ジャパンハートが以前支援した病院の情報をもとに、ある精神科病院から今回支援の依頼がきました。
初動ではクラスター支援リーダーである福田看護師の力も得て、メンバー計6人で活動しました。
支援時は、第4波のピークで県内でのクラスターも多発し医療も逼迫しており、COVID対応病院への搬送も困難であり病院内でケアをせざるを得ない状況でした。
また、マンパワー不足のため一番多忙な時では病棟患者約40名(全員陽性者・濃厚接触者)を看護師1名・介護士1名でケアをしていることもありました。
そんな中、状態の悪くなる患者さんやお亡くなりになってしまう患者さんもおり、とても過酷な状況でした。
今回の病棟内での活動も行ってきましたが、病棟外で行った活動の一部で学んだことをお伝えしてきたいと思います。
情報整理と共有の場であるミーティングの運営
活動開始当初は上記なような状況で混乱した現場であったため、私たちはまずは情報を整理し、共有する場が必要であると考え、他職種での情報共有に努めるためミーティングの設定・運営をはじめました。
具体的には、陽性者数・クラスター発生からの経過日数・寛解者の把握・欠員の状況などの情報を集約し、整理しました。
またこれらの情報に加え、感染制御の方針決定・物品の在庫状況の把握・スタッフの疲労度やメンタルの把握とケア・重症者の情報を中心にPSWが家族への連絡ができるように、他職種での情報共有に努めるためミーティングを設定しました。
多忙な中、ミーティングに貴重な時間を割くことも負担だったと思います。
また、はじめての運営だったため、うまく進行・情報をまとめ、伝えていくことができないこともあり有意義なミーティングができていないと感じ悩んだこともありました。
しかし、ミーティング後に当該病棟の過酷な状況を知り、
「病棟内がそんなに大変な状況であるとは知りませんでした。」
「私たちでできることはないですか。できることがあればぜひ言ってください。」
と協力してくださるスタッフさんもいてくださりました。
このような状況の時こそ、ミーティングを行い、情報を共有し、共通認識をもって同じ目標・方向性ですすんでいく意義・重要性を感じました。
そして、そのような活動を通して、クラスターという危機的状況のなか、関係者みんなで責任を分かち合い乗り越えていくチーム作りを支援できたのではないかと感じました。
感染対策指導・クラスター病棟以外への支援
当該病棟での感染制御ができるようになってからは、他病棟でも感染者が出る可能性や収束後も再び陽性者が出る可能性があるため、そうなった時クラスターをどのように未然に防ぐか病院で対応を検討していく必要がありました。
そのため活動終盤は、クラスターが発生した当該病棟以外のスタッフ・コメディカル・事務の方などに対して感染対策、PPEの着脱指導を行わせていただきました。
みなさんが時間を割いてまで足を運んでくれたことはもちろんですが、看護師や介護職だけでなく直接ケアをする可能性の低いスタッフさんにも参加していただけたこと、当該病棟だけで起こっていることという認識ではなく自ら知ろうとしてくださったこと、いつ自分たちも陽性者対応したりしなければいけなくなるかもという意識・危機感をもってくださった方がいたこともとても嬉しかったことです。
はじめは全員が意識高く参加したのではなかったかもしれません。
まずは興味をもって知ってもらうこと、実際に体験してもらうことが意識の変容につながり事者意識とコロナウイルス感染症に対してより一層の危機感をもっていただくことができるかもしれないと感じました。
今回の活動で私は特に「情報共有・共通認識、コミュニケーションの大切さ」を改めて感じました。
私自身、今まではクラスター下での支援がマンパワーでの支援であったこと、初動からのリーダーとしての支援が初めてでたくさん悩み葛藤する日々でした。
ICN的役割、ロジ的役割・相談・調整役など、不慣れなことも多く焦りが出たこともあります。
活動にあたり、病棟外のスタッフさんが私たちや現場スタッフへ温かいメッセージや体力や免疫力がつくようにと工夫された差し入れをくださいました。
また、コメディカルの方も病棟外でできる仕事や応援スタッフを出している他病棟への支援をしてくださったり私達の相談にのってもくださったりしていただきました。
さらに、ご厚意で余ったワクチンを「最前線で活動しているジャパンハートメンバーに使って欲しい。」とワクチンが接種できるようにとご配慮いただいたき、感謝しています。
このように一部のエピソードではありますが、「支援者支援」(できていたかは分かりませんが)をしている私達が、病棟内外を問わず様々なスタッフさんから、たくさん支えていただいたおかげで一緒に大変な日々を乗り越えることができました。
大変だった分、私自身看護師以前に人として少しは成長することができたのではないかと思います。本当にありがとうございました。
この経験をクラスター支援だけでなく今後の人生でも生かしていけたらと思います。
ジャパンハート看護師 原田
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