活動レポート

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「現場で感じることの大切さ」~兵庫 クラスター支援レポート~

up 2021.07.13

私は5月より新潟県にある山北徳洲会病院に赴任となりました。
ここは、この度新たに導入となった「災害支援スキーム」に協力してくださった病院の一つであり、病院職員として働く傍ら、支援要請があれば1ヶ月間休職扱いとなり活動に参加することができます。
私はこのシステムに則り、赴任後間もなくクラスター支援に参加しました。

活動内容を伝える前に、なぜクラスター支援に参加したいと思ったのかを記します。

・隔離された療養の中で、患者さんの精神的不安を軽減できるケアが行えたら…
・少しでもいつも通りに近い療養環境の調整やケア介入ができたら…
・心身ともに疲弊していくスタッフが少しでも休息を取り、モチベーションの低下を助けることができたら…等

ありふれた動機ですがこれらを書き留め、活動中自分自身の軸がブレそうになった時に読み返すことで初心に立ち返ったり、自分自身を支えてくれるものになりました。

私にとって初めてのクラスター支援活動の場は、兵庫県の介護老人保健施設でした。
その施設は、利用者さんの半数以上が陽性となり、職員の陽性者も多数おられました。
現場入りした時はすでにクラスター発生から1ヶ月近くが経過していました。
寛解者となった利用者さんもいましたが、レッドゾーンには17人程の利用者さんがおり、スタッフ数が平時よりも少ない中で業務量の負担が課題でした。
人員不足のため連続勤務をこなす方や夜勤後も夕方まで勤務せざるを得ない状況でした。
このような状況下で、私は看護業務を実施する傍ら、状況に合った感染対策のアドバイスやスタッフの疑問や困っている事の聞き取り、担当保健師と連絡を取り合い利用者さんの情報共有や寛解者の決定などの仕事も含め、約1週間活動させていただきました。

活動を実施しながら、スタッフの方々のお話を聞く機会があり、高齢者施設で起こるクラスターの現状を目の当たりにし、心が痛む経験もしました。
「日々悪くなっているのに、何もしてあげられずに亡くなってしまった」
「今日もまた誰かが亡くなってしまうのだろうか」
「阪神淡路大震災の時よりも、悲惨な日々だった」

病院搬送が滞るなか、施設内で治療を施すことにも限界があります。
看護師として救えなかった命に、自責の念を強く抱きながら働き続けているスタッフや、心に不安や恐怖を抱えながらも働いていた方。
これは看護師のみならず、いつも利用者さんの傍にいる介護スタッフの方々も同様の気持ちを抱えながら、目の前にいる利用者さんのために尽くしておられました。
別の日、いつもの風景に比べ閑散としてしまったフロアを眺めている私に、利用者さんが「みんなどこかにいっちまったみたいでねー」と声を掛けてきました。
認知症棟のフロアの利用者さんだったため、その方がどこまで理解されておられるかは分かりませんでしたが、その言葉に私は言葉が詰まり、頷くことしかできなかった経験をしました。

ここでの活動は、病院などの医療の現場でCOVID-19の患者さんと関わることとはまた違う、貴重な経験をすることができました。
さらにはクラスター発生直後に活動に入り、感染対策や人的資源を投入することで感染拡大を防ぐ活動も重要ではありますが、今回の様に時間が経過した時期に活動に入ってニーズに対応していく活動も意味のあるものだと感じました。
それは活動の終盤、施設スタッフの方と対話する中で、この時期に来てもらい客観的な視点で感じたことやアドバイスをもらったこと、今後の施設の方向性を相談し合えたこと等に対して感謝のお言葉を頂いたからです。
ひとたびクラスターが起こると収束まで長期的な期間を要します。どの時期においても、柔軟に迅速に、そして現場のニーズを的確に捉え、共に戦う気持ちを胸に・・・、今後の活動にも繋げていきたいです。

短期間の支援ではありましたが、快く迎えてくださった施設の方々、一緒に相談に応じてくださったスタッフの方々に心から感謝申し上げます。

ジャパンハート看護師 坂本 真南

▼プロジェクトの詳細はこちらから
国際緊急救援(iER) | 新型コロナウイルスと闘う人々を支え、医療崩壊を防ぐ

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