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【能登半島地震 災害支援・対策(iER)】12月 おしゃべり喫茶 in 門前町・能登町 活動レポート②

up 2025.01.24

ジャパンハート災害支援・対策(iER)ボランティアの石原です。
まずは、能登半島地震「おしゃべり喫茶」に参加させていただき、多くの貴重な体験ができたことに、ジャパンハートを日頃よりご支援いただいている皆様、スタッフやチームメンバー、そして楽しい時間を過ごさせていただきました能登の皆様に感謝申し上げます。

能登には地震が発生した翌月の2月初めに、調査員としてはじめて参加しました。
そして4月に2回目の参加し、今回は8カ月ぶり3回目の能登入りになりました。
前回の参加した4月と比較すると道路状況の修復もかなり進み、酷かった渋滞も解消されていました。
あれほどいた自衛隊の車両や救急車なども、見ることがなくなり、倒壊した多くの家々の解体も進んできているような印象を受けました。
そして仮設住宅の建設が進んでいて、あの寒風吹きすさぶ避難所から、プライバシーが保たれ、暖かく安心して過ごせる場所に越せたことは本当に良かったと思う一方で、9月に発生した能登半島豪雨の二次被害の現場を実際にこの目で見て、情け容赦ない自然の驚異と恐ろしさを改めて感じました。

活動内容について

前回までの活動では、まさに被災地の最前線で被災者への医療活動をする医師と看護師の後方支援として、人員や物資の移送や買出し、活動拠点の整備や車両の移動といった活動をしましたので、直接被災された方と接する機会はあまり多くありませんでした。
今回の企画では仮設住宅の住民の皆様と接する活動となりましたので、そこが前回の活動とは大きく異なりました。
おしゃべり喫茶の主目的は「災害関連死」をひとりでも少なくすること。
支援を必要とされている人をいち早く発見し、またどんな支援を必要としているかを知るためには、仮設住宅の人々と直接ふれあい、ヒアリングすることが一番重要なことだということが解りました。

経験したこと

今回の活動拠点は避難所で使われていた「門前武道館」。
暖房設備の無い広い体育館で、段ボールベッドで寝たのは初めての体験でした。
倉庫の奥から灯油ストーブと電気ストーブを見つけメンバーで暖を取りましたが、寝袋などでしっかり防寒しても寒さで寝られません。震えながら何度も起きて寝不足のまま朝を迎えました。
その時に思ったのは「被災された方々はこのような環境で数カ月過ごしてきたのか」ということです。
更に精神的ショックも疲労も重なるわけですから、避難所の過酷さは想像を超えるものがあります。

おしゃべり喫茶で話してみて

事前アナウンスしていたとはいえ、集会所に大勢の方々が乳母車や杖をついてよろよろしながらも一生懸命来てくれたのです。
これもすべて発災直後の避難所から長く支援を続けてきたジャパンハートの信頼の賜物なのだと感じました。

仮設の人々と楽しく会話をする中で特に印象に残ったことがあります。
コーヒーとお砂糖一本半を希望された女性がいました。
多いなと感じつつもお出しして「甘いものがお好きなようですが、血糖値とか気になりませんか?」と尋ねたところ、「高めですよ、医者にも気を付けるよう言われています」「でも分かっているけどもういいんです、楽しく美味しくあればそれで」と笑顔で言われました。
そこで「それは良くない、控えた方が良い」とか言う立場なのかもしれませんが、「もういいんです・・」という何気ない言葉の奥にある意味を感じとり、それ以上は何も言えませんでした。

また、能登の輪島側の海岸線は 4mも隆起したことで海岸線が遠くなり、魚介類も獲ることができなくなったことをカフェで聴きました。
家も街も壊滅的被害を受け、若い人たちは能登を捨て金沢や都会に移住し、残っている人たちは自分たちの人生を見失ってしまっているように見えました。

戸別訪問をしてみて

心身や生活に問題を抱えている人はこういった催しに足を運ばない場合が多く、他人と交流を持たず、投げやりになり孤立している人が多いように思いました。
仮設の人たちにとって「この先も生きていく理由」つまり生きがい、希望が失われてきているように思います。
「農夫は春になれば芽が出て、秋には実がなり収穫できる、という希望がなければ種を蒔かない」という言葉がありますが、今はそういう状態にあるのかもしれません。

最後に

今回の活動で多くのことを学びました。ここで得たものを次にどう活かすかという点が重要だと思います。
私はジャパンハートの、例え助けられなかったとしても「生まれてきてよかったと思える世界を実現する」という理念を思い出しました。
上手く纏める言葉は思いつきませんが、災害の当事者ではない者がそこまで考えることは、おこがましいことなのかもしれませんが、被災者の人生を大切にし、相手を必要とすることで、心の健康のお手伝いが少しでもできればと思います。

iERボランティア 石原

ジャパンハートが行った能登半島における支援

ジャパンハートでは能登半島地震の緊急救援活動として、2024年1月4日から4月20日までの間に避難所と診療所への看護師常駐、輪島市門前地域の避難所巡回診療を行ってまいりました。
現在、仮設住宅の開設が進み、避難者数は減少傾向にありますが、ジャパンハートは引き続きニーズに応じた支援を行っています。
その活動の一環として、地域の保健士さんと連携し、仮設住宅に入居されている方々のコミュニティづくりの促進や潜在的な健康問題(医療、介護、福祉面)の拾い上げを目的とした短期イベントを定期的に実施しています。

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皆様のあたたかいご支援をよろしくお願いいたします。
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ジャパンハートの災害支援・対策(iER)

ジャパンハートの災害支援・対策iER(International Emergency Relief)では、国内外で発生した大規模災害に対応し、緊急医療支援を実施しています。
■2011年3月~2014年3月 東日本大震災緊急支援
■2016年4月 熊本地震緊急救援
■2020年4月~2022年9月 新型コロナウイルス感染症緊急救援
■2021年8月 令和3年8月豪雨災害緊急支援
■2022年9月 台風14、15号緊急支援台風
■2023年7月 令和5年九州北部豪雨緊急支援

今後も現場の支援ニーズを見極めながら、救援活動を継続的に実施していく予定です。
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