活動レポート

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ラオス・ウドムサイ病院での医療活動に参加して

up 2021.07.20

普段とは違う環境の中で改めて気づけた、いくつもの大切なこと

 
スースダイからサバイディ!!
アドバンスドナースの仁平です。
私は普段、カンボジアのJapan Heartの病院で活動していますが、今回ラオスのウドムサイ病院で行う甲状腺のフォローアップ・手術ミッションに参加するために5月末にラオスへ渡りました。

前回、ラオススタッフの吉田さんが活動レポートで紹介していたように、私のラオス入国にあたっても多くの手続きを要しました。

陰日向で支えてくれるスタッフたちへ感謝を込めて~コロナ時代に国を超えるということ~

日々コロナウィルスへの対策に追われる中、快く送り出してくれたカンボジアのスタッフ達や受け入れてくれたラオスのスタッフ達、そして待っている患者さん達のためにもできることは何でも頑張ろうと活動に臨みました。

ジャパンハートのラオス事務所は、少人数で顔馴染みのスタッフもおり、とてもアットホームな雰囲気です。
以前にラオスでの活動に参加したカンボジア人看護師の事を覚えていてくれているスタッフもおり、よく話してくれました。
それだけカンボジア人看護師が活躍したということですよね、それは嬉しい限りです。
また、私の参加と同時期に新しい日本語通訳さんもジャパンハートの仲間に加わり、ウドムサイ病院での活動に向けて、より皆の士気が高まったように思いました。

2週間の隔離期間中に行ったオンラインでの感染対策のレクチャーの様子

ラオスでの医療活動は、提携病院での活動が主体です。
そのため実際の活動には現地(今回はウドムサイ病院)のスタッフも参加しますが、それまでの準備はジャパンハートのラオス人スタッフ4名と日本人スタッフ2名で行います。
私は最終的な薬剤や物品の確認・補充段階からの参加でした。

しかし、元々現地にいるスタッフ達は何か月も前からスケジュールを組み、コロナウィルスの影響からロックダウンしている中で、今回のミッションを行うために様々な申請、現地病院との連絡や調整を何度も行いながら準備をしていました。

そして政府が発令するロックダウンを継続するかどうかの情報を受け、患者さんが本当に安全に診察・手術を受けられる状況であるのかどうか、活動に関わるスタッフ達の安全も確保した上で今回のミッションを行えるかどうかの判断を迫られていました。
いつもならばスムーズに進められることが何倍も厳重にそして事細やかに進めなければならないこと、どれだけ大変な作業であったことかと思います。

私が普段活動しているカンボジアには、ジャパンハートの病院があります。そこは日本の病院のように組織立っており、各部門のリーダーを中心に、医療者から通訳、アドミニストレーター、クリーナー、調理スタッフまで多職種が互いに連携をとりながら活動を行っています。
組織が大きくなるにつれ、それぞれの役割がより専門化・明確化される分、他部署の働きを意識する機会は少なくなっているようにも思います。

今回、ラオスでの活動に参加し、ラオススタッフ達の働きを間近にすることで、私たち医療者が患者さんととことん向き合い、医療や看護に集中できるのは、そのような環境を整え、支えてくれているスタッフがいるからこそだと改めて感じました。
ただでさえ活動が制限されている中で、医療や看護を行えるということは本当に有難いことです。

久しぶりの活動となるため、到着して最初の仕事は倉庫の大掃除

ラオスは地域の特性上、甲状腺疾患の多い国です。もちろんカンボジアのジャパンハートの病院でも甲状腺疾患の方の手術やフォローを行っていますが、ラオスでこれまで行ってきた手術の症例を見た時に、摘出した甲状腺の大きさに驚きました。
また、フォロー中の患者さんの中にはジャパンハートの活動当初から通院されている方もおり、甲状腺疾患は継続的な治療かつフォローが必要なことを再認識しました。
ただし、甲状腺の薬の中にはウドムサイでは購入できないものもあります。そのため、ウドムサイ病院が患者さんのフォローを継続して行っていくことがいかに重要であるかがわかります。
まだサポートが必要な部分もありますが、今では毎月のフォローアップを現地の医師と看護師の手で行えるようになっています。
ジャパンハートの活動に賛同し、現地での活動を支え、もっと一緒に勉強したいと言ってくれるウドムサイ病院の看護師さんの存在はとても心強く思いますし、これまでラオスで一緒に活動してきた日本人医師や看護師を含めたスタッフ達との信頼関係があるからこそだと思います。

ウドムサイ病院の看護師Khoneleeさんと傷の処置方法について、通訳を交えて話し合いました

今回の手術活動は、日本人医師が直接ラオスへ渡航することができず、日本からカメラ中継を通しての参加となりました。
そのため、ローリスクの患者さんを対象としましたが、他にも手術を待機している患者さんはたくさんいます。
もちろんハイリスクの患者さんもおり、できるだけ早く手術をしてあげたいという気持ちはスタッフ皆同じです。
フォローアップの活動中、自分の手術はいつできるのかと尋ねてくる患者さんもいました。
以前ならばもっと多くの手術が行えたのに、できない現状に対してやりきれない気持ちにもなりますが、それは今世界のどこの国でも人々が同様に抱えている気持ちだと思います。

1つ1つの行動に対して慎重にならざるを得ない今、まずは自分たちにできることに取り組み、そうやって確実に次につなげでいくことが大事であるように思いました。
今回のウドムサイ病院での活動が再開できたことも、日本人がラオスで活動できない期間中もウドムサイ病院へ出向いたり、こまめに連絡をとったり、そして日本人スタッフがラオスで活動できるよう関係各所に掛け合ってくれたり、ラオスのスタッフ達が地道に活動を継続してくれていたからだと思います。

敏腕アドミニスタッフのLohさんは覆布やガウンを包むのが上手です

今回のラオスでの活動を通して、まずは甲状腺疾患に対する自分の知識不足を痛感しました。
カンボジアでも何件も看てきましたが、手術後の患者さんのリスクに関しても、どれだけのことを自分が理解して看護ができていただろうか、いつまでフォローが継続するか考えながら関わることができていただろうかと思うと、まだまだ甘いです。

また、手術活動中は件数が多くなかったこともあり、1人1人の患者さんとゆっくりと関わることができました。
その中で、先輩看護師の患者さんと関わる様子をみて、素敵だなと思いつつ、自分が忘れてしまっていたことに気づかされました。
私たち医療者にとって病院は日常的な場所ですが、患者さんにとっては非日常であり、その中にいることはどんなに不安なことでしょうか。
患者さんの想いを聴き寄り添うこと、看護の基本中の基本ですが、自分は、いつのまにか患者さんに寄り添っているつもりになってしまっていたように思います。
カンボジアでの活動では私もいつしか背中を見せる側になっていましたが、忙しさや色々な物事に追われて、看護師・助産師として大切なものを忘れてかけていたようです。
ここで改めて自分がやりたいこと、大切にしたいことは何か確認できた良い機会になりました。

最後にラオスでの活動できる機会を頂けたこと、そして活動に際してご協力して下さった皆様に感謝します。
そして日本人スタッフもラオス人スタッフもまた一緒に働きたいと思う素敵な人たちです。もし、またラオスでの活動に参加できる機会があれば、ぜひ次につなげていけるよう頑張りたいです。

アドバンスドナース(助産師) 仁平 杏

▼プロジェクトの詳細はこちらから
ラオス | 北部・ウドムサイ県での甲状腺疾患治療事業並びに技術移転活動

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