活動レポート

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ミャンマーの沿岸の町へ。大阪大学病院 口腔外科チームとの口唇口蓋裂ミッション

up 2019.07.17

ミンガラーバ
国際看護師研修51期生吉田です。

6/17から6/25まで専門医療ミッションのため、ミャンマー南端の町、myeikへ行ってきました。今回行われたのは、口唇口蓋裂ミッションでした。
大阪大学病院口腔外科の古郷幹彦先生を中心に5人の先生にご参加いただき、3日間で9人の患者さんの手術を行いました。

ヤンゴンで日本から来られた先生方と合流し、次の日出発っ!!
と思いきや…
なんと、予定より早く飛行機が出発した!!
という事案に見舞われました…
翌日、プロペラ機でmyeikの小さな空港に無事に到着しましたが、初日からバタバタのスタートとなりました。

すったもんだしながら到着した、今回の活動地myeik(ミェイ、ベイ)はメルギー諸島と呼ばれる800島の島々を含む沿岸の町です。

看護師 国際ボランティア 口唇口蓋裂

海が綺麗でダイビングや観光が盛んです。ゴムの木を栽培し製造していたり、豊富な魚介類をはじめ、エビの養殖もしており、朝市は賑わい、豊かな印象を受けました。

看護師 国際ボランティア 口唇口蓋裂

宿泊地からはパゴダはもちろん、教会やモスク、中国寺が歩いて行ける範囲にありました。タイ国境に近く、人々の顔立ちも様々で、多民族国家ミャンマーを凝縮したような町でした。

この時期ミャンマーは雨季で、天候により海を渡ることが出来ない患者さんもいたようです。近隣の大きめな島は毎日一便渡し船がありますが、1週間に1度しかない島もあるそうで、今回もそんな島から来院してくれた患者さんもいらっしゃいました。

手術ミッションにご協力いただいた病院はmyeik public hospitalという200床ほどの総合病院です。月に1、2度近隣の島へモバイル診療に行くなど、地域の医療を担っており、日本の総合病院と似た雰囲気でした。
手術中の器械出しは、現地の看護師さんが行ないました。現地の麻酔科、歯科の先生にもご協力頂き、日本の先生たちと一緒に手術をしている様子はとても素晴らしい光景でした。

看護師 国際ボランティア 口唇口蓋裂

病院職員の方は、皆さん優しく朗らかで、たくさんおもてなしもいただきました。
今回のミッションが滞りなく無事に終えられたのは、現地の方々のご協力があったからだと実感しています。

看護師 国際ボランティア 口唇口蓋裂

さてさてミッションですが
飛行機の遅れを取り戻すため、到着早速診察を行い、その日の午後から3件の口蓋裂の手術を行いました。
口唇口蓋裂は日本人にもみられる、先天性の疾患です。
口から鼻の穴に向かって裂けたように見える口唇裂、上顎が開いたままで鼻腔と繋がっている口蓋裂、その両方が生じる場合や程度など状態は様々です。状態にもよりますが、日本では今回ミッションで行った手術のいくつかを1歳までに行います。

医療資源や生活水準、そもそもの疾患に対する知識の低さなどから、最適な時期に治療が行われない現状がミャンマーにはあります。
今回、24歳の青年が口蓋裂で最年長でした。年齢が高くなれば手術の難しさも伴います。
また口蓋裂の程度が大きいと、食べにくさだけでなく、発語の難しさが生じますし、口唇裂は口元という目立つ位置に治療を必要とします。それらのことから発育が悪かったり、コンプレックスなどからコミュニケーションを苦手とする人たちも存在します。
口唇口蓋裂の患者さんは、無事に手術を受けることだけが目的でなく、手術を受けることで、その人たちのその先の人生がより良いものになる事が大切なのだと思っています。

看護師 国際ボランティア 口唇口蓋裂

看護師 国際ボランティア 口唇口蓋裂

19歳のラーデーな(キレイな)女の子は、口唇裂の手術を一度していましたが、成長とともに引っ張られるように唇の形が歪んでいました。初めて会った時は、不安そうな表情でしたが退院直前には笑顔で「先生に感謝しています」と言ってくれました。

年頃の女の子であれば、顔に傷があることもその傷を治すためにメスを入れられることもどちらも相当な苦痛なのではないでしょうか。彼女が手術に望もうと思った気持ちと、その手術をしに日本から来た医師の気持ちは、数日の出来事ですが、とても強い信頼関係が生じたのだと思いました。ただただ良くしたい、良くなりたいという純粋な気持ちは、同じ方向の素晴らしい未来を見つめているのだろうなぁと感じました。

また形成外科の先生が参加されていたこともあり、口唇口蓋裂以外の2名の手術も急遽行いました。
手術室師長さんの息子さんも手術を望まれていましたが、今回は器械が足りずできませんでした。手術はできなくとも先生が、日頃生活で注意すること、治療や今後行う手術について丁寧に説明したことは、お母さんの不安を取り除く大切なケアだったと思います。治療の選択が限られてしまう場面をミャンマーで何度も見てきました。師長さんも我が子は良くならないのではないかと考えていたのかもしれません。説明後の笑顔や先生に感謝を伝える姿から、師長さんの気持ちが軽くなったのが伝わってきました。その風景は、手術や治療だけがその人を救うのではなく、誠実さや助けたいという思いこそが、人を救うのだなと改めて感じさせられる場面でした。

ミッション後半手術はなく、ミャンマー人看護師と2人で残り、術後管理をしました。
病室を訪問する度に、少しずつ笑顔が増えていく患者さんたちに、たくさんの感謝をいただきました。頂いた優しさや感謝は、まだ見ぬ患者さんたちに届けたいと思います。

看護師 国際ボランティア 口唇口蓋裂

様々な環境や思いを抱え、今回のミッションに参加された患者さんたちが、より幸せになれますように。
今回のミッションに参加できたことは、一研修生として、非常に実りあるものでした。次のミッションも、一瞬一瞬を真剣に患者さんと向き合っていきたいと思います。

看護師 国際ボランティア 口唇口蓋裂

チェーズティンバーデー
国際看護師研修生51期 吉田

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