ジャパンハートでは能登半島地震の緊急救援活動として、2024年1月4日から4月20日までの間に避難所と診療所への看護師常駐、輪島市門前地域の避難所巡回診療を行ってまいりました。現在、仮設住宅の開設が進み、避難者数は減少傾向にありますが、ジャパンハートは引き続きニーズに応じた支援を行っています。その活動の一環として、地域の保健士さんと連携し、仮設住宅に入居されている方々のコミュニティづくりの促進や潜在的な健康問題(医療、介護、福祉面)の拾い上げを目的とした短期イベントを定期的に実施しています。
ジャパンハート災害支援・対策(iER)ボランティアの看護師です。
1月、2月に避難所支援に入り、カフェ企画は7月に次ぐ2度目の参加でした。
「おしゃべり喫茶」の会場では、喫茶の案内チラシを見ただけでなく、住民同士でご近所さんに誘いをかけ、友人に電話で声を掛け合あう姿が見られるようになっていました。
実際にその誘いに応じ足を運んで下さる方が増えたように感じます。
カフェ企画は毎月開催をしていますが、毎回参加して下さる方も中にはいます。
「家(仮設住宅)の中は、狭いから少し物を置くだけでスペースがなくなる。皆と話したいけれどそんな環境だと家の中にはよう呼べんから。」
「ただこうやって集まって話せるだけで嬉しい。きっかけを作ってくれてありがとう。」
「こういう場所があると助かる。」
そういった言葉を伝えて下さるが多くいました。
参加者は増えてきましたが、日常の中で集会場に皆さん集まるのかを聞くと「いいや、私たちだけ。」と、大体は決まった数名という返答でした。
訪問販売や今回のような企画事があれば集まり話をするが、普段は作業をしに外に出る、距離は近くてもその移動が負担になる、気持ちが進まないなど背景は様々です。
仮設住宅近くの公民館が会場となる場面があり、その際に自宅で過ごされている方が通り際声をかけて下さり話をする機会がありました。
「自宅では子どもや夫がいるので話をしずらいことも多い。」
「どこかお店や集まれる場所で話そうにも子どもも合わせると費用がかかるけどそんな余裕はない。」
「仕事に行っても今日はもう上がっていいと言われ切り上げて帰る状況も多いみたい。」
そういった幼い子がいる家庭や若い世代の苦悩や悩みが出てきていると実感しました。
おしゃべり喫茶について説明をすると、
「そんな場所が欲しかった。ただ集まって話ができる場所があるだけで嬉しい。」
「仮設住宅に住んでないけど友達や子どもを呼んで参加しても良い?」
と言いう声が聞かれ、ぜひ足を運んでもらうよう伝えると早速チラシを撮り共有して下さる様子が見受けられました。
また、これから冬を迎えます。
急に冷え込んできたタイミングだったこともあり、個別訪問した中には「お風呂の沸かし方がわからないから見てくれないか。」と相談して下さった方もいました。
冬服や冬布団の調達に不安を覚えている方もいます。
道路は少しずつ復旧してきていますが、まだまだ断裂が残る場所、仮設近くの歩道にある段差など見受けられます。
雪が積もることでの転倒や坂道を登れるのかといった心配事を話される方、寒くなってきた中で体調や血圧の相談を受けることもありました。
皆さんの忍耐力や優しさ、明るさ、思いの強さが見える一方、その裏で「雨も来て不安ばっかりやけどな。」と、地震、豪雨と続く被災による日常生活への影響、健康問題、心身の負担、先の見えない現状への不安を抱える姿にも触れました。
仮設住宅生活での体力・筋力の低下という状況や、高齢の方だけでなく若い世代を含めた孤立化の予防の必要性。気軽に日常会話や相談ができるコミュニティの場が求められているように思いました。
もうすぐ震災から1年が経とうとしていますが、復興には時間がかかると感じます。地域の支援者や住民の方の声に耳を傾け、協力し、中長期にわたる支援を引き続き行いたいと思う機会となりました。
iERボランティア 看護師
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ジャパンハートの災害支援・対策(iER)
ジャパンハートの災害支援・対策iER(International Emergency Relief)では、国内外で発生した大規模災害に対応し、緊急医療支援を実施しています。
■2011年3月~2014年3月 東日本大震災緊急支援
■2016年4月 熊本地震緊急救援
■2020年4月~2022年9月 新型コロナウイルス感染症緊急救援
■2021年8月 令和3年8月豪雨災害緊急支援
■2022年9月 台風14、15号緊急支援台風
■2023年7月 令和5年九州北部豪雨緊急支援
今後も現場の支援ニーズを見極めながら、救援活動を継続的に実施していく予定です。
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