活動レポート

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神戸クラスター支援 「困っている現場があるなら助けになりたい」

up 2021.08.17

「困っている現場があるなら助けになりたい」
そう思い参加を決めたクラスター支援。

私が初めてクラスター支援を行った地は神戸でした。
神戸に入り精神科病院、特別養護老人ホーム、老人保健施設、サービス付き高齢者住宅と4施設の支援に入りました。
当時の神戸市は入院待機者多数で、施設入所中の陽性者は入院できず施設に残らざるを得ない苦しい状況でした。

クラスターが一度発生してしまうと、感染収束までに1~2か月程を要することが多いようで、私の活動した実感としてもそのくらいの期間は要したように思います。

その数か月間は劇的に施設内の様子はガラリと一変します。
・スタッフの陽性や濃厚接触者判定、欠勤等で働く人がいなくなる。
・急なシフト変更となることも。勤務も超過となりやすい。
・家族がいるため自宅へ帰宅できないスタッフも出てくる。
・利用者がいつ急変するか分からない状況となる。
・状態悪化しても救急搬送を断られる事もある。
・点滴や酸素投与など医療処置を要する利用者をケアしなくてはいけなくなる。
・慣れない個人防護具(PPE)着用して勤務しなくてはいけなくなる。
・感染に関する新しいルールが増える(ゴミの捨て方、食事の出し方等)
・患者発生毎にゾーニングされ、利用者の部屋移動がおこる。
・感染管理上、利用者は基本的に自室で過ごしてもらう事になる。
・通常と同様のケアが行えない(シャワー中止し清拭のみ等)
 …などなど

ただでさえ、自分の施設や病院で陽性者が出ることはとてもショッキングな出来事で「まさかうちが…」と思っているうちに、このような変化をスタッフや利用者は強いられてします。とてつもないストレスです。
私たちは各病院や施設、必要なところを補うように現場と協働し支援していきます。時には感染制御として、時にはマンパワーとして、時には相談口として。

「巡回したら亡くなっていた…というのが何度か続きました。本当にあの時は辛かった。」
「ずっとこの施設で暮らしていた方が亡くなった。助けられなくて悔しい。何もできない。」
「普段お看取りもしないのに、自分たちがこんな重症の方をみていかないといけないのが怖いし不安。夜勤は人が少ないし、死んでないよね…と思いながら巡回してケアしてます。」

私が神戸で活動中に聞いた現場スタッフの言葉です。

医師もいる、仲間の看護師もいる、医療機器も十分に揃っている病院勤務であっても、勤務中に危篤の患者様がいると私はいまだに緊張します。
医療ニーズがある方をみることが初めて、お看取りの経験がない、夜間は医療者が誰もいない、という施設も珍しくありません。これらの言葉からもどれだけ不安な日々だっただろうかと思います。

クラスター支援後は、滞在先のホテルがある神戸の街中へ帰ります。
街行く人々はコロナ流行下、いつも通りとはいかないものの、談笑しながら私の隣を通り過ぎていきます。
街の光景からは「本当にコロナって流行っているのかな?」と忘れてしまいそうになります。

クラスターの現場が何に苦しんでいるのかはテレビや新聞などのニュースではなかなか分かりにくい部分が多いかと思います。
ただ、今回支援に入ったことで、確かに影響を受けて苦しんでいる現場があるということを身を持って実感しました。
「困っている現場があるなら助けになりたい」という思いは尚、強くなりました。

利用者やスタッフにとっては長い長いクラスター期間。私たちの支援で少しでも現場の方々の負担が減るよう、私たちは現場へ寄り添える支援を心掛け続けていきたいと思います。

ジャパンハートのメンバーでゾーニング案の作戦会議の様子

 

SMILE KOBE

ジャパンハート看護師 本田 絵里香

▼プロジェクトの詳細はこちらから
国際緊急救援(iER) | 新型コロナウイルスと闘う人々を支え、医療崩壊を防ぐ

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