台風並みの低気圧とともに北海道入りし、現在札幌にある緑ヶ丘療育園で医療支援活動をしています。緑ヶ丘療育園では、1月末に3つの療育棟の一つで入所者と職員の新型コロナウィルス感染が確認されたのを機に、2月には別の療育棟へのクラスターが発生しました。
今回は、職員の人員不足を補うためのマンパワーとして現場に入り、新型コロナウィルス陽性となった入所者さんのケアをすることがミッションです。こちらは重症心身障害児施設であり、12月に旭川市の重症心身障害児(者)施設である北海道療育園にも支援に入った福田看護師が初動として活動に入っていたため、色々教えてもらいながら入所者さんへのケアにあたっています。
緑ヶ丘療育園での活動内容は福田看護師にゆずるとして、今回はクラスターバスターズ(!)である看護師たちの裏話をお伝えできればと思います。
クラスター支援チームの看護師たち、看護の得意分野は様々で普段は別々の場所で活動しています。私はジャパンハートの国内事業のひとつである小児がん支援を行っていますが、福田看護師は海外事業のカンボジアからの一時帰国中、コロナ禍で渡航延期になったジャパンハートの国際看護師研修生、助産師研修生もいれば、iER研修や他の支援活動地でジャパンハートを知り、理念に共感して飛び込んできてくれた看護師さんもいます。
ジャパンハートは全国各地でクラスター支援をしていますが、チームの看護師たちの住まいも全国各地に散らばっており支援への要請が入った時点でロジスティクススタッフ調整の下、派遣が決まります。私は、前日派遣を伝えられ、愛用のカバンにユニフォームとナースシューズ、お気に入りの入浴剤とカップラーメンを放り込んで移動したこともあります。
突然のように見えますが、チームでは毎日の活動報告に合わせ2日に一度のWEBミーティングを行っており、そこで現在の動向や今後の予測など情報共有がなされているので、自分の体調管理やスケジュール調整をしています。
チームと言いつつこのミーティングで初めましての方がほとんどですし、支援先が一緒でないと実際には一度も会わない場合もあります。ほぼ初めて同士なのにすぐに活動がスムーズに進むので、ミーティングの重要性とチームみんなの順応性や柔軟性が凄い!と毎回感心しています。
そして、このミーティング、現在の各地の支援先での方針や活動状況だけでなく、困りごと、嬉しかったこと、悲しかったこと、そして自身の看護やそれについての想いの表出の場にもなっています。
もともと人の生活や人生に関わる看護師ですから、このようなコロナ支援の場では、辛く、悲しい場面に立ち会うことが少なくありません。
そんな時はやはり「あの看護で良かったのか」、「もっとああしていれば」と考え落ち込んでしまうこともしばしば。
また、活動中は、レッドゾーンと呼ばれるコロナウィルス陽性患者さんへのケアにはいることがほとんどで、PPEを着ていても「自分も感染しているのではないか」と頭の片隅で小さな不安を持ちながら活動しています。だからこそ症状がなくても感染経路としてのリスクを減らすため一緒に活動しているチームメンバーでも部屋や食事を一緒にするのは難しく、飲食店での食事も控えざるをえません。そんな孤独な活動期間中、やはり同じ思いで頑張っている仲間がいることが大きな支えになっていることは間違いありません。
一緒に活動している福田さんとおやつ交換したり、ラインで話したりすることがちょっとした今の私の楽しみです。
私は、10日間ほど過ごすホテルの部屋にちょこっと花を飾ったり、家族の写真を置いたり自分の家のようにしています。年末年始の支援の時は鏡餅を置いて笑われましたが、きっとみんなも自分なりの気分転換をしているはず。今度、聞いてみたいと思います。
ジャパンハート看護師 伊藤和子
▼プロジェクトの詳細はこちらから
国際緊急救援(iER) | 新型コロナウイルスと闘う人々を支え、医療崩壊を防ぐ