2022年2月。新型コロナウイルス第6波と言われる感染者増大のとき、私は看護協会からの求人により沖縄県の宿泊療養施設での応援勤務に行きました。
2022年の年明けから感染者が増加の一方だった沖縄県でしたが、私が応援に行ったころには大きな山は脱したのか宿泊療養施設の人員も確保されており、システムもなにもかも整っているという印象でした。
そんな時にジャパンハートのクラスター支援活動を知りました。“今”まさに助けを必要としている現場へ出向き支援する。
もちろん、混乱の最中に現場に向かうということは少し不安もありましたが、多くの要請が来ている、必要とされている、その活動に自分も加わりたいと考え、沖縄県の応援からジャパンハートの活動へと転戦することになりました。
はじめは大阪市保健所で保健師さんと協働しながらクラスター発生施設の支援活動に入りました。クラスター発生している施設の情報を保健師さんや電話での聴取などから収集し、訪問で実態調査を行いました。
想像していた以上にクラスター発生施設の現状は見るに堪えない状況でした。
入所者だけでなく職員にも次々と感染者が広まり、人員不足に加えて慣れない個人防護具を脱ぎ着し、陽性者と陰性者を分けて対応しなければならない。人員不足なので効率や導線を重視したいところに感染対策面での障壁が加わる。
残された職員の方々のストレス、入所者の具合が悪くなったらどうしよう、自分も感染したらどうしよう、数多くの不安は計り知れなかったと思います。
そんな様子を目の当たりにし、体も心も疲弊しきっている職員の方の足を止めて話を伺うことすら申し訳なく感じ、私自身も行き場のないような感情でいっぱいになりました。
現場訪問では施設によって様々で、すがるような思いでいろいろな質問をされたり、どうしたらいいかと助言を求められたりすることもあれば、ぱっと来たよくわからない人たちに何を言われるのかと疑問の目を向けられることもありました。
これがクラスター支援に入ることの難しさなのだと、痛感しました。
感染対策のマニュアルに沿ってアドバイスをすることは出来ますが、どの方法なら全員で共通認識を持ち継続していくことができるか、その施設独自の形の感染対策を一緒に考える、提案するということが必要でした。
施設では高齢者や障がい者の方が入所されており、陽性者との区分けも理解が得られず自由に行き来してしまいます。
そんな入所者の特性は、職員の方が一番よくわかっています。“これだったら”という方法に行きつくまで話し合い、一緒に考えることで、施設独自の方法を作っていきました。
クラスター支援の最中、施設の方々の“なんとかみんなで乗り越えよう”、“入所者を守ろう”というパワーが本当に強く、支援に行った私が圧倒され励まされていました。そんな施設の方々の想いに対し、自分ができることは何だろうと考えながらの毎日でした。
今再び、全国的に感染者が急増しており、現場で戦っている方々が多くいると思います。
助けを必要としている方々の声をしっかり聴き、一緒に前へ進んでいけるような関わりを目指し、今後の活動に参加していきたいと思います。
看護師 今野 早葵子
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