ジャパンハートでは能登半島地震の緊急救援活動として、2024年1月4日から4月20日までの間に避難所と診療所への看護師常駐、輪島市門前地域の避難所巡回診療を行ってまいりました。現在、仮設住宅の開設が進み、避難者数は減少傾向にありますが、ジャパンハートは引き続きニーズに応じた支援を行っています。その活動の一環として、地域の保健士さんと連携し、仮設住宅に入居されている方々のコミュニティづくりの促進や潜在的な健康問題(医療、介護、福祉面)の拾い上げを目的とした短期イベントを定期的に実施しています。
私は1月の震災後に避難所支援、10月はカフェ企画でボランティア活動に参加させていただきました。
発災数日後と9ヶ月経った被災地で活動して感じたことや現状をお伝えしたいと思います。
災害を目の前に感じた無力感
私は1月の発災4日目に現地へ入りました。
発災数日後の現場はライフラインも十分でなく、避難されている方々も支援者側も大変混乱している状況でした。
そのような中、避難所で夜間に救急搬送となった方がいました。雪の降る中、夜間は暗く道路は地震の影響で隆起し危険で、救急車は安全な道を選びながらの走行でした。
やっとたどり着いた病院の外壁や内装は崩れ剥がれ落ち、通常ではあり得ない光景でした。
平時であれば助かったかもしれない命が目の前で失われていく様子、泣き崩れるご家族、災害の被害や現状を目の当たりにし、何もできなかった自分は無力だと感じながら現地を離れました。
9ヶ月経った現状
10月の活動では、複数の場所でカフェ企画と同時に仮設住宅の個別訪問を行いました。
9月の奥能登豪雨で二重被害を受けた七浦地区でも行いましたが、七浦地区へ向う途中の景色では、土砂や流木が散乱していたり、橋が崩落し道路が半分崩れ落ちている場所も複数あり、復旧にはまだまだ時間がかかると感じました。
七浦地区のカフェ企画では公民館を使用する予定でしたが、天候もよかったため、急遽公民館の前で青空カフェを開催しました。
七浦地区では水が出ない所もあり、公民館に給水所、洗濯機が設置され、お弁当の配布などが行われていました。
公民館に来られた方々がカフェに立ち寄ってくださり、豪雨の事や現在の生活状況や体調、困っている事、能登地方の食べ物や美しい景色の事など様々なお話を聞かせてくださいました。
中長期・継続支援の必要性
カフェや個別訪問で話を聞くと、多くの方がこれからの生活の不安や自身の健康問題、それぞれが違った悩みや不安を複数抱えてていること、中には看護師に話を聞いて欲しい、近所の人ではない誰かに話を聞いて欲しいなど、私達に相談事や思いを伝えてくれる方もいました。
支援に入っていた避難所で生活されていた方々ともお会いすることができましたが、避難所にいるときから課題のあるかたは仮設住宅に住居を移した後も課題があることも知りました。
住民の方からは「カフェ企画を楽しみにしていた」、「ジャパンハートの人にはお世話になったよ」という温かいお言葉をいただくこともありました。
ジャパンハートは地域の保健師さんや支所の方々とも協力し、避難所支援を終了した後もカフェ企画などを通じ、被災された方々と交流を深め関係性を築いているからこそ見えてくるものがあったり、目が届かず拾い上げることができていない部分も必ずあるため、中長期の継続的支援は必要であると感じました。
人の脆さと力強さ
自身も二重被災を受けながらも住民の方々を支え奮闘されている人、地元の良さを教えてくれ被災地で生きていくと決めた人、被災地の方々と向き合う中で災害を前にすると人は脆いと感じながらも、人の力強さを感じました。
まだまだ伝えられていない現状がたくさんあります。
これからも人の気持ちに寄り添える支援を行っていきたいと思っています。
ボランティア看護師 梅津千枝
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皆様のあたたかいご支援をよろしくお願いいたします。
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ジャパンハートの災害支援・対策(iER)
ジャパンハートの災害支援・対策iER(International Emergency Relief)では、国内外で発生した大規模災害に対応し、緊急医療支援を実施しています。
■2011年3月~2014年3月 東日本大震災緊急支援
■2016年4月 熊本地震緊急救援
■2020年4月~2022年9月 新型コロナウイルス感染症緊急救援
■2021年8月 令和3年8月豪雨災害緊急支援
■2022年9月 台風14、15号緊急支援台風
■2023年7月 豪雨で被害甚大な福岡県久留米市へ医療チームを派遣し、人的・物的支援実施
今後も現場の支援ニーズを見極めながら、救援活動を継続的に実施していく予定です。
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