活動レポート

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ラオス小児がんプロジェクト – さらなる前進のためにできること

up 2024.09.25

サバイディー!(ラオス語で「こんにちは」)ラオスオフィスの松原です。

9月11日、私たちが首都ヴィエンチャンで国立こども病院と共に実施している「小児固形がん周手術期技術移転プロジェクト(以下、小児がんプロジェクト)」のモニタリング会議が開催されました。今回の活動レポートでは会議の様子と、そこで議論された今後の取り組み方針についてご報告します。
(プロジェクトの詳細はこちら

6ヶ月間の活動報告

会議では最初に2024年1月のプロジェクト開始から6ヵ月間の活動報告を行いました。

プロジェクトを推進するためには、まずラオスの人々に対象となる疾患やプロジェクトについて知ってもらう必要があります。
私たちはSNSでのプロジェクト紹介に加え、ラオス全国の主要病院やヘルスケアセンターを直接訪問して広報活動を行いました。
こども病院の先生方もラオスの小児科医の会合においてプロジェクトの説明をし、協力を呼びかけてくれました。

今年5月に訪問したチャンパサック病院

また、6月にはこども病院の外科医師と手術室看護師をカンボジアに招き、ジャパンハートこども医療センターで小児がん治療の現場を見学してもらいました。
この時はちょうど創設者 吉岡秀人による集中的な手術活動期間中であり、吉岡の手術を間近で見学してもらうことができました。

JHCMCでの手術見学の様子

JHCMCメンバーと記念撮影

医療機関受診の壁

広報活動や医療活動の準備を進める中で見えてきた課題もあります。

ラオスでは医療保険制度が機能しておらず、病院の受診や病気の治療は患者さんにとって大きな経済的負担となります。
そのため具合が悪くなってもなかなか病院に行かず、受診したときには既に治療が難しい状態であったり、受診しても途中で治療をやめてしまうことがよくあります。

小児がんプロジェクトでは、これまでに出会った患者さんが政府との覚書に定める条件に適合せず、化学療法や手術などの直接的な医療活動はまだ実施できていません。プロジェクトのメインターゲットである肝芽腫というがんはもともと患者数が少ない病気ですが、医療機関受診のハードルが高いというラオスの環境も、私たちが患者さんと出会う上での大きな壁となっています。
モニタリング会議ではこの状況を関係者で改めて共有し、私たちに何ができるか議論しました。

少しずつ、でも確実に進むために

小児固形がん、特に肝芽腫の治療には、高度な手術技術とリスク管理が必要となりますが、もちろんこれらはすぐに習得できるものではありません。
覚書の条件に適合するメインターゲットの患者さんが見つかるまで待っていたのでは、プロジェクト期間内に必要な技術や知識を身につけることができるのか不安が残ります。
そこで私たちは、引き続き肝芽腫をはじめとする小児固形がんをプロジェクトのメインターゲットとしつつ、ラオス人医療者への技術移転の機会をより多く持てるよう、小児消化器系疾患を広く対象に加えることとしました。

パートナーである九州大学病院の先生方のご協力を得ながら、ラオス人医療者と日本人医療者が様々な症例を共に経験し、安全管理のグローバルスタンダードをラオスの医療現場に沿った形に落とし込んでいくことで、ラオスで肝芽腫の治療を行える環境を整えていきたいと考えています。

国立こども病院の医師たちも、日本人の医師と共に手術を行い、技術を習得する機会が増えることにとても期待しています。
その期待に応え、ラオス人の医療者たちがひとりでも多くのラオスの子どもを救うことができようになるために、今できることをひとつずつ着実に実施していこうと決意を新たにしました。
引き続きチーム一丸となって頑張っていきますので、今後も小児がんプロジェクトへの応援をどうぞ宜しくお願い致します!

▼プロジェクトの詳細はこちらから
ラオス | 北部・ウドムサイ県での甲状腺疾患治療事業並びに技術移転活動

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