ミンガラーバー!アドバンスドナースの大橋です。
今回は、前回の「vol.1準備期間編」の続編、実際に手術活動が開始した手術活動期間編をお伝えしていこうと思います!
ジャパンハートの創設者である吉岡先生がワッチェに来られたら手術活動が開始されます。吉岡先生がマンダレー空港から病院に到着されるタイミングは、スタッフ全員で病院の玄関でお出迎えをします。いよいよ手術活動が始まるな、と緊張しながら先生の到着をみんなで待ちます。
そして、先生の到着!先生が私たちに「おつかれさま。」と声をかけてくれます。
先生が手術室に入られたら、すぐに手術スタート!
手術室から病棟の方へ、手術患者さんを手術室に入れてもらうように声をかけます。
手術を行うミャンマー人医師や看護師が手術開始の準備を始めます。
手術の直接介助(手術を行う医師やアシスタントに手術器具を手渡して介助をする人)は現地ミャンマー人の看護師たちが行うことが多いのですが、テキパキと器械の準備を行い、介助をこなしている姿を見ていると、頼もしいなあと感心してしまいます。
ワッチェの手術室には、手術を実施できる部屋が二つあります。
手術期間中には、この二つの部屋をフル活用し、二部屋並列で手術を行っていきます。
すばやく手術が終わった患者さんを退室させ、次の手術患者さんを手術室に入れます。
日本で行われる手術と、ここワッチェで行われる手術とで何が違うのかというと、ほとんどの疾患の手術を局所麻酔で行うという点です。
日本であれば、腰椎麻酔、または全身麻酔で手術する疾患をここでは局所麻酔、つまり患者さんの意識がはっきりしている状態で、メスを入れる部分のみの痛みを取る方法で手術を行っているということです。
なぜそのような方法でやっているのかというと、全身麻酔など患者さんを眠らせることによって、手術中や手術が終わった後の容態の変化を起こしやすくなることにつながります。また、術後の絶飲食時間も長時間となり患者さんのストレスや負担を増やしてしまうことにもつながるからです。そのため、できるだけそのようなリスクを減らし、患者さんへの負担を減らすためにその方法をとっています。また、麻酔に使用する薬剤も高価なものが多いため、本当に全身麻酔が必要な患者さんのみに使用する、その患者さんに適切な麻酔方法を選択することで、コストの削減も行っているのです。
しかし、一番私たちが大切にしているのは、患者さんの安全、また、患者さんの安心・安楽です。局所麻酔で手術を行う患者さんは、意識がはっきりしている分、手術室に入ってベッドに横になる瞬間、メスが体に入る瞬間が一番怖いと思います。そのような患者さん達の不安や恐怖を少しでも和らげることができるように、私達看護師の役割があると思っています。患者さんへの声掛け、寒くないようにタオルをかぶせる、などちょっとしたことに気を付けるように心がけています。
手術室の中も慌ただしくスタッフが動いているのですが、病棟の方も手術出しをしながら手術が終わった患者さんの受け入れとバイタルサイン測定、それをこなしながらの翌日の入院受けとベッドコントロール、術後の患者さんの処置、点滴確保…などやらなければならないことは山ほどあります。
いかにスタッフ全員で協力しあい、声をかけあいながら助け合い、患者さん達のために仕事をしていくことが大切か、ということを考えさせられます。
一日の手術件数が20件を超えることもしばしば…。その日の手術が、夜中までとなり日付けを超えることも多々あります。
でもただひたすらに、目の前の患者さん達が安全に手術を終えられるように、できるだけ苦痛な時間が長くならないように、スムーズに手術が進められることだけを考えて、スタッフみんなで力を合わせて頑張っています。
ほとんどの手術は現地のミャンマー人医師が行います。
昔から吉岡先生の手術に入り、先生の手術を見て感じて学び、今では自分でそのほとんどをやってのけるまで成長したミャンマー人医師です。
吉岡先生の手術は、本当に早いのですが、そのミャンマー人医師の手術のスピードも吉岡先生に負けません。私たちは先生たちの手術のスピードについていけるようにいつも必死なのです!
神経が複雑にある部分の手術や大きい難しい手術は吉岡先生が行います。
吉岡先生の手術は一段と緊張感が増します。手術室内の雰囲気が一気に張り詰め、みんなの集中力が高まっていることが分かります。
先生は本当に様々な手術を行います、子供から大人まで、部位も多岐にわたります。
その知識の深さや経験の濃さを手術する手元から感じ取ることができます。
私は、できるだけ多くの人に吉岡先生の手術を見ていただきたいと思っています。
医療者であれば、吉岡先生と一緒に手術に入らせてもらえるかもしれません。
ぜひ、ここワッチェやカンボジア、ラオスの活動地に足を運んでいただいて、実際に目で体で色んなものを感じていただきたいです。
次回は、いよいよ最終回。手術活動終了後の様子をお伝えします!
アドバンスドナース 大橋理世