広島県内にありますこちらの病院では昨年クリスマス頃に職員と患者から新型コロナウイルス陽性が確認され、クラスターとなり年末から看護師2名が支援に入りました。
私は年明けから支援に入り、その後先に入っていた2名は次なるクラスター支援のため順次撤収しましたが、後半にさらに調整員1名と看護師1名を増員しジャパンハートからは延べ5名が支援に入り1月25日まで活動致しました。
私のこれまでのクラスター支援活動は、クラスターが発生した病院や施設職員の人員不足を補うために人員として現場に入り、職員と伴に新型コロナウイルス陽性患者の看護をすることがメインでした。しかし、今回のニーズは感染制御であったため組織的な関わりが求められ、これまでよりも広い視点での支援が必要でした。
クラスターが起きた現場では、陽性患者・陽性職員の把握や対応、職員の人員確保、ゾーニングの見直し、陽性者のリネンやゴミ処理方法、個人防護具の供給状況、患者搬送、陽性者の死亡時の対応、職員のメンタルヘルス、職員の感染教育などを組織的に考えていく必要があります。不安や混乱の中でやるべきことが多くあり、またこれらの対応はクラスターが起きた現場では初めてのことばかり。保健所やDMATの指導の元、優先順位を考えながら一つひとつ対応します。
ガイドラインに沿って、根拠に基づいて、その上でこの病院では具体的にどうしていくか毎日話し合い一緒に考えて実践していきます。また決定したことでも現場のスタッフが働きやすいよう、さらに最善の方法となるように現場の声を拾って再度検討し、体制を整備していくことも必要です。そのため毎日状況が変化していきます。この状況の中で、クラスターが発生してから特に管理者は休み無く奮闘し、これからどうなっていくのか分からない不安を抱えながらも患者や職員そして病院全体を守ろうと必死でした。
ジャパンハートはDMATや感染管理師長、市内病院からの応援看護師と連携しながら現場と組織をつなぐ調整役や職員の感染教育、個人防護服の着脱指導などに関わりました。この病院では陽性患者がいるレッドゾーンを1つの病棟に集約していましたがレッドゾーンがある病棟スタッフは、個人防護服を着て感染対策をしていても自分が感染しないか、感染を拡げないかという不安と闘っていました。また陽性者をみていない病棟スタッフやコメディカルもどのように感染対策を行っていくか不安がありました。
そこで全職員が感染対策ができ安心して働くことができるようにという思いで感染対策の指導を進めていきました。今できることをみんなが全力で頑張っても患者や職員に感染が少しずつ拡がったり、患者が亡くなったり、落ち込むこともあります。支援する側も悩みながらではありましたが、今できる最善のことをみんなで考え、やり続けていくことで徐々に病院全体が良い方向に向かっていけたように思います。
今回多くの方々と関わらせて頂きましたが、病院スタッフは皆穏やかで優しい方々ばかりでした。大変な状況下でも周りに優しい対応や配慮ができるスタッフが多くおられる病院で活動する中で、クラスター支援としてはもちろんですが多くのことを学ばせて頂き、心より感謝申し上げます。病院に1日も早く穏やかな日常が戻りますよう心から願っております。
国際看護師研修56期 橋本
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