活動レポート

← 活動レポート:トップへもどる

「クラスター現場で患者様の人生背景を考える」とは?

up 2022.08.16

私は2022年5⽉末から1か⽉間、iER(ジャパンハート災害緊急救援) の活動として沖縄のクラスター⽀援に参加させていただきました。

私は災害ボランティアに興味があり、災害⽀援スキーム制度に登録させていただいたのですが、コロナのクラスター現場に関わるのは初めての経験でした。
今回活動に参加し、学んだことを報告させていただきます。

私は1ヶ月の間に4つの⾼齢者施設で活動させていただきました。 活動前には施設の簡単な情報提供のみで、何が起こっているのかわからない状況で向かわなければなりませんでした。
そして、実際に現場に⾏くと、そこはまるで災害現場のようにスタッフも慌ただしく動き回り、患者様は次々に状態が悪くなり、中にはお亡くなりになる⽅もおられました。
患者様のカルテを読む時間もなく、現場に着いたらすぐにケアに⼊らなければならない状況で、常に緊張感と 不安感でいっぱいでした。

私は適切な感染対策を講じ感染伝播を防ぐこと、そして患者様の命を守ることを⽬標に活動しました。
情報がない中で使えるのは⾃分の五感でしかなく、しっかりアセスメントして対応しなければなりませんが、いざ状態が悪い患者様を⽬の前にすると、今まで数字化されたデータに頼りすぎていた⾃分を⽬の当たりにしました。
施設にあるのは必要最低限の医療資源のみで、モニターや救急カートもありません。また現場にいるのはほとんどが応援スタッフなので、そのような状況下でもみんなで協⼒しながら⾃分⾃⾝ができることを⾏い、患者様を守らなければなりませんでした。

苦しんでおられる患者様に吸引や限られた流量の酸素投与しかできないまま救急⾞を待つ時間はとても⻑く感じ、きっとたまらなく不安であるだろう患者様に対し申し訳ない気持ちでいっぱいになることもありました。
様々な事例を経験させていただき、クラスター現場とは本当に過酷でわからない状況の中問題を予測して⽴ち向かわなければならない点や医療資源が整っていない状況で患者様を守らなければならないのは、災害現場と同じだと⾝をもって感じることができました。

そして、私は⽬の前のケアに必死になりすぎて、⼤切なことである患者様の⼈⽣背景を考えることができていなかったことに後から気づきました。
その⼈の⼈⽣背景、⼤切にされていること、どんな⾵に施設で過ごされていたのか、最期の迎え⽅、そして⽇々 家族のように関わっておられるスタッフの⽅々の思いなど。クラスター真っ最中ではこういった情報を共有する時間もなく時が過ぎてしまい、後からスタッフの⽅からのお話で知ることもありました。

そして、どの施設のスタッフの⽅も過酷な勤務で疲労されているにも関わらず、常に患者様に寄り添い、丁寧にケアをされており、私はその姿に偉⼤な愛情を感じました。
今後は命を守りながらも1⼈1⼈に寄り添った看護ができるように活動していきたいと考えます。

⾃分⾃⾝今回は⽀援できたとは⾔い難い活動となり、現場の⽅々から学ばせていただくことが多くありました。
そして、初めてのクラスター現場で不安だらけの私に最初から最後まで丁寧にご指導していただきましたジャパンハートの皆様に⼼より感謝いたします。
今後は患者様のみならず、現場の⽅達の⽀えとなれるような活動を⽬標にこれからも精進していきたいと考えます。

看護師 中 ⾹緒⾥

▼プロジェクトの詳細はこちらから
国際緊急救援(iER) | 新型コロナウイルスと闘う人々を支え、医療崩壊を防ぐ

Share /
PAGE TOP