サバイディ!看護師の吉田です。ラオスに来て半年が経過しました。
先日ラオスの手術活動に初めて参加しました。その時に感じたラオスの「家族(コーブクア)の風景」をお届けします。
活動中、病院の中庭で家族と一緒にお昼ご飯を食べている患者さんを見つけました。ふと周りを見回してみると、多くの人たちがのんびりとみんなでご飯を食べていました。中には点滴をぶら下げた患者さんが一緒にいます。毎日がピクニック状態です。
日本の救急病院で働いていたためか、病院の中でこんなに穏やかな時間が流れていることに驚きを感じると共に、本来の病院のあり方について、考えさせられました。
術後で禁食が必要な患者さんの部屋に入った際に、その家族が輪になってご飯を食べている光景を見ました。日本なら「禁食の患者さんの前で…」となりそうなものだけれど、温かい雰囲気に包まれていました。
患者さんは家族の姿を笑顔で見守り、ご家族もそれに笑顔で応えている。その光景から、ご飯を食べるということは栄養を摂取するためだけのことではなくて、みんなで食卓を囲むことだという、当たり前のことに気付かされました。家族の楽しそうな会話を聞いて、みんなの表情を見て、元気をもらう。五感で「愛情」という栄養を感じているラオスの人たちの姿がありました。
手術後、安静にしている患者さんを見守る傍で、お針子や、漁網を整えるお母さんの姿も見られます。
そんなラオスの病室には、当たり前のように「日常」が流れています。
昨今の日本の病院は治療環境を整える取り組みが強化されていて、面会制限も厳しく設けられています。生活環境が離れているために、面会に来られない人たちもいます。日本の病院の中には、家族の風景がどんどん減っているように感じます。
お見舞いに来た人たちと話をしている患者さんは、生き生きしているように感じます。「生きること」とは誰かと接し、小さな喜びから幸せを感じることなのではないでしょうか。
ラオスは1人でも家族が減れば、働き手も減ります。近くに病院があるわけではなく面会だって大変です。けれども、家族の誰かが入院すれば、みんなで面会に来ます。
忘れかけていた「家族の風景」が、ラオスの病院の中にはありました。
豊かで優しいラオスを感じ、またラオスを好きになっていることに気づかされた瞬間でした。
ラオス事業 看護師
吉田