2018年10月から始めた僧院への往診も1年が経ちます。
現在はヤンゴンの2箇所の僧院(600人)に月に1回ずつ往診をしています。
長かったヤンゴンの雨季もやっと終わりが見えてきました。
子どもたちの皮膚の状態も以前と比べるとだいぶ良い状態が続いています。
ヤンゴン在住の日本人の方も少しづつ仲間になってくれる方が増えてきています。
先日、みゃんこん(https://www.nna.jp/news/show/1904216)でプレゼンテーションをさせていただき、さらに多くの日本人の方がボランティアに来ていただけるようになってきました。
この僧院に往診に行き始めた当初は、目の前の患者を見るのに必死でした。
今、仲間が増えて、少し距離を置いて子どもたちを見たときに、見えなかったことが見えるようになってきました。
ジャパンハートは途上国に医療を提供しています。私たちも医療者が多いです。だから、僧院の子どもたちに医療を提供します。
ここまではわかりやすい文脈です。
でもそれはジャパンハートや私たちにとってわかりやすいだけではないか、とある時ふと思ったのです。
途上国支援は、困っている受け手のニーズがあり、施す側はそのニーズを満たすことを目的にします。そうでなければ単なる自己満足の押し付けになり、支援は届きません。
これは日本の医療でもそうです。患者は困ってきているのに、自分の専門の病気にしか興味のない医師。そのような診察を見ていて、「困っている」という患者のニーズと「私の専門の病気かどうか」という医師の提供したいものがかみ合わず、患者さんのニーズを全然満たせていないと思うことがしばしばありました。
それでは、今この僧院で私たちがしていることは、本当にこの子たちのニーズを満たせているのか。
確かに病気を治す、予防する。
これはニーズに沿っていると思います。
でも、それは「医療」にだけフォーカスしたら、の話です。
この子たちのニーズはもっともっと多岐に渡ります。
子どもが成長する過程で必要なものは無数にあるはずです。
でも今の自分たちだけじゃ医療以外のニーズに気付けない、だから満たせない。どうしたらいいのか…?
ふと顔を上げると、僧院に集まってくれているたくさんの仲間が目の前にいました。
現地企業で働く学生インターン、ビルマ語学科の日本人留学生、デザイナー、映画プロデューサー、NGOスタッフ、保育士、日本人看護師、ミャンマー人医師・看護師・通訳、経営者。
そのとき、自分は大きなボタンのかけ違いをしていると気づきました。
「そうか、全部のニーズを掘り起こし満たすことを、自分自身でやる必要はない。
こんなに情熱のある仲間が集まっている。
それなら、この仲間がそれぞれの得意分野で子どもたちのニーズを見つけて、満たす。
ジャパンハートが、そのための場所になろう。」
これまでの僧院往診は、私たちが医療団体だから医療を始め、続けています。
これからは「子どもたちが健やかに成長できるように色々やっています。その中で医療もやっています。」そんなプロジェクトにしていこうと決意しました。
子どもたちに関わり、支援してくれる皆様の情熱と愛情で少しづつ前に進んでいます。
ありがとうございます。
ミャンマー ワッチェ慈善病院
森 徳郎