ジャパンハートでは能登半島地震の緊急救援活動として、2024年1月4日から4月20日までの間に避難所と診療所への看護師常駐、輪島市門前地域の避難所巡回診療を行ってまいりました。現在、仮設住宅の開設が進み、避難者数は減少傾向にありますが、ジャパンハートは引き続きニーズに応じた支援を行っています。その活動の一環として、地域の保健士さんと連携し、仮設住宅に入居されている方々のコミュニティづくりの促進や潜在的な健康問題(医療、介護、福祉面)の拾い上げを目的とした短期イベントを定期的に実施しています。
今回、ジャパンハートの災害支援・対策のボランティアとして、能登のカフェ企画に参加しました、看護学生の桑原です。被災地の皆さんと直接触れ合い、心温まる時間を過ごすことができました。今回の活動を通じて感じた想いを、少しでも皆さんにお伝えできればと思います。
仮設住宅における孤独死の不安
住民の方々のお話を聞き、孤独死に対する不安を抱える高齢者が多いことが分かりました。独居の方や、家族が遠くに暮らしている人は特に強く感じているようでした。一人の女性は、毎日遠くに住む息子さんに「元気だよ」と連絡をしていると話されいていました。しかし、それでも不安があり、1日の連絡する回数を増やしているそうです。それだけ、一人で住む高齢者には孤独死に対する不安があると分かりました。周辺で孤独死をした人のうわさを聞き、より不安が出てきたとも話していました。
連絡できる家族や知り合いもいない人は、よりその不安が強く、解消する方法もなかなか見つけづらいのではないかと考えます。以前の集落に比べて知り合いが減ったり、外出する機会が減ったりしたと話す人が多い印象でした。地域での見守りが手薄く、支援も届きにくい仮設住宅における課題だと実感しました。地域におけるコミュニティーづくりから、住民同士の繋がりを作っていくことが必要だと分かりました。またこのような日常的な不安を気軽に話せるような環境がますます必要になっていくと感じました。
交通の不便さによる住民間での情報格差
3人の女性のお話を聞いている中で1人の女性から、来月までの申請でもらえる支援金についての話がでました。その女性は公民館に置いてある資料からその支援金について知り、すでに申請したと話しました。しかし、もう2人の女性はそのことを知らず、「そんなものがあるのかい、どうやったらもらえるんだい?」と聞いていました。流れでその話題は終わってしまい、2人の女性は支援金を申請することが難しそうな状況でした。1人の女性は息子さんに車で連れて行ってもらい外出するそうですが、2人の女性は独居で仮設住宅の周辺から外には行く手段がないから行かないと話しました。
このお話から、行動範囲によって得られる情報に格差があることが分かりました。また今回の情報格差は支援金のことであり、金銭的な格差にも繋がります。また、他の人は知っているのに自分は知ることができないという事実を知ることで、今の生活や行政に対しても不満が出てくると考えます。住民間でのトラブルや不信感に繋がってしまうかもしれません。交通の手段を増やすことはすぐには難しくても、ジャパンハートのカフェ企画で資料を配布する、口頭での情報提供をしたりするなど、まずはすぐにできることから情報弱者が生まれないように発信していくことの必要性を感じました。
桑原美月
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ジャパンハートの災害支援・対策(iER)
ジャパンハートの災害支援・対策iER(International Emergency Relief)では、国内外で発生した大規模災害に対応し、緊急医療支援を実施しています。
■2011年3月~2014年3月 東日本大震災緊急支援
■2016年4月 熊本地震緊急救援
■2020年4月~2022年9月 新型コロナウイルス感染症緊急救援
■2021年8月 令和3年8月豪雨災害緊急支援
■2022年9月 台風14、15号緊急支援台風
■2023年7月 豪雨で被害甚大な福岡県久留米市へ医療チームを派遣し、人的・物的支援実施
今後も現場の支援ニーズを見極めながら、救援活動を継続的に実施していく予定です。
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