活動レポート

← 活動レポート:トップへもどる

【能登半島地震 災害支援・対策(iER)】1月 おしゃべり喫茶 in 門前町・能登町 活動レポート②

up 2025.02.09

ジャパンハート災害支援・対策(iER)看護師の大内心晴です。
私は、福島県出身で高校1年生の冬に東日本大震災で被災をしました。当時16歳だった私は、福島のために何かをしたいと考えていましたが、行動に移せずに悶々としていました。そんな自分との葛藤を繰り返し、将来、被災地の人々の気持ちに寄り添う災害医療を実践するために看護師になりました。
今回、能登半島の復興の一助になれば思い、微力ながら4日間の活動に参加しました。
活動内容は、「おしゃべり喫茶」と「仮設住宅への個別訪問」を通して、地域住民のコミュニティ作りの促進と潜在的な健康問題の拾い上げを行うことです。東日本大震災を経験し看護師になった立場から、活動で印象に残ったことを報告します。

1つ目は、被災地の方々は様々な課題を持ちつつも前に歩みを進めているということです。現地入りする前、自身の経験や事前に得た情報から、被災地の方々は悲嘆的な感情に包まれていると考えていました。しかし、おしゃべり喫茶で話をしていると、家屋や健康の問題等を抱えつつもそれぞれの課題を自分達で解決しようとする声が多く聞かれました。特に印象に残ったのが、

「いろいろと大変なことはある。ここまで色々な人の手を借りてきた。だけど、いつまでもそうは言っていられない。一つ一つ自分らで解決していかなきゃいけない。」

と笑顔で話をしてくれたことです。その言葉から、現地の方々の力強さを感じるだけでなく、私自身支援を行う立場でありながら、何があっても前を向き続けるという糧を得ることができました。地震から1年が経過し、支援の数も減っています。未だ脆弱な点はありつつも、徐々に生活の自立に向けて意識が変容していることを肌で感じることができた一節でした。

2つ目は、病棟と被災地で看護師としてのコミュニケーション方法はつながっているということです。私は普段、集中治療室で勤務しています。入室する患者は生命の危機に瀕していることが多く、患者とその家族は精神的にもセンシティブになっています。そのため、発せられた言葉だけでなく、声のトーンや表情、ちょっとした仕草の変化、会話の間合いと言った多くの視点から相手の感情の変化を機敏に汲み取りながら会話をしています。被災地も類似している点があります。現地の方々に健康問題を聴取するということは、その背景にある地震や避難所生活等の当人が触れられたくないセンシティブなことを想起させてしまう可能性があります。そのため、話題の選定や会話の流れだけでなく、病棟以上に感情の変化を機敏に汲み取った会話をする必要性を感じました。

最後に、支援をする側も過酷ということです。
東日本大震災の時、避難所で活動している医療者はいつも笑顔で輝いて見えました。その姿から当時、支援者の苦労を考えることは一才なく、支援=美しいものと捉えていました。今回、初めて支援をする側に立ち、長時間の移動や慣れない環境での活動、ダンボールベッドでの睡眠等の非日常的なことの連続で心身の疲労と共に、支援者の裏側を知り、自分が受けた支援のありがたみを再認識しました。また、その疲労感から支援者も脆弱な部分を持った一人の人間であることも感じました。被災地での活動は、気分の高まり、苛立ち、熟眠感の欠如と言った心身の変化を容易に起こします。被災者と関わることで惨事ストレスを抱えることもあります。そのためにも、活動中・後にデブリーフィングの機会を設け、感情を吐露することは、支援者支援の観点から不可欠だと感じました。
次年度から、RIKAjob(https://rikajob.net/)を通して対馬病院で勤務をします。へき地医療と災害医療、ステージは違いますが共通点も多くあります。ジャパンハートの「医療の届かないところに医療を届ける」というmissionを心に留めて、一人の看護師としてなすべきことは何か考え、行動していきたいです。

iERボランティア 看護師 大内心晴

ジャパンハートが行った能登半島における支援

ジャパンハートでは能登半島地震の緊急救援活動として、2024年1月4日から4月20日までの間に避難所と診療所への看護師常駐、輪島市門前地域の避難所巡回診療を行ってまいりました。
現在は、地域の保健士さんと連携し、仮設住宅に入居されている方々のコミュニティづくりの促進や潜在的な健康問題(医療、介護、福祉面)の拾い上げを目的とした短期イベント(サロン活動)を定期的に実施しています。
サロン活動の裨益者数が2025年1月にはのべ1000名を超えました。
引き続き実施して参りますのでご興味がありましたらお問い合わせください。

令和6年能登半島地震 緊急支援活動のご寄付について

皆様のあたたかいご支援をよろしくお願いいたします。
寄付をする

Yahooネット募金

ジャパンハートの災害支援・対策(iER)

ジャパンハートの災害支援・対策iER(International Emergency Relief)では、国内外で発生した大規模災害に対応し、緊急医療支援を実施しています。
■2011年3月~2014年3月 東日本大震災緊急支援
■2016年4月 熊本地震緊急救援
■2020年4月~2022年9月 新型コロナウイルス感染症緊急救援
■2021年8月 令和3年8月豪雨災害緊急支援
■2022年9月 台風14、15号緊急支援台風
■2023年7月 令和5年九州北部豪雨緊急支援

今後も現場の支援ニーズを見極めながら、救援活動を継続的に実施していく予定です。
災害支援・対策(iER)
活動を支援する

Share /
PAGE TOP