ジャパンハート災害支援・対策(iER)ボランティアの妻藤わかばです。
今年8月に研修を受けてジャパンハートの災害ボランティアに登録し、今回が私にとって初めての活動でした。事前にメディア等を通じ被災地の状況を可能な限りイメージしていましたが、実際に被災地を訪れてみると想像とは違った現実に沢山遭遇しました。
解体が進んでいない倒壊した家屋や、崩落したままの道路。
あちこちにそういった光景が広がっていて、震災からずっとつらい思いをされていた住民の方々の気持ちを考えるととても心が痛みました。加えてこの時期の能登半島の寒さはとても厳しく、ライフラインが不安定な状況でこの寒さの中避難生活をされてきた被災者の方々が、心と身体の健康を保つことの大変さは想像に難くありません。
震災から1年近く経ち、仮設住宅で暮らす方々のライフラインや住む場所の確保は進んでいます。しかし、まだ人が”その人らしく”生きていくためには不十分だと感じました。
仮設住宅で住民の方にこんな話を聞きました。
「元から近所に住んでいた人が尋ねて来てくれるけれど、仮設住宅は狭いので以前のように『上がっていって』と言えず、関わりが少なくなってしまった。」
住む場所があることは大切ですが、それですべてが元通り、というわけではありません。住民の方々が本当に復興を感じ、その人らしく暮らすには一度変わってしまったコミュニティの再構築が必要だと実感しました。
だからこそ、今回のような仮設住宅での喫茶活動には大きな役割があると思います。仮設団地内の集会所までの距離でも歩いて来るのが大変そうなご高齢の方が、この企画をきっかけに外出し、お菓子とコーヒーを囲みながら地域の方と昔話で盛り上がる姿を見て感動しました。また同時に行った個別訪問活動では、大勢の前では話づらい悩みやお困りごとを話してくださる方もいらっしゃいました。集会所までアクセスできない人も孤立させない、医療的・日常的ニーズを埋もらせないことの大切さを感じています。
一方で被災地に常駐しているわけでなく、喫茶・訪問という企画型での活動だからこその限界もあります。その時に重要なのが、住民の方々のニーズを地元の行政や他団体に繋げるということです。実際、私は看護師ですが被災地で医療ニーズを見つけたとしてもその場で直接的な医療行為はできません。しかし、住民の方の困難や苦痛、リスクを早期に見つけて受診を促したり、保健師さんに支援を依頼したりすることはできます。適切な支援に繋げるというケアの形を今回の活動を通じて学ぶことができました。
被災地は高齢者が多い地域で、病気や身体の痛みを抱えている方々も沢山いらっしゃいます。「これから雪が降るから玄関先が滑るのが不安」という声も多く聞かれました。それでも、ほとんどのお宅で雪かきシャベルが用意されていて、寒さ厳しいこの地で暮らしつづける能登の皆さんの力強さを感じました。医療の届かないところに医療を届けるというジャパンハートの理念が、住み慣れた町で力強く暮らしつづける方々の一助になることを信じています。
今回一緒に活動させていただいたジャパンハートのスタッフさん、ボランティアさんが能登の方々のことを思う熱い気持ちにも触れることができ、とても勉強になりました。私自身、これからも能登の方々の暮らしや文化に寄り添った支援を続けていきます。
最後になりますが、日頃からジャパンハートの活動を応援してくださる方々のおかげで、このように学びの多い活動に参加できたことを感謝しています。ありがとうございます。
iERボランティア 妻藤わかば
ジャパンハートが行った能登半島における支援
ジャパンハートでは能登半島地震の緊急救援活動として、2024年1月4日から4月20日までの間に避難所と診療所への看護師常駐、輪島市門前地域の避難所巡回診療を行ってまいりました。
現在は、地域の保健士さんと連携し、仮設住宅に入居されている方々のコミュニティづくりの促進や潜在的な健康問題(医療、介護、福祉面)の拾い上げを目的とした短期イベントを定期的に実施しています。
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皆様のあたたかいご支援をよろしくお願いいたします。
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ジャパンハートの災害支援・対策(iER)
ジャパンハートの災害支援・対策iER(International Emergency Relief)では、国内外で発生した大規模災害に対応し、緊急医療支援を実施しています。
■2011年3月~2014年3月 東日本大震災緊急支援
■2016年4月 熊本地震緊急救援
■2020年4月~2022年9月 新型コロナウイルス感染症緊急救援
■2021年8月 令和3年8月豪雨災害緊急支援
■2022年9月 台風14、15号緊急支援台風
■2023年7月 令和5年九州北部豪雨緊急支援
今後も現場の支援ニーズを見極めながら、救援活動を継続的に実施していく予定です。
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