病院からの要請を受け、ジャパンハートは4月21日よりクラスターの発生した札幌センチュリー病院に看護師3名、調整員1名を派遣しました。
札幌センチュリー病院は患者だけでなく、医師や看護師などスタッフも多くが感染し、人員的にも不足した状況で看護を行っていました。私は、クラスターが起きている病棟のレッドゾーンにて主に夜勤業務を行いました。患者は看護度が非常に高く、看護師のマンパワーが不足し、最低限のケアを行うだけでも精一杯な状況でした。クラスター発生当初は50人ほどの患者を夜間2人で対応していたと聞きました。実際に夜間に患者受け持ちをしている中で、業務に追われ、丁寧にケアを行う余裕がなく、感染防護具の着脱を煩わしく感じたり、鳴りやまないナースコールに苛立ちを感じてしまうこともありました。
札幌センチュリー病院は基礎疾患を複数持った患者が入院しており、病棟で亡くなる方も多くいました。前日に「どこから来てくれたの?ありがとう。」と笑顔で話しかけてくれた患者さんが、次の日には「苦しい。助けて欲しい。」「もっと生きたい。」と助けを求めていました。少しでも楽になれるようにとスタッフの方と一緒に方法を考えても、結局はどうすることも出来ず、常にそばにいることも出来ずに無力感と悔しさを感じました。以前から患者さんのことを知っている病棟スタッフは私以上に様々な思いを抱えていたと思います。
スタッフの方々はこの様な状況が何度も繰り返される中、クラスター発生当初から毎日笑顔で看護していたと思うと、とても辛かったと思います。また、家族に会わずに別のところで生活をしていたり、自分が感染する不安を抱えながら少ない人数で看護をすることのストレスも大きかったと思います。しかし、困難な状況でもスタッフが互いに励ましあって、少しでも明るい雰囲気で働こうと声を掛け合っている姿がとても印象的でした。私自身もスタッフの方々のそのような姿にとても励まされました。
私が支援に入れたのは短期間ですが、メンバーの一員として夜勤業務をすることで、その分スタッフの皆さんが少しでも休息をとれていたらいいなと思います。病棟のことを知らない私と夜勤する不安もあったと思いますが、メンバーの一員として受け入れてくださり、親切にしてくださったことを感謝しています。
ジャパンハート看護師 冨永 裕美
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