今回、能登半島被災地域にて行われた中長期支援企画に危機管理要員として参加いたしました。
私に与えられた役割としては、被災地における被害状況の分析や、復興の進捗などを確認し、オペレーション上において危機管理や安全対策の目線で必要なことを聞かせてほしいという内容でした。
※初日から雪一面の状態
現地の人々が今求めているもの
仮設住宅に設置されたカフェにて、現在も避難をされている方々とお話しする機会がありました。中には、感謝の気持ちを伝えてくれる方もおられれば、車を失ったことがとにかくつらいと話される方もおりました。
そんな中、強く印象に残っているのは、能登の皆さんはとにかく明るくて優しいということでした。避難生活も長期化するにつれ、ストレスレベルもかなり上がっているだろうと予想していたのですが、皆様とても笑顔で会話されており、ジャパンハートのカフェ企画をとても楽しみにされている方が多かったように感じました。
災害支援という言葉には、直接的な医療支援や物資を送るイメージが優先されますが、こういった日常に寄り添う形の支援ができるのは、とても大切な活動だと改めて思うことができました。
実際の被災直後は官民が合同となり、沢山の人たちが支援に回ります。しかし、ほとんどが短期的な支援活動が中心となるため、今回の様に、顔と名前を覚えてもらえる距離感での支援は、とても喜んでいただけているという印象を受けました。
チームビルディングの難しさ
今回参加メンバー全員が初対面であり、それぞれ専門性も違うため、共通の認識や言語が確立されていませんでした。そのため初日は指示に従うだけの形となり、十分な連携が取れませんでした。
実際の災害現場では、即席でチームを組み、協力しながら対応する必要があります。そのため、異なる背景を持つメンバー同士が円滑に連携できる「基準」を設けることが重要だと感じました。
特に大切なのは、情報共有の際に「自分の理解度で伝える」のではなく、「相手にとって分かりやすい形で伝える」ことです。そのためには、以下の点を意識する必要があります。
・専門用語を避け、共通の言葉で説明する
・相手の理解度を確認しながら伝える
・認識レベルを揃える努力をする
こうした意識を持つことで、チームの目線を合わせることが可能となり、より効果的な連携が可能になると実感しました。
被害の状況については、必ずしも過去の災害情報がそのまま参考になるわけではなく、土地の特性や、家屋の築年数、建築構造なども大きく影響していると考えます。
特に、能登半島は降雪量が多く、冬季の寒冷な気候に適応した木造住宅が多い地域です。加えて、耐震補強が十分でない築年数の古い建物が多いことも、被害の拡大要因となった可能性が考えられます。
また、積雪による二次災害のリスクや、寒冷地特有の避難生活における課題も考慮する必要があり、こうした要素を踏まえ、被災地ごとの特性に応じた支援や対策が求められると感じました。
危機管理担当 K
ジャパンハートが行った能登半島における支援
ジャパンハートでは能登半島地震の緊急救援活動として、2024年1月4日から4月20日までの間に避難所と診療所への看護師常駐、輪島市門前地域の避難所巡回診療を行ってまいりました。
現在は、地域の保健士さんと連携し、仮設住宅に入居されている方々のコミュニティづくりの促進や潜在的な健康問題(医療、介護、福祉面)の拾い上げを目的とした短期イベント(サロン活動)を定期的に実施しています。
サロン活動の裨益者数が2025年1月にはのべ1000名を超えました。
引き続き実施して参りますのでご興味がありましたらお問い合わせください。
令和6年能登半島地震 緊急支援活動のご寄付について
皆様のあたたかいご支援をよろしくお願いいたします。
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ジャパンハートの災害支援・対策(iER)
ジャパンハートの災害支援・対策iER(International Emergency Relief)では、国内外で発生した大規模災害に対応し、緊急医療支援を実施しています。
■2011年3月~2014年3月 東日本大震災緊急支援
■2016年4月 熊本地震緊急救援
■2020年4月~2022年9月 新型コロナウイルス感染症緊急救援
■2021年8月 令和3年8月豪雨災害緊急支援
■2022年9月 台風14、15号緊急支援台風
■2023年7月 令和5年九州北部豪雨緊急支援
今後も現場の支援ニーズを見極めながら、救援活動を継続的に実施していく予定です。
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