こんにちは!ジャパンハート看護師の鈴木です。
現在は日本と海外を行ったり来たりしながら、ジャパンハートで活動してくれる日本人医療のサポートや、現地人医療者の育成のためのお仕事をしています。
今回、ある出会いをきっかけに、カンボジアでの手術活動がより安全に行えるようになった出来事がありましたので、ご報告させていただきたいと思います。
出会い
私がある医療系のイベントでジャパンハートを紹介するために立っていたところ、ある男性が声をかけて来てくださいました。
その男性は、私たちの活動についての説明を熱心に聞いたのち、ご自身も医療系の製品を扱う会社に勤めていることを教えてくださいました。
そして最後に、
「何か手伝えることがあったら言ってね」
といって去っていきました。
その男性は、日本では特に医療者用ユニフォームを多く取り扱っているナガイレーベン株式会社の取締役・企画本部長である山本康義様でした。
カンボジアの手術室
ジャパンハートカンボジアでは、小児がんなどの難しい手術も含め、年間1000件以上の 手術を行っております。昔は日本人が中心であった手術活動ですが、今ではカンボジア人看護師が中心となって運用しており、またカンボジア人医師だけで執刀する手術も多くなっています。
しかし、日本のように医療資材が潤沢ではく、手術用ガウンや手術用ドレープ(患者さんにかける布)はペラペラな布で作ったもので、撥水や吸水機能がないものを使わざるを得ません。そのため、手術中に血液や体液が布を越えて術者の肌にまで浸透してしまったり、血液等で濡れた布で患者さんの体が冷やされてしまうことが問題でした。
医療者を感染から守ること、患者さんの手術中の体温管理をすることは、安全な手術をするためにはとても大切なことにも関わらず、それが難しい状況でした。
会社訪問・ミーティング
イベント会場で山本様が去った後、「何か手伝えることがあったら言ってね」と言ってくださったその言葉は、決して社交辞令ではなく親身になってかけてくださった言葉だと感じました。そしてさっそくメールをさせていただいたところ、すぐにお返事をいただき、カンボジアへのご支援について具体的に話し合う場を設けてくださいました。
カンボジアの手術室での問題点を共有したところ、「こんなのもいいのではないか?」「これも使えるかもね?」とたくさんのご提案を頂き、再利用可能な手術用ガウンとドレープをご支援いただけることに決まりました。
カンボジアでの支援物資利用開始
私の出張にあわせて、ご提供いただいたガウンやドレープをカンボジア人に届けたところ、その布をギュッと抱きしめて「これすごくいい、大好き」と大喜びでした。
取り扱いに慣れるまでは時間がかかるかな、と思っていましたが、自分たちで練習したり、扱い方の動画を撮って手術室内で共有したり、あっという間に使いこなしていました。
また、なるべく長く使いたいから滅菌の方法をしっかり確認したい、との申し出もありました。
日本からボランティアに来ていた外科の先生も「これいいなぁ、日本に持って帰りたいなぁ」と冗談を言ったとところ、カンボジア人看護師が「ダメ!これは日本からはるばる来たんだから!」と叱っていました。
熱い支援
今回、偶然の出会いをきっかけに、手術室で抱えていた長年の悩みが解消されました。
物的支援だけではありません。「いのちの力になりたい」というナガイレーベン様の使命のもと、私たちの活動を通して「ワクワクする」「いのちの力になれてうれしい」とおしゃっていただきました。こちらとしては、無理なお願いをしているのではないかと心配になることもありますが、いつも熱い言葉で励ましてくださいます。
ジャパンハートが挑戦し続ける限り、多くの課題もあります。
しかし、今回のような支援が力強く私たちの活動を押し上げ自信となっていることがあります。
心から感謝しつつ、引き続き多くのいのちを向き合っていきたいと思います。