活動レポート

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初年度の活動を終えて

up 2024.06.19

サバイディー!ラオス事業部看護師の高柳です。
今回は1年目最後の手術活動となりました。
(ラオスは6月から雨期に入るため、次回の手術活動は11月に再開します。)

昨年の11月から手術活動が再開してから、あっという間の半年間でした。
11月の最初の活動を思い出すととても感慨深いです。

さて、今回は8名の患者さんの手術を行いました。
キャンセルになった患者さんは避妊薬を使用していたため、手術を延期せざるを得ませんでした。
避妊薬は、血栓のリスクがあるため、手術1か月前には中止をしなければなりません。
患者さんや患者さんの家族もリスクを知らなかったため、内服を続けてしまったようでした。
次回、11月の手術活動へ延期をすることを説明し、今回はキャンセルとしました。

費用の問題だけではなく、日本人医師に対応してほしい患者さんも多いため、手術をキャンセルせざるを得ない患者さんや家族からは何とか手術をできないか、と相談をされることがあります。
リスクや次回も手術を受けられるように調整することを説明し、納得をして帰ってもらうようにしていますが、患者さんたちには毎回申し訳ない気持ちです。

診察を待つ患者さん

このプロジェクトでは、ラオス人医師が3年間で30人の患者さんの執刀を目標としています。
初年度の全4回で17人の執刀を行うことができました。
また、フェーズ1では行わなかった手術記録や病理依頼書も日本人の先生の指導のもと記載をしています。
ラオス人の医師の努力もあり、この半年間で大きな躍進となりました。
フェーズ1から指導をして下さった先生方、そしてフェーズ2になって現地指導に来てくださった内分泌外科学会の先生方のご尽力があってこその結果だと思っています。

右:堀内喜代美先生、左:鈴木章文先生

現地の看護師サオさんと一緒に処置をする堀内先生

手術の優先度や決定、術前の検査などは、まだラオス人の医師が主体となって行えていない課題は残っています。
今後、どのように課題に取り組んでいくか、ウドムサイ県病院とともに考えていければと思っています。

ラオス事業部 看護師
髙栁 玲香

患者さんと家族とスタッフの集合写真

参加して下さった先生方からのメッセージ

今回活動に参加して下さった
東京女子医科大学 内分泌外科学 准教授 堀内 喜代美先生
伊藤病院 外科 医長 鈴木 章史先生
誠にありがとうございました。
そして、日々ご支援いただいている皆様に感謝申し上げます。

堀内 喜代美先生
この度、ラオスでの甲状腺腫鬱のプロジェクトに参加させていただきました。
外科医として、海外での手術で現地の患者さんのみならず、外科医の先生の甲状腺手術の向上に貢献できることはとても貴重な経験でした。
 
今回の手術は比較的若い女性の患者さんが多く、術前の診療でピルや女性ホルモン剤(注射薬)を投与されている患者さんが数名おり、手術の延期を余儀なくされました。
WHOや海外のボランティア団体による、Birth control目的での投与とのことです。国としてはチラーヂンすらも入手困難と聞いていたましたので、医療の種類によってはかなり資源の不均衡を感じました。
 
手術では、一日3件だったおかげで日中に余裕をもって終了でき、合併症も起こすことなく始終平穏に終了できました。
現地の外科医の先生も時間があれば手術に参加してもらい、最終的には半数の手術を現地の先生に執刀してもらうことが出来ました。
4回目で慣れていたのかもしれませんが、これまでの日本人の先生方の指導の賜物もあり、危険な手技なども見られずプロジェクトの成果を感じました。
 
また病棟においても、現地のとりまとめ役の高栁さんが、ラオス人の看護師さんにイニシアチブをとらせる指導をしていて、ラオス人による医療体制ができるようにという気概が伝わってきました。
ウドムサイでの手術最終日には、現地外科医の先生方と手術について質疑応答の時間を持つことができ、とても有意義な時間を過ごせました。
 
最後に、ラオスの現地のスタッフの皆さんが一丸となってこのプロジェクトを支えてくれていたことに感謝します。
診療所の整備、病棟での勤務、スタッフの食事まで全てのことに気を配っていただき、私たち外科医はなにも不自由なく診療と手術に集中することが出来ました。
ラオスの医療技術移転に少しでも貢献できていたら嬉しい限りです。また機会があればウドムサイに戻ってきたいと思います。

鈴木 章史先生
医学部5-6年生のとき、アフリカでの医療活動を見学しに行ったり、タイの大学とのexchange programなどを通して、海外医療に対する興味がありました。
医師になって、しかもこの甲状腺という狭い分野の専門医になってから、海外医療に貢献できる機会があるとは思いもよりませんでした。
他の先生方と同様、ジャパンハートの皆さんには感謝しています。
 
今回は第4陣ということで、堀内先生と参加させて頂きました。
第1陣の友田先生、原先生、第2陣の大石先生、北川先生、第3陣の吉田先生、伊藤先生の情報がありましたので、非常に助かりました。
ジャパンハートの理念「医療の無いところに医療を届ける」は、まさに自治医大の「医療の谷間に灯をともす」の海外版といったところで、実際に体験してみて、手術の糸1本、ガーゼ1枚の大切さも痛感しました(「先生ガーゼ使い過ぎです!」と高栁さんから叱られました)。
 
入院中の食事を病院の敷地内に家族が寝泊まりして作っていたり、限られた医療資源で非常に数多くのgeneral surgeryを行っている現地の外科の先生方の姿(なんと3人で年間4000件の全身麻酔手術とのこと!)やお昼寝タイムをとっている最先端?!の現地看護師さんの姿をみたり、辛すぎない米文化のラオス料理(朝食は麺類で、新鮮な野菜や様々な調味料を入れたりしてとても美味しいです!)を味わったり、小学生くらいの小さい子供たちがお店番やゲストハウスの受付をして偉いな~と思ったり、他にも沢山の生ラオスを見聞することができました。
 
是非、他の先生方にもこのプロジェクトに参加して頂ければと思います。オススメです。
 
このプロジェクトに関わって下さった全ての人々に「コプチャイ」

▼プロジェクトの詳細はこちらから
ラオス | 北部・ウドムサイ県での甲状腺疾患治療事業並びに技術移転活動

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