私にとってクラスター支援初めての活動地は札幌市の入院待機ステーションでした。
入院待機ステーションはコロナ陽性者で自宅療養中、もしくはホテル療養中の軽症、中等症の方で医療機関への受け入れ要請を行うも搬送先が見つからない方の一時的な滞在型医療施設です。
2021年5月18日より稼働開始し、立ち上げからジャパンハートより看護師1名が活動、私は2021年5月23日から6月3日まで活動しました。
1日平均20名ほどの患者さんが入院待機ステーションに搬送されてきます。
看護師はバイタルサイン測定、状態観察、酸素投与、薬剤投与を行い、その情報をもとに医師が病院へ搬送が必要か、自宅療養に戻れるかを判断します。
患者さんの中には私と同世代の方もいました。その方に既往歴は無くSPO2値(酸素飽和度)は正常範囲内であったため自宅療養をしていましたが、強い咽頭痛があり水を飲み込むことがやっとで食事も取れず起き上がることもできなくなり、自分で救急要請をして入院待機ステーションに搬送されてきました。
発声が出来なかっため、スマートフォンで文字を打ってもらってコミュニケーションを取りました。
「入院を希望しているけれど見つからなかった。1人でいるのが怖くてホテル療養を希望しているけれど空きがない。辛い、助けてください。」と涙を流されていました。
こんなに辛い状況であっても自宅で待機しなければならないこと、それほど札幌市の医療が逼迫していることを知り、コロナの恐ろしさを痛感しました。
また、他の患者さんでは本人に自覚症状はないけれどSPO2値(酸素飽和度)を測ってみたら値が低かったため、入院待機ステーションに夕方搬入されて来て、朝方急激に酸素不良があり、リザーバー10L投与してもSPO2値(酸素飽和度)80台で搬送先が急遽決まった方もいました。
もしも、待機ステーションが無かったとしたらこの方々はどうなっていたんだろうと思うと恐ろしいです。
今自宅療養をしている人の中にも症状が悪化し、入院適応でありながらも自宅で療養をせざるおえない患者さんがいます。
そのような方々に医療を届けられるよう、これからも自分ができることを探して活動していきたいです。
入院待機ステーションは立ち上げたばかりで上手くいかないこともあります。
ここで働くスタッフは普段はそれぞれ別の病院で勤務しており、自分の休日に勤務している方や臨床は離れていたけど札幌がこんな状態だから、と勤務している方など様々です。
『スタッフの気持ちを一つに、緊張感の漂う現場で乗り越えて行けたらいいよね』とジャパンハート看護師で考えて、メッセージボードを作成して壁に貼りました。
スタッフの皆さんにはそれぞれ応援メッセージや絵など書いて頂きました。これがスタッフの励みに少しでもなれば幸いです。
ジャパンハート看護師 岩下
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