「東南アジアのラストフロンティア」として世界から注目され、外資系企業の進出が相次いでいたミャンマー。
クーデター発生後の2021年4月に在ミャンマー外国商工会議所が行なったアンケート調査では、国からの撤退を計画している外資系企業は少ないことが明らかになったものの、現在は新型コロナウイルス第三波の影響も加わり、大幅な景気後退が止まりません。
養育施設Dream Trainの卒業生の中にも、職を失った人、ヤンゴンでの転職活動ができず村に帰る選択をした人たちがいます。
2019年に縫製工場の職場体験に参加した時の様子
ある卒業生のお話
今年4月、ヤンゴンの日系企業で約2年半勤めていた女の子から就職相談の連絡がありました。彼女も、昨今の情勢による事業縮小の影響を受け、再就職先を探しているうちの一人でした。
彼女は、勤勉で、日常会話レベルの日本語を話すことができます。
コロナ流行前でしたら、きっとすぐに転職先を見つけることもできたでしょう。
しかし、現状下で人材雇用を行なっている企業を探すのは至難の技です。
私たちは、彼女の仕事を探すべく、以前からDream Trainの子どもたちに教育支援を提供してくれているミャンマー人ボランティアスタッフにコンタクトを取り、日本語人材を募集している企業がないかと相談を持ちかけました。
すると、意外な返事が返ってきました。
タイピングの練習をする男の子
要約すると、『数年前、該当の女の子は無償で提供していたクラスへ出席していたが、授業に真摯に向き合う様子が見られなかったため仕事を紹介するには不安がある』ということでした。
私は、当時そのような問題があったことに全く気付かなかったことを反省すると共に、女の子に率直にこの問題について尋ねてみることにしました。
すると彼女は、当時、失礼に当たる態度をとっていたことに気付いていなかったと、そして深く反省をしており、謝罪の電話をすると約束をしてくれました。
そして、その夜、彼女からこんな内容のメッセージが届きました。
早速〇〇さん(ボランティア)に電話をして、当時の失礼な行いについて謝りました。
謝罪を受け入れてもらえて、履歴書を送るように言われたのでメールをしておきました。
今回、このように明確に説明していただき、本当にありがとうございました。
先生が説明してくれなければ、私は知ることがありませんでした。
そして、私は、失礼な態度を繰り返していたかもしれません。
もしまた何か気付いたら、ご指導ください。
2018年に農業体験に参加した時の様子
私は、女の子に話をする前、彼女の当時の態度を指摘したら落ち込んでしまうのではないか、ネガティブな反応が返ってくるのではないかと少なからず心配をしていました。
彼女をまだ、『子ども』だと思っていたのです。
いつの間にか立派な社会人に成長していた彼女からのメッセージを読み、自分が恥ずかしくなると共に、施設を卒業してからの3年という時間が、彼女にとってはどれだけ有意義で貴重なものであったのか、そして前職で、彼女の上司や先輩の方々がどのように彼女をご指導くださっていたのかを感じました。
職を失おうとも、決して失われることのない財産。
それは、様々な刺激を受け、多くの価値観を持つ人と関わることで築かれていくものなのだと思います。
混乱が続くミャンマーですが、これからも子どもたちと共に目指す教育のゴールを確認し合いながら進んでいきたいと思います。
子どもたちの日々の様子をアップしています。ぜひご覧ください!
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