ジャパンハート東京事務局の管理部及び、広報・ファンドレイジング部で、2022年8月より7ヶ月間のインターンシップを行いました、志水千紘です。
東京都内の大学の最終学年に在学しながら、ジャパンハートの学生インターンとして貴重な経験をさせていただきました。
ジャパンハートとの出会い
ジャパンハートのことは、以前テレビCMにて名前を耳にしたことがありました。
当時は、「こんな素敵なことをしている人たちがいるんだ」「かっこいいな」というイメージを持っていたくらいで、この組織に入ることは想像していませんでした。
医療従事者である両親の影響で、幼い頃から常に「医療」は身近な存在でしたが、両親の姿をこの目で見てきたからこそ、医療というものの難しさ・厳しさを感じ、「自分は医療の道には進まない」と思ってきました。
上京して、大学に進学する際には国際経営学を選択しました。
しかし大学の勉強は、専攻が経営学の分野とあって、出てくるのはどれも「お金」や「競争」の話ばかり。
企業はどう利益を最大化するのか。いかに余剰利益を生み出し続けるか。高いお給料の大企業に入るにはどうすればいいか。就職活動で同期と差をつけるにはどうしたらいいか。
−−−−− この金銭的利益優先な社会と競争環境の中で次第に、「自分のやりたいことは、ここにはないのではないか。」と疑問を抱くようになりました。
その時、私が唯一パッションを感じていたことは「自分の手で、自分の力で、人を助けること」。
後輩の授業のサポートなどを担当していたこともあり、漠然と人を助けることに関心がありました。
しかし、「人助け」といってもできる事は様々です。その中でも一番興味を惹かれたのが、一般教養科目で触れたことのあった国際協力・国際支援の分野でした。
当時は留学先からの帰国直後であったため、日本国内かつ大学での勉強が活かせるバックオフィス業務で、国際協力に携わることができるところを探していた際に、ジャパンハートのインターンシップの募集を見つけました。
「医療の道には進まない」と決めていた私が、医療支援をしているジャパンハートで結果的にインターンシップをすることになり、両親も驚いていたことを覚えています。
学生インターンとして
7ヶ月間のインターン期間を通して、東京事務局の管理部と広報・ファンドレイジング部で業務をさせていただきました。
管理部では大学での専攻を活かして経理部門の勘定科目ハンドブック作りに携わりました。
各部署で使用したお金を記録する時や、予算策定者が予算を立てる時に参照できる「勘定科目」の定義をまとめたハンドブックです。
私がこれまで見てきた営利企業と違い、非営利団体ならではの財務や経理の特徴を学ぶことができたとともに、スタッフとのコミュニケーションを通してジャパンハートとしての意向やこれまでの背景を知ることもできました。
そして、この大きなプロジェクトの、いちメンバーとしてすべてのプロセスに携われたことも、チームで働く上で大切なことを学ぶ経験になったと思っています。
広報・ファンドレイジング部では、主に団体公式SNSの運営に参加させていただきました。
現場からあがってくる写真とエピソードをもとに、どのような目的で誰に対して発信するのか、各SNSの特性とフォロワーの特徴と加味しながら試行錯誤しました。
加えて、国内外問わず、各部署のスタッフから活動のお話をお聞きする機会が多くあり、国内のインターンでありながら活動現場の声に触れることで、よりジャパンハートの活動への理解を深めることが出来ました。
たくさんの貴重な経験の中でも特に印象的だったことが、最高顧問である吉岡秀人先生の外部講演会に同行できたことです。
運よく、インターン期間中に吉岡先生がご帰国され、直接お会いする機会が何度かありました。
11月下旬に東京都内で行われたご講演では、控室で待機されていた吉岡先生と直接お話ししたり、ご支援いただいている方々とお話ししたりすることができました。
「自分に出来ることはこれくらいだけど。」そう言いながらご寄付いただいた支援者様や寄付金箱にお財布ごといれようとされる支援者様など、心からジャパンハートの活動にご賛同くださっていることをこの身で直接感じることができました。
加えて、ジャパンハートの活動を紹介する立場である私に対して、「学生のうちになぜこのような活動に参加しようと思ったの?」「うちの娘(大学生)にも何かできることはないかな」など、学生である私だからこそできたお話もあり、とても有意義な時間となりました。
私にできることとは
「私にできることはなにか」
インターン期間を通して自問してきました。
全く別の分野で勉強してきた背景と、発展途上国での現場経験が重要視されるこの業界で、現場経験を持たない私は、国際協力に携わることができる道を探ってきました。
しかし、このインターンを通して「私にできること」をたくさん見つけることが出来ました。
実際に医療活動が行われている現場だけがジャパンハートの活動だけではない。東京事務局でのバックオフィスの業務でも、そのひとつひとつが現場の活動を支える大切な土台であると感じました。
SNSの原稿の書くことも、その一文に気を配ることも、ハンドブックの細部の体裁にこだわることも・・・
携わった1つの小さな作業こそが、今の私に「できること」なのだということを実感しました。
また、ジャパンハートの国内事業の1つであるSmileSmilePROJECTにて、東京ディズニーランドへのご家族旅行へご同行させていただいた経験も、「私にできること」を問い直すきっかけとなりました。
小児がんを患うお子さまとそのご家族。私は病気を治すことも、いつか治ると約束することもできません。
お出かけ当日も、車いすに乗っていたその子が精一杯伸ばす手をつないであげることしかできませんでした。
何もできないもどかしさを抱えていましたが、この話をジャパンハートのスタッフの方々にした際に、「ほんの一瞬でも、ご本人やご家族が楽しかったと思えたのなら、それがあなたにできる最善のことだったのではないか」と声をかけてくださいました。
これは、ジャパンハートが提供する「心を救う医療」ともつながり、医療者ではない私にできることの1つであると思えるようになりました。
▼志水さんが参加したSmileSmilePROJECTの活動レポートもご覧ください。
2023年2月 ミニーちゃんに会いたい♪
https://smilesmileproject.org/0306/
私のやってみたいことや要望を積極的に業務に反映してくださり、ジャパンハートのインターンとしてだけではなく、学生として、もうすぐ社会に出る者として、大きく成長させていただきました。
「子どもたちの命を救うお手伝い」
「お仕事は何をされているのですか、と聞かれたときに、胸を張って『子どもたちの命を救うお手伝いをしています』と言ってほしい。」
−−−−− この言葉は、最高顧問の吉岡秀人先生が手術活動の合間を縫って一時帰国された際に、職員に向けておっしゃられたものです。
インターン期間も終了に近づいていた時に、この言葉を聞いてはっとさせられました。
業務に慣れることに必死になっていた当時の私は、「管理部で経理の仕事をしている」「広報・ファンドレイジング部でSNSの運営をしている」そう答えてしまっていたでしょう。
しかし、すべては「子どもたちの命」につながっていることを再認識させてくださいました。
管理部が組織管理を怠ったら、組織として存続すらできなくなる。広報・ファンドレイジング部が広報活動の手を抜いたら、必要な資金を集めることができず、100人救えるはずの命が20人しか救えなくなる。
それだけバックオフィスの業務も大切であり、誇りをもって子どもたちの命を救う仕事だと言える、そういう職員であってほしい、という吉岡先生の強い想いに触れることができました。
学生インターンとしてではありますが、子どもたちの命を救う仕事のその一端を担うことができ、大変貴重な経験をさせていただいたとともに、この想いや熱意を忘れずにこの先も活動していきたいと思います。
終わりに
自分がやりたいことは何なのか。この質問への明確な答えは今でも見つかっていません。
しかし、7ヶ月間のインターンシップを通して気づいたことは、「私にもできることはある」ということです。
そして、金銭的利益重視であることが悪なのではなく、寄付者の想いを代弁し、その託された想いを実現していくのが私たちNPOのあるべき姿であるという点に気づかせていただいたことも、心持ちの大きな変化につながりました。
今後は、イギリスの大学院にて修士課程に入学し、より高度な学術的理論を学ぶ予定です。
本インターンでの実践経験を活かしながら、将来のキャリアにおいても、広く国際協力のエリアで携わり続けたいと思います。
最後にはなりますが、一からご指導くださったジャパンハート管理部と広報・ファンドレイジング部の皆様、多くの貴重な機会を提供してくださった全職員の方々に、この場をお借りして感謝申し上げます。
そして、プロジェクトやイベントなどで関わらせていただいた関係者の皆様、ご支援者の皆様にも大変お世話になりました。ありがとうございました。
東京事務局 管理部 広報・ファンドレイジング部
学生インターン 志水 千紘
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国内 学生インターン