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ジャパンハートこども医療センターでの治療から日本渡航まで – 小児がん患者さん来日治療プロジェクト

up 2021.02.10

本活動は、「カンボジアの小児がん患者さんを救うための来日治療プロジェクト」のレポートになります。 ご支援・プロジェクトの詳細はこちら から

1歳になったばかりのソリャカンくんと生後9か月のサチャくんは、小児がんの一種である、「肝芽腫」のためジャパンハートこども医療センターに入院しました。

小児がんは、カンボジアも日本も同じ1万人に1人の確率で発症し、予防はできません。肝芽腫は小児がんの中でも珍しい肝臓にできるがんで、治療には抗がん剤治療と、がんの切除をする手術を行う必要があります。

確認できる限りでは、ジャパンハートがカンボジアに病院を設立以前に、肝芽腫の手術がカンボジアで行われた記録はなく、カンボジアでは治らない病気だと思われていました。
しかし、2018年12月に日本の大学病院から小児外科チームがカンボジアに渡航しジャパンハートの病院で初めて手術を実施して以来、2年間で既にたくさんの治療実績を積み上げてきました。

ジャパンハートこども医療センターでの治療から日本渡航まで - 小児がん患者さん来日治療プロジェクト

「肝芽腫」のため、ジャパンハートこども医療センターで治療を受け無事退院した患者さんたち

そんなジャパンハートの病院に2020年8月、首都プノンペンにある国内最大の小児病院にて肝芽腫を疑われたソリャカンくんとサチャくんが、同院からの紹介によって来院しました。

ジャパンハートカンボジアでのソリャカンくんとサチャくんの治療

入院してから4か月間、小児科部長で小児血液腫瘍科専門医の嘉数真理子医師による抗がん剤治療を受けました。抗がん剤治療を受けている間も、2人はすくすくと成長していました。ソリャカンくんは指をさして意志を表明することができるようになったり、サチャくんは表情がどんどん豊かになっていたり、小児科の医療者たちは2人の成長を感じる瞬間を一緒に喜びながら、闘病を支えていました。日々多忙で嬉しいことも悲しいことも入り混じる小児がん病棟で、2人の存在は多くの医療者の心を癒していました。

ジャパンハートこども医療センターでの治療から日本渡航まで - 小児がん患者さん来日治療プロジェクト

なぜ日本への渡航が必要か

新型コロナウイルスの世界的流行に伴う入国規制により、入国後14日間の隔離が必須である現在、従来カンボジアに渡航して頂き実施していた小児外科チームによる小児がん手術も困難となってしまいました。唯一渡航して手術を実施しているジャパンハート最高顧問で小児外科医の吉岡とカンボジアの現地にいる医師、看護師たちだけで治療した肝芽腫の患者さんもいましたが、このソリャカンくんとサチャくんに関しては、同様の方法での実施が極めて難しいと分かってきました。

特にソリャカンくんの手術は難易度が非常に高く、現在のカンボジアでは救命する事が出来ません。
また、サチャくんは乳児であるため、急変の可能性が高く、乳児の手術管理に精通した専門医や検査機器及び、設備の揃っていないカンボジアでは手術並びに、術後管理が困難でした。

日本で手術を施行した場合は治癒を望むことが可能なため、この度の来日治療プロジェクトが立ち上がりました。

日本への渡航

1月下旬に2人の患者さんの術前最後の抗がん剤治療が終わりました。しかしその頃になっても、申請していた日本のビザの認可がまだ下りておらず、本当に行けるのか、それとも行けないのか、不安な状態が続いていました。在カンボジア日本国大使館のご尽力もあり、渡航を予定していた前日に遂にビザの認可が下り、渡航が決定しました。

付き添う家族も看護師もみんな初めての海外渡航で不安を抱えつつも、日本で治療を受けられることへの希望にあふれた表情をしていました。飛行機が飛ぶ6時間前から、真夏の気温のカンボジアの空の下、しっかりと厚着をして冬の日本に向かう準備を整えていました。

出発日当日。その日の手術を終えたばかりの吉岡医師と、多くの病院スタッフに見送られながら、一行は笑顔で空港へと出発していきました。

ジャパンハートこども医療センターでの治療から日本渡航まで - 小児がん患者さん来日治療プロジェクト

ジャパンハートこども医療センターでの治療から日本渡航まで - 小児がん患者さん来日治療プロジェクト

ジャパンハートこども医療センターでの治療から日本渡航まで - 小児がん患者さん来日治療プロジェクト

ジャパンハートこども医療センターでの治療から日本渡航まで - 小児がん患者さん来日治療プロジェクト

つづく

ジャパンハートカンボジア 広報担当 中村

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