今回、はじめて「おしゃべり喫茶」企画に参加しました。
長年、ボランティアに携わりたいと思っていても、何から手をつけていいのか分からずにいました。ボランティアに参加するといっても、地方自治体が募集するもの、企業や団体が募集するものなど、窓口が多岐にわたり、それぞれに目指すものや理念の違い、活動場所や活動範囲が違うなど、調べれば調べるほど迷宮入りしてしまい、なかなか一歩を踏み出すことができませんでした。
今回、ジャパンハートの災害支援・対策(iER)スタッフの方からお誘いいただいたことで、ボランティア参加に対する私のハードルが幾分か下がり、「行ってみようかな」と私の中で現実味を帯びたことが参加させていただいた大きな理由でした。
正直、参加するまでは不安の方が大きかったのですが、今回参加させていただいて、行って良かったと心から感謝しております。
現地の状況
12月に入り、各地で初雪観測の情報が聞こえ始め、観光地では遅い紅葉と雪のコントラストが見られると話題になる中、強い寒気の影響により日本海側は大雪の可能性があると日増しに報道されていました。
新幹線が運休する不安を抱きながら、私は石川県にむけて出発しました。バスで輪島に向かう中、金沢市内は想像以上に活気がありましたが、徐々に輪島市内に近づくにつれて道路の修理を行っているところが増え、路面の悪い道が増えていきました。雨・雪・雹が入り混じる中、崩れた家が見えたり、すべての窓ガラスが割れてカーテンが靡いている家があったりと、人が住んでいる気配のない地区がある一方で、人が戻ってきている気配のある地域が隣り合わせになっているなど、何とも言えない不思議な光景でした。
カフェ企画と個別訪問
カフェ企画が定期的に開催されていることもあり、開場時間よりも前に来場される方もいて、皆さん楽しみにしていらっしゃるのだなと思いました。私が参加したカフェでは、仮設住宅でのお隣さんや、元々住んでいた地区のご近所さんとのコミュニティが存在していましたが、仮設住宅での暮らしが長くなってきたことで少しずつ顔見知りも増え、手助けが必要な事をお互いに把握できるようになり、新旧のコミュニティが混ざり合って、買い物や通院、食事の準備などをお互いに助け合っていることを知りました。逆に、元々住んでいた地区のご近所さんが隣の地区の仮設住宅に入居したことで、なかなか会えていない寂しさを抱えているということも知りました。
お話を聞く中で、「地震で家が一部壊れて、何とか直して住み始めたら、今度は水害で家が流された。もう、建てられない」といった話や、「自宅も実家も解体して帰るところがなくて寂しい」「まだ解体するか悩んでいる」「直したいけど保存地区だから思うように直せない」など、住宅に関する問題はまだまだ山積みであることも知りました。
また、介護保険下などでの訪問診療の場合には、何度も繰り返し訪問する中で信頼関係を築いて問題を解決していくことが出来ますが、今回のように1回の個別訪問では、情報収集や現状把握することの難しさを痛感し、まだまだ、自身の技術力の向上が必要だと思わされました。
それでも、開催期間中には参加者の皆様からたくさんの笑顔をいただいたことを大変うれしく思いましたし、皆さん素敵な笑顔だったと、強く印象に残っています。
参加して思うこと
私の参加自体は1泊2日という短い期間でしたが、今回、能登の皆さんの生きる強さと逞しさに触れた一方で、寂しさや切ない事情にも触れることがあり、複雑な気持ちでした。
地震や水害で変わってしまった景色を実際に目にすることも、そこで暮らす人々の率直な気持ちを聞くことも、今回参加していなければ分かり得なかったことであり、遠くから思いを馳せているだけの自分とは全く違う世界を感じることになりました。それだけでも私にとっては意味のある2日間だったと思います。
また、被災地の人たちが抱えている悩みは、物理的な問題も含めて多岐に渡り、見通しの立たない生活に不安があることも分かりましたが、一方で、その問題をどのように解決していくかを一生懸命悩んでいらっしゃる姿も拝見しました。
なによりも、皆さんが笑顔でお話をして下さった姿に、私の方が元気をもらいました。
いつか再び能登の皆さんにお会いできることができるよう、日々の生活を大事に過ごしていきたいと思います。
ジャパンハートが行った能登半島における支援
ジャパンハートでは能登半島地震の緊急救援活動として、2024年1月4日から4月20日までの間に避難所と診療所への看護師常駐、輪島市門前地域の避難所巡回診療を行ってまいりました。
現在は、地域の保健士さんと連携し、仮設住宅に入居されている方々のコミュニティづくりの促進や潜在的な健康問題(医療、介護、福祉面)の拾い上げを目的とした短期イベントを定期的に実施しています。
令和6年能登半島地震 緊急支援活動のご寄付について
皆様のあたたかいご支援をよろしくお願いいたします。
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ジャパンハートの災害支援・対策(iER)
ジャパンハートの災害支援・対策iER(International Emergency Relief)では、国内外で発生した大規模災害に対応し、緊急医療支援を実施しています。
■2011年3月~2014年3月 東日本大震災緊急支援
■2016年4月 熊本地震緊急救援
■2020年4月~2022年9月 新型コロナウイルス感染症緊急救援
■2021年8月 令和3年8月豪雨災害緊急支援
■2022年9月 台風14、15号緊急支援台風
■2023年7月 令和5年九州北部豪雨緊急支援
今後も現場の支援ニーズを見極めながら、救援活動を継続的に実施していく予定です。
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