7月24〜27日の4日間、熊本に滞在し緊急救援の活動に従事しました。
私が活動した期間は、亜急性期から慢性期へ移行している時期でした。
ジャパンハートとしての活動は、現地で避難者を支援している“支援者の支援”。
現地保健師の管轄のもと、避難者の健康管理と、状態変化にいち早く気づくことが求められており、それがミッションでした。
この時期の避難所は、避難者のプライバシーに配慮し、各世帯の仕切りにはカーテンが取り付けられていました。
また、新型コロナウイルス感染防止のため、ソーシャルディスタンスがとられ、通常利用できる人数よりも少ない人数を定員とし、各世帯のスペースは2mの間隔をあけて設置されていました。新型コロナウイルス感染拡大防止のための対策はこれだけではなく、マスク着用やアルコール消毒、換気の呼びかけも徹底されていました。
避難所の開設から3週間でここまで設備が整えられていることに驚き、とても素晴らしいことと思いましたが、新たな課題が見えてくる時期でもありました。
プライバシーに配慮するために設置されたカーテンでしたが、カーテンがあるがゆえに、中で生活する避難者の所在確認や状態把握が難しい状況になっていました。
避難所は病院とは違い、カーテンの中の空間は自宅と同様です。私たちの都合で何度も訪室するわけにはいきません。もちろん確認が必要な場合はお邪魔させていただきますが、そうでない場合は、極力控えます。その中で、私たちのミッションをどのように果たすのか、それが課題になっていました。
また、発災から3週間が経ち、色々なことが整理され始めてきており、避難者の方々も、お家の片付けを始めるなど、行動を起こす時期でもありました。しかし、そんな中「7月24〜25日はまた大雨になる予報」というニュースが流れていました。避難者の中には「雨の音をきくと記憶が蘇り不安になる」と話される方が多数いました。不安を訴えてくださる方には、できるだけ寄り添い、傾聴します。しかし、不安があるけれど話すことができない人も中にはいるのだろうと想像すると、そういった方々への支援やアプローチもこれからの課題として挙がってきます。
避難者は高齢の方が多く、慢性期疾患を持つ人も少なくありません。避難所ではマッサージスペースの設置や、ストレスを発散する意味でも運動する時間が設けられていました。
一方、子どもたちへの支援としては、キッズスペースがあるにもかかわらず、生活する子どもたちはYouTube観賞の毎日でした。避難所では大きな声や音を出すことは難しく、走り回ることもできないため、子どもたちもストレスを抱えていました。現地保健師の依頼で、キッズスペースの環境整備、充実化、子どもとの遊ぶ時間も確保するようにしました。
子ども達とかかわる中で、自分のことを話してくれたり、困っていることも表に出してくれたりするようになりました。
4日間という短い滞在期間だったため、避難者の方には「また入れ替わるのか」と、せっかく不安を表出できるようになった頃にまた人が変わる…、と残念な想いさせていることにも気づきましたが、ジャパンハートのベストをみて、声をかけ、頼ってくださる方も多くいました。
この4日間、これまでかかわってこられた方々の頑張りをとても感じました。避難者情報がまとまっているファイルの記録用紙からは、急性期の忙しさ、混乱、葛藤なども含め、多くの人の「良くしたい」という想いを感じました。活動中着用していたジャパンハートのベストからは、これまで築いてきた信頼の篤さと重みを感じました。
色んな人の想いを受け取り、活動期間は、これまで皆が築いてきたものを壊さないよう、これからの人へタスキを繋ぐことが一個人としての役割と思い、活動に従事させていただきました。
最近では仮設住宅も建設され始めましたが、まだ続く避難所生活には、次から次へと新たな課題が出ており、その課題を一つずつ現地スタッフと相談し、協力しながら解決へと向けて、今もなお活動を続けているボランティアスタッフがいます。
「医療の届かないところに医療を届ける」
「心救う医療」
ジャパンハートは、これからも避難者、支援者に寄り添い、一緒に考え、活動を続けてまいります。
関東は間もなく長かった梅雨が明けそうですが、“元の生活に戻れるよう頑張っている人たちがいる” “新しい生活に踏み出すために現実を受け入れようとしている方々がいる”ということを、忘れないでほしいです。
引き続き皆様からのご支援の程よろしくお願い致します。
ジャパンハート 国際緊急救援
International Emergency Relief(iER)
ボランティア看護師 鈴木綾