活動レポート

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そもそものお話し・・・甲状腺疾患ってどんな病気?

up 2021.04.26

ラオスでは甲状腺疾患の診療活動を行っています。この事実は、多くの方にご存知頂いているかと思いますが、そもそも甲状腺疾患がどんな病気なのかについては、これまでにもあまり紹介していませんでした。
そこで今回は、甲状腺疾患や、ラオスで行っている診察の特徴についてご紹介したいと思います。

甲状腺は首にある臓器で、甲状腺ホルモンを作ります。このホルモンのおかげで私たちの体は成長したり、働きを保ったりすることができます。

たとえばこのホルモンが過剰に分泌されるようになれば、異常にあらゆる体の働きが活発になり、よく汗をかいたり、ドキドキしたり、体が震えたり、下痢をするようになります。このような状態を甲状腺機能亢進症といいます。逆にホルモンの分泌が不十分になれば、皮膚は乾燥し、脈は遅くなり、何をするにも意欲が湧かなくなり、便秘をするようになります。このような状態を甲状腺機能低下症といいます。

また、ホルモンの異常はないが、甲状腺に腫瘤ができることがあります。
私たちは主にこの3つの病気「甲状腺機能亢進症」・「甲状腺機能低下症」・「甲状腺腫瘤」を診療しています。

ジャパンハート そもそものお話し・・・甲状腺疾患ってどんな病気?

日本では各地域に病院があり、甲状腺の血液検査や腫瘤が癌かどうかを直接針で細胞をとって調べる検査ができます。しかし、ラオスではそうはいきません。いろいろな制限がある中で、日本で診る時と同じようにという訳にはいきませんが、工夫をしながら診療を行っています。

例えば甲状腺機能亢進症に対しては、過剰なホルモンの分泌を抑える飲み薬を使いますが、通常は血液検査を照らし合わせながら薬の調整を行います。ところが、ラオスでは頻回のフォローアップや血液検査は難しいため、患者さんの症状や身体所見とエコー検査の所見を見ながら薬の調整を行います。薬の飲み方や副作用に関しても、しっかり説明します。なぜなら、田舎の方に住んでいる患者さんは簡単には病院にはかかれないため、注意してほしいことを必ず理解しておいてもらわなければならないからです。

また、甲状腺腫瘤のある患者さんは、エコー所見から癌の可能性を判断します。もちろん、100%正しいとは限りませんから、再診を行って腫瘤が大きくなってくるか、また腫瘤による症状があるかどうかなど総合的に考えて手術を決定します。

ジャパンハート そもそものお話し・・・甲状腺疾患ってどんな病気?

このように日本とは違う環境だからこそ、臨機応変に検査や治療を考えます。発展途上国で医療を行う上で難しい点でもあり、醍醐味でもあります。

現在は、新型コロナウイルスの影響で私が実際に診療に行くことはできていませんが、現地の医師が甲状腺疾患を診療していて難しい症例や困った点があれば相談を受け、一緒に調べて考える。というような立ち位置でサポートを続けています。

現在の状況が良くなり、また現場に行って直接患者さんの様子や現地医師と交流する日が来ることを、心待ちにしています。

ジャパンハート長期ボランティア医師 森田皓貴

▼プロジェクトの詳細はこちらから
ラオス | 北部・ウドムサイ県での甲状腺疾患治療事業並びに技術移転活動

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