったオンライン理科実験教室も新年度の再スタートを切りました。
BTB溶液から磁界の動き、液体窒素など、多彩な科学の世界を覗き見た子どもたちには、どんな「続き」が待っているのでしょう。
しかし、今回はいつもと様子が違います。先生はいつもの白衣を着ておらず、手にしているのも折り紙です。子どもたちも、嬉々とした表情で幾何学模様の紙を持っています。
そう、今日のテーマは折り紙。試薬や機械は使わず、紙だけで授業が進んでいきます。
課題は「蛇腹折」と「ミウラ折り」です。先生の指示にしたがって、事前に印刷した幾何学模様を丁寧に山折り・谷折りしていきます。
この地味な作業の中で明らかになるのが、男子グループと女子グループの違いです。
早々に挫けた男の子たちは、鼻歌を歌いながら別の作業を始めてしまいます。折るのは紙だけでいいのですが、先に心が「折れた」ようです。
一心不乱に黙々と進める女子たちとは対照的です。ミャンマーの縫製業が女性によって支えられているという現実を、間近で感じた次第です。
上手に折れた子たちはとても嬉しそうな表情です。時間の都合上、「ミウラ折り」までは完成できませんでしたが、後で挑戦してみたいと、意欲を見せてくれました。
それにしても、なぜ折り紙だったのでしょう。折り紙と理科の間には、どんな関係があるのでしょうか。その種明かしは、授業の終盤で行われました。
実は、今回挑んだ「ミウラ折り」には、高い実用性があります。
日本人の三浦公亮氏が編み出したこの折り方は、紙がジグザグに折られることで折り目が重ならず、開閉時に紙への負担が少なく済みます。
結果として、紙が破けにくくなるのです。この特徴は商業利用され、商品カタログや地図、レジャーシートに使われています。
その実用価値は、地球外でも有効です。
1995年に打ち上げられた「宇宙実験・観測フライヤSFU」が行った、宇宙空間での太陽光パネルの展開収納実験でも、この「ミウラ折り」が使用されました。
掌から宇宙へ。ただの紙1枚が、最先端のテクノロジーに接続する。
身近なものから技術の深淵を感じ取ることのできる、すばらしい授業でした。
(*)ジャパンハート部とは、ジャパンハートの活動に共感し支援してくださるマンスリーサポーター(毎月寄付)の方々限定のコミュニティです。ジャパンハート部では、支援者の皆様の支援がどのような価値のある活動につながっているのかの報告、支援者の皆様にもこの活動にかかわっていただくためのイベント・企画を行っています。
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