看護師の鰐川です。今回、ジャパンハートが長崎県のクルーズ船でのコロナ支援活動を行った経緯から、長崎県内のコロナ無症状・軽症者の宿泊療養施設の活動に参加させていただくことになりました。
9月より活動に参加したのですが、その当初、宿泊療養施設の入所者は数名であり、県内の新たな感染者も確認されていない状況でした。1カ月前には県内の病院や学校などでクラスターが発生し、施設も毎日10人以上の入退所があり、とても忙しい状態だったそうです。
施設では、県の宿泊療養チームの一員として、看護師として、一緒に活動する振興局からの生活支援員・ホテルスタッフ・警備員の方々と、毎日情報共有し、施設運用にあたっての反省点があれば、その都度話し合いながら改善を行いました。
また、PPEの着脱方法についても定期的に確認し、さらに月1回は消防訓練を行い、緊急時の対応についても確認していました。
入所時・退所時のみ、PPE着用のもと入所者さんの状態を直接確認し、施設療養中の注意事項などの説明を行うのですが、入所後は、毎日電話での健康観察を行います。
そのため、本人の表情や状態が見えない中でのコミュニケーションにおいて、身体状態や精神状態を観察・確認し、できるだけ早期に異常や危険を察知する必要があります。体調が悪化した際は、医師へ相談し、電話受診も含めた病院への受診を検討し、また必要時はかかりつけ医へ内服薬の追加処方も行います。
施設での療養生活が長期になることで、入所者さんは、元の生活に戻れるかという不安や焦りも感じることがあります。
また、自分がコロナウイルスに感染したことで、職場や学校などまわりの人々が濃厚接触者と認定され、それにより感染を広げてしまった、迷惑をかけてしまったと感じる方もいます。外部からの心ない言葉を浴びることも。
とくに、施設入所中は、外に出れず、部屋で1日中1人で過ごしているため、気持ちも変化しやすく不安定になりやすい状況であるため、わたしたちは、毎日の健康観察で、話を傾聴すると共に、他愛もない話を含めできるだけ入所者さんとコミュニケーションをとり、少しでも気分転換になることを心がけていました。
入所中から精神保健センターの精神科医を含めたスタッフと定期的にテレビ会議を行うことで、入所者さんの情報を共有し、必要であれば退所後も相談・支援を受けられるよう、保健所やこころの相談窓口などへ繋げるケースもありました。
食事もお弁当ばかりになってしまうため、家族や友人からの差し入れを届けることもあり、また、入所時に運動やストレッチの方法が書かれたパンフレットを渡し、午前と午後の1日2回ラジオ体操を放送していました。
また、県内の他の宿泊療養施設の立ち上げ準備にも関わらせていただくことがありました。施設の立ち上げにあたって、看護師が中心となり、運用マニュアルの作成・施設のゾーニングなど、何度も振興局の担当者やホテルスタッフと話し合いを重ね、修正を行います。
また、病院の担当者とも連絡をとり、体調悪化時の受診経路や搬送方法、入院となった場合の対応、院外処方の方法なども確認していきます。
その中でも、保健所との相談や連絡は重要であり、入所者さんの状況に応じて検査日や施設退所の目安をその都度確認する必要があります。また、施設に入所するかどうかについて、患者さん本人や家族の意向、その背景や環境も関わってくる中で、県として、保健所として、時に意見や認識の違いが出てくることもありました。
多くの機関やスタッフが動き、それを少しずつ調整していくことではじめて施設が運用されること、入所者さんの入所中から退所後までを幅広い視点でみることなど引き続き連携していくことの重要性を感じました。
いつどこで誰がコロナウイルスに感染するかわからない状況ではありますが、感染した方々への誹謗中傷やこころの被害などが少しでもなくなるよう、そしてできるだけ多くの人ができるだけ安心して毎日を過ごすことができるよう、心から願っています。
国際看護師研修57期 鰐川音寧
▼プロジェクトの詳細はこちらから
国際緊急救援(iER) | 新型コロナウイルスと闘う人々を支え、医療崩壊を防ぐ
▼国際看護師研修の詳細はこちらから
海外医療・国際協力ボランティアサイト